医薬品
2001年7月31日
活性型ビタミンD3製剤 「フルスタン®錠」 新発売のお知らせ
キッセイ薬品工業株式会社(代表取締役社長 神澤陸雄)は、活性型ビタミンD3製剤「フルスタン錠」(一般名:ファレカルシトリオール)を8月1日(水)から新発売しますのでお知らせ致します。
フルスタン錠は、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症に伴う低カルシウム血症、およびクル病・骨軟化症を適応に持つ医療用医薬品です。
透析患者さんの増加とともに、長期にわたる透析により惹起される透析合併症の治療は非常に重要な課題となってきています。中でも二次性副甲状腺機能亢進症は、透析患者さんのQOL(生活の質)を著しく低下させる合併症の一つである透析骨症の主要な背景疾患です。
透析を受けている患者さんにおける二次性副甲状腺機能亢進症は、腎臓の機能不全の結果生じるビタミンD3不足により低下する血中のカルシウムを補うために、骨からカルシウムを血中に動員する作用を持つ副甲状腺ホルモンの分泌が亢進することで発症します。この二次性副甲状腺機能亢進症が進展すると、骨代謝障害により骨痛や関節痛を生じ、また血中のカルシウムとリンが高値となることで血管や内臓、関節周囲等に石灰化を起こすなど、患者さんのQOL、更には生命予後に重大な影響を及ぼします。
二次性副甲状腺機能亢進症の患者数は、透析患者さん約21万人の3分の1と推定されています。
二次性副甲状腺機能亢進症の治療には、副甲状腺ホルモンの分泌を抑制する作用も持つビタミンD3製剤の経口剤や注射剤が投与されます。しかし、既存経口剤はカルシウムを上昇させやすいため副甲状腺ホルモンを抑制するのに十分な量を投与できない、また、注射剤は副作用としての高カルシウム血症の発現率が高いなどの問題点が指摘されています。
フルスタン錠は、血清カルシウムを正常範囲内に保つ投与量で、副甲状腺ホルモンを抑制させる特性を持ち、経口剤として初めて「維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」の適応を取得した製品です。
本剤は住友製薬株式会社と大正製薬株式会社が米国WARF(Wisconsin Alumni Research Foundation)から導入、共同開発し、それぞれ製造承認を取得した製品です。当社は本年3月に住友製薬とフルスタン錠の供給契約を締結し、同社より本製品の販売権を取得しました。なお、大正製薬からは「ホーネル錠」として同日発売されます。
当社では中期経営計画フォワードプラン21において「規模の拡大」と「競争力の強化」のため領域戦略を強化しております。当社では腎透析領域をマーケティング重点領域として位置付けており、血液透析に用いる血液凝固阻止剤「フラグミン®静注」を販売しているほか、ヘルスケア事業部では腎疾患患者さん向けのたんぱく質等の成分調整食品を販売しています。本製品の発売により、腎透析領域における領域戦略を一層推進してまいります。
以上
≪製品概要≫
■製品名
フルスタン®錠 (Fulstan®)
■一般名
ファレカルシトリオール (Falecalcitriol)
■効能・効果
・維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
・副甲状腺機能低下症(腎不全におけるものを除く)における低カルシウム血症とそれに伴う諸症状(テタニー、けいれん、しびれ感、知覚異常等)の改善
・クル病・骨軟化症(腎不全におけるものを除く)に伴う諸症状(骨病変、骨痛、筋力低下)の改善
■用法・用量
・維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症の場合通常、成人には1日1回ファレカルシトリオールとして0.3μgを経口投与する。ただし、年齢、症状により適宜減量する。
・副甲状腺機能低下症、クル病・骨軟化症の場合通常、成人には1日1回ファレカルシトリオールとして0.3~0.9μgを経口投与する。ただし、年齢、症状、病型により適宜増減する。
■特性
1.維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症(2°HPT)の適応をもつ経口投与の活性型ビタミンD3製剤です。
2.維持透析下の2°HPTに対し、血清カルシウムを正常範囲内に保つ投与量で副甲状腺ホルモンを低下させます。
3.2°HPTモデルにおいて、類骨および線維組織量の増加等の骨病変を改善します(ラット)。
4.副作用発現率は11.9%(54/452例)でした。(承認時)主な副作用は、高カルシウム血症(5.1%)、そう痒感(2.4%)です。重大な副作用として、高カルシウム血症、腎結石、尿管結石が報告されています。
■規制区分
劇薬、指定医薬品
■剤型
錠剤
■薬価基準
フルスタン錠0.15 0.15μg1錠 436.60円
フルスタン錠0.3 0.3μg1錠 636.80円
■製造
住友製薬株式会社
■販売
キッセイ薬品工業株式会社