子宮内膜症はどんな病気?
子宮内膜に似た組織が卵巣やS状結腸、膀胱、肺などの子宮以外の場所にできる疾患です1)。女性ホルモン(エストロゲン)の影響で発症すると考えられており、女性ホルモン(エストロゲン)分泌量の多い20~40代に患者が多い(生殖機能を持つ年代の約10%)とされています1)。
病態について見る
発症しやすい臓器は子宮と直腸の間の空間(ダグラス窩)や卵巣です1)。特に卵巣にできた場合、色がチョコレートに似た古い血液成分が貯まることから卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)とも呼ばれます2)。まれに肺や小腸、膀胱などにできる場合もあります1)。良性疾患ですが、約1%の割合でがんになることがあります2) 。
症状
主な症状は、生理痛(生理を重ねるごとに次第に強くなる)と不妊症です1)、3)。その他にも生理時の出血量が多い、不正性器出血(生理時以外に出血があること)などもみられます。
なぜ不妊を引き起こすの?
子宮内膜症が進行することで、卵巣・卵管機能に障害が生じ、不妊になると考えられています4)。また、子宮内膜に影響を及ぼして着床障害を起こす可能性も考えられています4)。
治療法
年齢、症状の度合い、重症度、妊娠希望の有無などにより治療法が決まります1)。
薬物療法および手術療法のいずれも、単独で根治(根本から完全に治すこと)させることは難しく、薬物療法・手術療法を組み合わせて治療をします3)。
薬物療法について見る
主な薬物療法1)、5)
- 非ステロイド性抗炎症薬:生理痛などの痛みを改善します。
- 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬:出血量を抑えます。
- GnRH アゴニスト、アンタゴニスト:エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの分泌を抑制します。症状が強い場合や手術までの間の症状を軽くする目的で使用されます。女性ホルモンの低下により骨の強度が弱まる可能性があるため、原則 6 ヵ月以上は服用できません。
- 子宮内黄体ホルモン放出システム:出血量を抑えます。
手術療法について見る
手術療法(治療の一例)1)
- 病巣除去:低侵襲の腹腔鏡下手術などで行われます。卵巣チョコレート嚢胞などの病巣のみを摘出します。
- 癒着剥離術(ゆちゃくはくりじゅつ):低侵襲の腹腔鏡下手術にて行われることが多いです。病巣により癒着してしまった臓器を剥離する手術です。
- 単純子宮全摘出術+両側付属器切除術:妊娠希望がない場合、子宮・卵巣を摘出する根治療法もあります。腹腔鏡下または開腹手術により実施されます。
1) 医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版 2023: P.122-131, メディックメディア
2) 百枝幹雄ほか. 看護学テキストNiCE 病態・治療論[13]産科婦人科疾患 改訂第2版 2025: P.124-127, 南江堂
3) 杉山隆ほか. 産科婦人科疾患 最新の治療 2025-2027 2025: P.195-196, 南江堂
4) 綾部琢哉, 板倉敦夫 編. 標準産科婦人科学 第5版 2021: P.196-199, 医学書院
5) 公益社団法人 日本産科婦人科学会ホームページ 子宮内膜症 https://www.jsog.or.jp/citizen/5712/ (2026年7月参照)
2) 百枝幹雄ほか. 看護学テキストNiCE 病態・治療論[13]産科婦人科疾患 改訂第2版 2025: P.124-127, 南江堂
3) 杉山隆ほか. 産科婦人科疾患 最新の治療 2025-2027 2025: P.195-196, 南江堂
4) 綾部琢哉, 板倉敦夫 編. 標準産科婦人科学 第5版 2021: P.196-199, 医学書院
5) 公益社団法人 日本産科婦人科学会ホームページ 子宮内膜症 https://www.jsog.or.jp/citizen/5712/ (2026年7月参照)
2026年8月改訂


