私の透析体験談
このコーナーでは、仕事や趣味などを通じて充実した毎日を過ごされている透析患者さんにご登場いただき、
透析療法を続けながらも人生を楽しむコツなどについて お話しいただきます。

私の透析体験談 Vol.1
透析患者の経験を生かしたビジネスに邁進!
週3回の透析は「リラックスタイム」、楽しい時間にしています。

池間 真吾さん(46)血液透析歴 8年 写真
7時間の透析を週3回受けながら、透析患者さんの出張や旅行をサポートする会社を経営され、毎日精力的に活動されている池間真吾さん。 海外の透析施設に視察に出かけるなど多忙な日々のなかでも、ご家族と過ごす時間も大切にされ、充実した毎日を過ごされていらっしゃる池間さんに、治療とお仕事を両立させるコツや、透析を楽しく続けるためのアドバイスをいただきました。

池間 真吾(いけま しんご)さん(46)
血液透析歴 8年

7時間の透析を週3回受けながら、透析患者さんの出張や旅行をサポートする会社を経営され、毎日精力的に活動されている池間真吾さん。 海外の透析施設に視察に出かけるなど多忙な日々のなかでも、ご家族と過ごす時間も大切にされ、充実した毎日を過ごされていらっしゃる池間さんに、治療とお仕事を両立させるコツや、透析を楽しく続けるためのアドバイスをいただきました。
「透析していてもきちんと働けるんだ」という強い思い
池間 真吾さん(46)血液透析歴 8年 写真1
――
池間さんは、透析患者さんが出張先や旅行先で、普段と同じように透析が受けられる施設を紹介するお仕事をされていらっしゃいますが、どのようなきっかけで始められたのでしょうか。
この仕事を始めた理由には、まず、私が透析を導入した経緯が重要なので、そこからご説明しますね。

大学を卒業して報道の仕事に就いたのですが、30歳くらいで尿蛋白と高血圧を指摘されていました。当時は腎臓病の知識もなく、再検査せずに放置してしまったんです。その後、34歳のときに退職して、沖縄で民宿やレストランの経営を始めるのですが、その後も健康診断さえ受けませんでした。
――
透析を始められたきっかけは?
38歳のとき、ふとしたきっかけで受けた血液検査で、すでに人工透析が必要であることを知りました。でも、当時は4時間の透析を週3回、仕事をしながら・・・という状況が想像もできず、なかなか導入に踏み切れませんでした。
「仕事は続けられるのか? 医療費はどうなるのか?」という不安ばかりで、右も左もわからなくなりましたね。

結局、当時の先生に説得されて、半年後やっと透析を始めたのですが、私の場合、導入直後は出血して体調が悪くなることもあり、退院するまで時間がかかってしまいました。
――
お仕事はどうされたのでしょうか。
やはり治療との両立が難しくなってしまい、経営していたレストランや民宿は手放して治療に専念しました。当時は、初めて障害者手帳が届いたときに自分が身体障害者一級と知ったこともショックでしたね。

その後、体調が落ち着いて治療も順調になったころ、宮古島に移住して新しい仕事を探し始めたのですが、これが見つからないんです。面接で聞かれるのは、記者職や民宿経営の経験といった仕事のスキルではなく、透析治療に関わることばかり。このときに「透析治療をしていてもきちんと仕事はできるのに・・・」と強く思ったんですね。
出張先の病院探しに大変な苦労も・・・
その経験を生かして患者さんの出張や旅行をサポートする会社を設立
フィリピン・マニラ 神戸クリニックにて透析治療を受ける池間さん
フィリピン・マニラ 神戸クリニックにて透析治療を受ける池間さん
――
その思いが、起業へとつながっていかれたのでしょうか。
そうですね。その後は、運良く、知り合いの紹介で地元の観光協会に勤めることになり、宮古島の観光PRの仕事で日本全国に出張するようになりました。

血液透析を週3回、私の場合は当時5時間の透析を受けていましたので、出張先で病院を探さねばなりませんでした。当時はホームページを開設している病院は少なく、1カ所ずつ電話をかけて確認するんです。出張先が変わるたび、一から施設を探すのに、誰の助けも借りられない状態が続きました。こうした経験をされた患者さんも少なくないと思います。
そこで、日本全国4,000以上ある透析施設の透析時間や曜日などの条件をデータにまとめて提供すれば、患者さんのお役に立てるのではないかと思いついたわけです。
――
それをまとめるのは膨大な作業だったのではないですか?
データベースを完成させるまでに約2年かかりました。この作業には、実は、全国の透析患者さんに呼びかけて、在宅勤務のかたちで関わってもらったんです。スキルをもたれた患者さんが全国にいらっしゃいますし、会社の社員も全員、同じ透析患者なんですよ。

このデータベースをもとに、患者さんが希望する場所や日時、条件で透析を受けられる施設を紹介して、希望にあった施設があれば予約の代行も行っています。最近は、海外の透析患者さんからも問い合わせをいただくようになりました。
透析しているから旅行をあきらめていませんか?
海外旅行も夢ではないんです
――
海外からの観光客も増えていますし、そういった方々へのサポートも大切になりますね。
そう思います。2020年の東京オリンピック・パラリンピックには、透析をしておられる多くの外国人の方々やパラリンピックの選手が日本を訪れると思います。こうした方々を迎え入れる準備をお手伝いできればと考えています。
海外の透析施設を上手く利用してセブ島旅行を楽しむ池間さん
海外の透析施設を上手く利用してセブ島旅行を楽しむ池間さん
――
池間さんは、海外にも行かれるのでしょうか?
はい。海外へよく出かけていますし、台湾やタイ、マレーシアなどの透析施設を視察して、実際の透析体験に基づいて施設を紹介しています。最近もフィリピン・マニラ&セブ島の透析施設を実際にみて、体験してきました。

