一般・患者さん・ご家族の皆さま

医療関係者の皆さま

株主・投資家の皆さま

ニュースリリース

企業情報

研究開発活動

CSR活動

キッセイの想い。

  • 2017
  • 2016
  • 2015
  • 2014
  • 2013
  • 2017
  • 2016
  • 2015
  • 2014
  • 2013

前立腺肥大症とは?

そもそも前立腺とは何でしょうか。
60歳の男性の半数以上は前立腺が肥大しており、その内の4人に1人は前立腺肥大症の症状が出ていると言われています。

前立腺とは

前立腺は男性だけにある生殖器で、栗の実を逆さにしたような形をしています。膀胱の下に存在し、尿道が真ん中を貫いています。大きさは成人でクルミくらい、重さは約15~20gです。

  • 前立腺のはたらき
  • 前立腺は、精液の一部である前立腺液を分泌しています。この液には精子を守り、活性化する成分が含まれています。
  • また前立腺には、その中を貫いている尿道を閉め、尿がもれないようにする役割などもあります。

症状・病因

症状

前立腺は年齢とともに肥大します。その周辺には膀胱や尿道があるため、前立腺が肥大すると「尿が出にくくなる(排尿症状)」「尿がためられなくなる(蓄尿症状)」や「尿をし終わった後にみられる症状(排尿後症状)」などの症状が出ることがあり、この病気が「前立腺肥大症」です。命に関わる病気ではありませんが、これらの症状は生活に悪影響をおよぼします。

尿が出にくくなる[排尿症状]

前立腺が肥大すると、真ん中を通っている尿道が狭くなります。また、前立腺肥大症では、「尿道を閉めなさい」という自律神経の命令を受けるα1受容体の数が増え、必要以上に命令を伝えてしまうことでも尿道は締め付けられ、狭くなります。これらの結果、尿が出にくくなります。前立腺肥大症によるこのような症状を排尿症状といい、代表的な7つの症状のうち、該当するのは次の3つです。

・排尿中、尿が途切れる:尿線途絶
・尿の勢いが弱い:尿勢低下  
・排尿にお腹の力を要する:腹圧排尿

尿がためられなくなる[蓄尿症状]

前立腺が肥大すると、膀胱や尿道が刺激されて、膀胱にあまり尿がたまっていないにもかかわらず尿意をもよおします。このような症状を蓄尿症状といい、代表的な7つの症状のうち、次の3つにあたります。

・昼間、トイレが近い:昼間頻尿
・尿をガマンできない:尿意切迫感
・夜中、トイレが近い:夜間頻尿

尿をし終わった後にみられる症状[排尿後症状]

排尿が終わった後にみられる症状ですが、それが起こる原因はまだよくわかっていません。代表的な7つの症状のうち該当するのは次の症状です。

・排尿後も尿が残っている感じがする:残尿感
(実際に尿の残りがなくても残尿感を感じることがあります。)

  • 重症化すると・・・
  • 前立腺肥大症が重症化すると、尿道が閉じてしまい、尿が出なくなる場合があります(尿閉)。
  • また、自分で排尿できなくなり、残尿が増えると尿が絶えず少しずつもれることもあります(溢流性尿失禁)。

病因

前立腺の肥大には、食生活の欧米化や男性ホルモンが関係していると言われていますが、詳細はまだわかっていません。 前立腺が大きくなるほど症状が重くなるかというとそうではありません。前立腺が大きくても症状がまったくなかったり、逆にそれほど大きくなくても重い症状が出るなど、人によってさまざまです。

患者さんの傾向

前立腺は30歳代後半になると肥大しはじめ、60歳では半数以上に肥大がみられます。85歳までにはほとんどの男性の前立腺が肥大しており、その4人に1人に前立腺肥大症の症状が出ると言われます。その意味で前立腺肥大症は極めて一般的な病気と言ってよいでしょう。
医療機関を受診する患者さんは年々増えており、男性ホルモンの関係や食生活の欧米化が原因としてあげられています。高齢化に伴い、患者数は今後ますます増えると予想されます。
しかし、患者さんの中には、「年のせいだから治らない」と誤解してあきらめたり、「恥ずかしい」という理由で受診しない方が大勢いるようです。

