体重管理のコツ

透析患者さんの体重コントロールは合併症の予防、シャントの保持のため、そして何よりもQOL(透析生活を快適に過ごすこと)を維持しながら透析を行う上で重要なポイントです。

「今日は体重が多いですね」「次回は増えすぎないようにしましょう」などのように、体重について指摘を受けた患者さんは少なくないと思います。
しかし、体重を気にし過ぎて食事量を減らし、体重を調整して来院する患者さんも見受けられます。これは適切な体重管理でしょうか?

ここでは、正しい体重コントロールの考え方について解説します。

体重増加を気にして食事を抜いたり、食事量を減らしたりすると・・・

栄養 負のスパイラル


以上のような負の連鎖が起こってしまいます。

患者さんの中には食事の量はたくさん食べられない、歯が弱くなったり飲み込みづらさがあったりしてしっかり食べることができない、その他の理由で食欲が低下している患者さんも見受けられます。
このような場合は、透析患者さん用の栄養補助食品などもありますので、各々の透析施設の管理栄養士、看護師にご相談ください。

体重管理のコツ

透析間の体重増加は食塩と水分※2の摂り過ぎが原因です。
「透析間の体重増加が多いというのは太るということだから、食事を減らせば良い」は間違い!!
透析施設で「体重が多いですね」と指摘された場合は、
食事量を減らすのではなく、食塩水分の摂り方を減らすようにしましょう。

※2 からだへの水分の出入りについては「これだけは知っておきたい食事管理のポイント~水分は、からだにどのくらい入ってきて、どのくらい出ていくの?~」をご参照ください。

食塩


塩分の摂り過ぎは体重増加に影響するだけではなく、高血圧を起こす原因にもなります。また、減塩※3ができると透析間の体重管理がしやすくなります。

※3 透析患者さんの減塩のポイントについては「これだけは知っておきたい食事管理のポイント」をご参照ください。

水分
水分とは飲み水だけではありません。
水分=飲み水料理に含まれる水分食品自体に含まれる水分
これらの過剰摂取により体重増加に影響を及ぼします。

飲み水
水だけではなく、ジュースやコーヒー、お茶、お酒も含まれます。

料理に含まれる水分
水分の多い料理
・煮物(煮魚、含め煮、鍋物、カレーなど)
・麺類(ラーメン、煮込みうどんなど)
・汁物(味噌汁、お吸い物、野菜スープなど)
・その他(茶碗蒸しなど)

食品に含まれる水分
食品の中に含まれる水分量
野菜や果物は80~90%が水分です。体重の増加を指摘された方は、「最近食べ過ぎていないか」など摂取量を見直してみましょう。

のど越しの良い豆腐、ヨーグルトやゼリーも80~90%が水分です。
また、食事以外の間食でも水分の摂り過ぎに注意しましょう。
料理の際には、麺類や煮物など水分の多い料理に偏ることがないように、炒め物や揚げ物、焼き物など水分の少ない料理も取り入れるようにしましょう。

快適な透析生活を送るためにも、適切な体重管理を心がけましょう。