簡単解説
生理により日常生活に問題を生じ、治療の対象となる場合をいいます。生理の直前または開始とともに症状が現れ、生理の終了前後に症状がなくなります1)。
主な症状1)、2)
下腹部痛、腰痛、悪心(気持ちが悪くなること)、嘔吐、下痢、頭痛、おなかの張りなどが強く現れ、日常生活に支障をきたします。
主な治療法1)、2)
主に薬(痛みや炎症を抑える薬、生理痛を改善するホルモン剤、子宮内膜を薄くして症状を軽くするホルモン剤)を使って治療します。また、原因疾患の治療を考慮することもあります。
詳細な解説
病態・原因1)、2)、3)
生理に関して何らかの不調を抱えている人は、20代で80%以上、 30代で70%以上もいます。
月経困難症は骨盤内の病気を伴わないタイプ(機能性)と骨盤内の病気を伴うタイプ(器質性)があります。
機能性月経困難症
10代後半から20代前半以降の女性に多く生じます。
生理に伴って症状がおこります。妊娠・分娩を経験すると症状が軽くなることがあります。
器質性月経困難症
30歳以降の女性に多く生じます。
子宮内膜症 や子宮腺筋症、子宮筋腫等が原因となって症状が現れます。
症状1)、2)
主に下腹部痛、腰痛、悪心(気持ちが悪くなること)、嘔吐、下痢、頭痛、おなかの張りなどが強く現れ、日常生活に支障をきたします。重症の場合は横になっていないと耐えられないほどで、まれにショック症状を起こして緊急で治療が必要になることもあります。以下のように、月経困難症のタイプによって症状が出る時期が異なります。
機能性月経困難症
特に⽣理の1〜2⽇⽬に症状が強いです。
器質性月経困難症
月経時の痛み以外にも慢性的に痛みを感じることがあります。
診断・治療2)
経験している下腹部痛や腰痛の特徴や初経からの痛みの経過などを問診されます。月経困難症のタイプによって治療方法が変わるため、問診のほかに超音波検査やMRI検査なども実施します。
さらに、悪性腫瘍の疑いがある場合、血液検査で腫瘍マーカー測定や病理学的検査、MRI検査などを行う場合もあります。痛みの状況によっては、腹腔鏡手術で子宮や卵巣などおなかの中を直接観察することもあります。
月経困難症の治療1)、2)
機能性月経困難症
薬物療法
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非ステロイド性抗炎症薬
月経困難症の女性は子宮内膜から産生されるプロスタグランジン(子宮筋を過度に収縮させる)が多いことから、プロスタグランジン合成阻害作用のある非ステロイド性抗炎症薬を使います。 -
LEP(低用量ピル)
排卵を一時的に止めることによって月経困難症の痛みを改善します。 -
レボノルゲストレル放出子宮内システム(子宮内避妊具)
子宮内膜の増殖を抑え、月経困難症の痛みを改善します。
器質性月経困難症
薬物療法
- 非ステロイド性抗炎症薬
- LEP(低用量ピル)
- 黄体ホルモン錠(ジエノゲスト)
- GnRHアナログ製剤
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レボノルゲストレル放出子宮内システム(子宮内避妊具)
子宮内膜の増殖を抑え、月経困難症の痛みを改善します。
その他、器質性月経困難症では、子宮筋腫や子宮内膜症などの原因疾患の治療も合わせて行います。
手術療法
腹腔鏡手術や開腹手術などにより子宮や卵巣の病変を摘出することもあります。
2) 厚生労働省ホームページ 女性の健康推進室 月経困難症
3) 厚生労働省ホームページ 働く女性の心とからだの応援サイト