その他の疾患

排尿のトラブルは前立腺肥大症に特有の症状ではありません。前立腺肥大症以外の主な疾患には次のようなものがあります。

前立腺がん
前立腺炎
過活動膀胱
腹圧性尿失禁
膀胱炎
尿路結石

前立腺がん

前立腺がんは、前立腺に悪性の腫瘍ができる病気で、前立腺肥大症とは病気が発生する部分が異なります。自覚症状は初期には現われず、病気が進むにつれて、尿が出にくい、トイレが近い、尿が残った感じがする、など前立腺肥大症に似た症状や血尿、腰痛などが現われます。

前立腺がんは、前立腺特異抗原(PSA)や直腸診、経直腸エコー、生検(前立腺の組織をとり、細胞を見る検査)などの検査により診断されます。
治療法には、手術療法、放射線療法、内分泌療法などがあり、それぞれの患者さんに合った治療法が選ばれます。
前立腺がんの患者さんは年々増加傾向にあります。その原因として食生活が欧米化していることや診断技術の進歩により発見される頻度が高くなったことがあげられています。早期発見のために50歳を過ぎたらPSAの検査を受けるとよいでしょう。

前立腺炎

前立腺炎は前立腺肥大症、前立腺がんに並ぶ三大前立腺疾患の一つです。急性前立腺炎と慢性前立腺炎に分けられ、多くは後者です。急性前立腺炎では発熱、ふるえなどの全身症状やトイレが近い、尿の出が悪いなどの症状が現われます。慢性前立腺炎では全身症状は現われませんが、排尿・蓄尿症状をはじめ、排尿後の不快感や陰部の痛み、射精痛など症状は多様です。急性前立腺炎は細菌の感染が原因であることが多いため、抗菌薬で治りやすいのですが、慢性前立腺炎は原因がわからず、治りにくいこともあります。

過活動膀胱

膀胱に尿がそれほどたまっていないにもかかわらず、勝手に膀胱が尿を出そうと活発に活動してしまう病気です。トイレが近い、急にガマンできないほどの強い尿意を感じる、急に尿意をもよおして間に合わずにもらしてしまう、といった症状が現われます。前立腺肥大症が原因となって過活動膀胱を発症することもあります。 治療は主に飲み薬で行われますが、前立腺肥大症が原因の過活動膀胱の場合は前立腺肥大症の治療から始められることがほとんどです。

腹圧性尿失禁

咳やくしゃみ、運動時などに、お腹に力を入れたはずみで尿がもれてしまうことを腹圧性尿失禁といいます。女性に多く、出産や加齢によって尿道を閉める筋肉の力が低下することから起こります。治療には、尿道を支えている筋肉を鍛える体操が効果的です。

膀胱炎

膀胱炎のほとんどは、細菌の感染によって膀胱が炎症を起こす急性膀胱炎です。症状はトイレが近い、排尿のときに痛みがある、尿が濁り、時には血尿が出るなどです。抗菌薬による治療で、1~2週間で治ります。女性がかかりやすいのですが、これは尿道が短く細菌が入りやすいためです。ほかに、慢性膀胱炎や間質性膀胱炎などがあります。

尿路結石

腎臓や尿管、膀胱など尿の通り道に石ができる病気です。血尿や頻尿、残尿感などの原因となることがあり、尿管に石がつまるとわき腹や腰などに激痛が走ります。治療は、石が小さい場合は水分をたくさんとり、尿と一緒に出しますが、大きい場合は体の外から衝撃波破砕装置を用いて、衝撃波を当てることで石を体内で砕き、尿とともに外に出すという方法をとることもあります。

監修

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 手術・集中治療部 部長 吉田 正貴 先生

2017年改訂