医薬品
2013年1月30日
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤血管外漏出治療剤「デクスラゾキサン」 国内における製造販売承認申請のお知らせ
キッセイ薬品工業株式会社(本社:長野県松本市、代表取締役社長:神澤陸雄)は、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の静脈内投与時の血管外漏出による組織障害を治療する薬剤「デクスラゾキサン」(一般名)について、このたび製造販売承認申請を行いましたのでお知らせ致します。
当社は平成23年9月に、オランダのスペファーム社より、日本における本剤の開発・販売権を取得する契約を締結し、国内開発を進めてまいりました。
「デクスラゾキサン」は、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の静脈内投与時の血管外漏出による組織障害を治療する唯一の薬剤として欧米において使用されておりますが、日本では承認されておりません。本剤は、厚生労働省が設置した「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、医療上の必要性が高い薬剤と評価されましたが、国内に開発要請先として適切な企業が存在しないことから、開発企業の募集が行われた薬剤の一つです。
当社は、「純良医薬品を通じて社会に貢献する」との経営理念のもと、未承認薬である本剤の開発に取り組んでまいりました。本剤の承認を取得、発売することにより、未承認状況を解消し、患者さんへ早期に提供することを目指します。
以上
≪ご参考≫
デクスラゾキサンについて:
デクスラゾキサンは、細胞核に存在する酵素のトポイソメラーゼⅡの働きを阻害する薬剤です。トポイソメラーゼは、細胞の成長や増殖に必須な酵素であり、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤は本酵素と結合すること等により抗腫瘍効果を示します。デクスラゾキサンは、トポイソメラーゼⅡの働きを阻害することにより、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出による組織障害(少量でも血管外に漏出すると、発赤や腫脹とともに疼痛を来し、炎症の進行に伴い、皮膚の壊死や難治性の潰瘍に至る場合がある)を抑制すると考えられています。
現在、欧州においては、スペファームAG社より製品名「Savene®」として、また、米国においては、アプリカスバイオサイエンス社より製品名「Totect®」として販売されています。
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議について:
「欧米では使用が認められているが、国内では承認されていない医薬品や適応について、医療上の必要性を評価するとともに、公知申請への該当性や承認申請のために追加で実施が必要な試験の妥当性を確認すること等により、製薬企業による未承認薬・適応外薬の開発促進に資すること」を目的として、厚生労働省が設置した会議です。