家族で旅行に行きたいのですが、トイレが不安で困っています。何かよい方法はありませんか?

楽しいはずの家族旅行が、トイレのことが心配で、旅行に行く前から不安になってしまうのは残念なことですね。トイレが不安という表現には、さまざまな状況が含まれていると思いますが、今回は、「トイレが近くて不安になる」という状況を想定して回答します。
トイレが近い、つまり、トイレに頻回に行くことを「頻尿」と呼びます。この頻尿の原因の一つが「過活動膀胱」です。過活動膀胱とは、突然、強い尿意に襲われて一目散にトイレに向かいたくなる症状(尿意切迫感)がみられ、さらに、何度もトイレに行く頻尿があったり、トイレに間に合わず尿を漏らしまったりすることもある状態のことをいいます。
尿意切迫感を我慢しようとすると、おしっこが漏れてしまいそうな感覚になって、つい慌ててしまいますよね。このような症状は、尿意切迫感を和らげるお薬を使って治療する場合があります。治療が必要かどうか、医療機関を受診して内科や泌尿器科の医師に相談してみましょう。また、肛門と尿道周りの筋肉をギュッと締めて緩める運動(骨盤底筋訓練)も症状の緩和に効果があると言われています。
詳細な解説もご覧ください。
過活動膀胱とは?

過活動膀胱の症状は、「過活動膀胱症状スコア(OABSS:Overactive bladder symptom score)」という質問票を用いてチェックすることができます。
過活動膀胱の治療
排尿チェックシートを用いて、朝起きてから寝るまでの排尿回数、夜寝てから朝起きるまでトイレに起きた回数、尿意切迫感や尿失禁の有無とその程度を把握し、心配であれば早めに医師に相談しましょう。
過活動膀胱の治療は、主に「薬による治療」が行われますが、それとあわせて「膀胱訓練」や「骨盤底筋訓練」などを行うと効果的です。おしっこの状態で困っていることや「旅行に行きたい」という希望など、医師とよく相談し、病気や今後の治療などについて十分に理解して治療に臨みましょう。

過活動膀胱の治療薬には、抗コリン薬、β3アドレナリン受容体作動薬という異なるタイプの薬があります。また、お薬を飲んで症状が和らいだとおっしゃる患者さんがいる一方で、副反応副作用が気になるという方もいらっしゃいます。お薬を使い始めてから何か気になる症状が現れたら、すぐに医師に相談してください。
自分の症状に合った治療法に出会って、早く症状をコントロールできるようになるとよいですね。