透析をしていても、国内旅行だけでなく、海外旅行を楽しんでいる方も多くいらっしゃいます。しっかりと準備をすれば、透析をしているからといって大好きな旅行をあきらめる必要はないんです。
透析時間を「楽しい空間」に変えよう。
仕事を忘れてDVDで映画鑑賞。映画好きの夢が叶う
台湾の透析クリニックで台湾式足ツボマッサージ
台湾の透析クリニックで台湾式足ツボマッサージ

――
週3回の透析時間の過ごし方には、なにか工夫はされていますか?
よく聞かれるのですが、この時間を『楽しい空間』に変えて、つらいことを持ち込まないようにしています。毎回嫌々通うのではなく、リラックスタイムにしようと心がけていますね。だから、透析中は仕事のことは忘れて、好きな旅のことを考えたり、DVDで映画を観たり、スマートフォンで動画を見て過ごしています。
先日、これまでに観た映画の本数を数えてみたら、8年間で4,000本ぐらいになっていました。サラリーマン時代は忙しくて、映画を観ることもままならなかったのですが、サラリーマン時代の夢が叶いましたね。観たい映画がなくなるほど映画を観ることができるなんて、いまは透析に行くのが楽しみなくらいです。

ただ、最近はジレンマも感じています。私が長生きしたいのは、家族との時間を大切にしたいからで、本当は、家族との時間を削りたくないんですね。子どもとの接点を大事にしたいので、保育園の送り迎えはできるだけ私がするようにしていますが、週3日は透析で時間がとれません。そこで、在宅血液透析にチャレンジしてみたいと、家族とも話し合っているところです。
患者自身が積極的に情報収集を~より良い透析生活を過ごすために~
池間 真吾さん(46)血液透析歴 8年 写真2

――
透析を受けながらも患者さんが生き生きとした生活を送るために、何かアドバイスをいただけますか?
腎不全になると、腎移植でしか腎機能の回復は期待できないので、透析を受けることにはなかなか気持ちが乗らない方もいらっしゃると思います。しかし、生きるためには透析が必要で、嫌がっていても仕方ありません。できるなら、透析の時間を前向きに楽しめるものに変える工夫をしてみてはいかがでしょうか。
血液透析を週3回受けている方の場合、年間に約160回、600時間以上も透析を受けているわけです。その時間をどう過ごすかは、人生の大きな問題です。毎回の透析とちゃんと向き合うことが大切なんだと思います。

透析治療は、患者側からすると「受けている」という受け身の姿勢になってしまい、医療者側にお任せになりがちですが、本来、透析治療の主役は患者自身なんです。透析を無理なく、楽しく続けるには、多くの選択肢の中から自分に合った治療法を見つけることが大切なんですね。

せっかくの機会ですから、とにかくアンテナを広げて、透析治療を長く続けておられる患者さんがどんな治療をして、どんな知恵をもち、どういった工夫をしているのか、本やインターネットで調べたり、他の患者さんとお話ししたりして積極的に学んでみてください。調べていただけると、必ず1つずつ自分で改善できてきますから。また、旅行に出かけた際に別の施設で透析を受けることは、セカンドオピニオンの考えを知る良い機会にもなると思いますし、視野も広がるのではないでしょうか。

そして、こうした治療を試してみたいといった希望や疑問点があれば、主治医の先生に伝えましょう。それが患者さん自身に合ったものであれば、主治医の方はダメだとは言わないはずです。医療者に任せきりにすることなく、ぜひ、ご自身の希望を主治医に伝えられる患者になってください。
池間 真吾さんのプロフィール
株式会社旅行透析 代表取締役社長
株式会社腎友メディカル 代表取締役社長
社団法人GATS 国際透析連携協会 特任執行理事
沖縄県腎臓病協議会 理事・青年部副部長
国立大学法人琉球大学 ヘルスツーリズム分野ウェルネス研究プラットホーム プロジェクトリーダー(旅行透析・腎臓病&人工透析国際情報)
監修医からのアドバイス
昭和大学医学部内科学講座 腎臓内科学部門 客員教授 秋澤 忠男 先生

昭和大学医学部内科学講座 腎臓内科学部門
客員教授
秋澤 忠男 先生

池間さんの透析導入から、現在の透析患者さんの視点に立った事業の起業に至る体験談をお伺いしました。池間さんの積極的な人生観とご家族愛に感銘を受けます。こうした充実した透析生活を送ることができるのは、透析療法をよく勉強され、より良い治療を進んで受ける姿勢があるからでしょう。

池間さんのように、国内だけでなく海外に出かけられる透析患者さんも多くみられます。旅行に行かれる際には、無理のないよう十分準備するとともに、旅行中も食事などの日常管理を忘れないようにしましょう。そして、旅行を計画された段階で、まずは主治医や看護師に相談してください。
池間さんの透析導入から、現在の透析患者さんの視点に立った事業の起業に至る体験談をお伺いしました。池間さんの積極的な人生観とご家族愛に感銘を受けます。こうした充実した透析生活を送ることができるのは、透析療法をよく勉強され、より良い治療を進んで受ける姿勢があるからでしょう。

池間さんのように、国内だけでなく海外に出かけられる透析患者さんも多くみられます。旅行に行かれる際には、無理のないよう十分準備するとともに、旅行中も食事などの日常管理を忘れないようにしましょう。そして、旅行を計画された段階で、まずは主治医や看護師に相談してください。

取材実施日:2017年1月12日 ※取材させて頂いた方の所属、役職等は取材当時のものです

このページの先頭に戻る