暑い夏は水分を摂りすぎて尿漏れやトイレが近くなることも心配ですが、逆に、水分を控えすぎると熱中症や脱水症状も気になります。水分の摂り方や食事で気をつけることなど、日常生活でのアドバイスをお願いします。
腹圧がかかって尿が漏れる腹圧性尿失禁は、季節に関係なく見られる症状ですが、特に夏は、暑い屋外から急に冷房の効いた屋内に入ったときなど、冷気が刺激になって尿漏れを経験することがあります。また、夏は爽やかに淡い色のスラックスやスカートをはいて外出したくなりますが、尿漏れ対策の吸水パッドが透けてしまわないか気になって、色の薄い洋服を避けている人もいることでしょう。

ただ、尿漏れを気にして水分を控えすぎると、暑い季節は脱水症状が心配になります。尿漏れは気になるところですが、脱水症状を起こさないように、口の渇きを感じたり、たくさん汗をかいたりしたときには、こまめに水分を補給しましょう。
また、夏は熱中症にも注意が必要です。外出中に強い日差しにあたることはもちろん、屋内でも温度が高いと熱中症になってしまいます。急激な温度変化は膀胱への刺激となり、尿漏れになる場合がありますので、尿漏れを防ぐには、屋内の温度をこまめに調節して膀胱に刺激を与えないことも大切になります。
ここでは、尿漏れ対策を意識した、暑い季節の水分や食事の摂り方のポイントをまとめました。ぜひ実践してみてください。
詳細な解説もご覧ください。
暑い季節の水分補給① 水分摂取はなるべく日中に
私たちの体内の水分量は、一定に保たれるように調節されています。主に体内に入る水分は、飲み水と食事に含まれる水分です。一方、体から出ていく水分には、尿や便、汗のほかにも、「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」と呼ばれる皮膚や呼吸などから蒸発する目には見えない水分があり、体からは知らず知らずのうちに1日にたくさんの水分が失われています。

尿漏れを気にして水分を控えすぎると脱水症状を起こしてしまいますので、口や喉の渇きを感じたら、適度に水分補給をしましょう。ご高齢になると口の渇きを感じにくくなります。そのときは、①おしっこの量が普段よりも少ない、②尿の色が濃い、③おしっこの間隔が開きすぎていると感じたら、それらは体の水分が足りないサインですので、積極的に水分を摂るようにしてください。
ただ、夜寝る前にたくさん水を飲むと夜中に何度もトイレに行きたくなってしまいます。水分補給は目覚めてから、なるべく日中にするよう心がけましょう。
暑い季節の水分補給② 汗をかいたら電解質を含んだ飲み物を
汗がたくさん出ると、体内からは水分だけでなく電解質も失われていきます。電解質にはナトリウムやクロール(塩素)、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあり、これらは5大栄養素とされるミネラルに属します。
電解質は細胞や神経、筋肉の動きを調整しています。電解質のバランスが崩れると体温や血圧を調節できなくなり、頭痛や吐き気、めまいなどの脱水症状が現れます。また、腎臓はこれらの電解質を適切な量に調節しています。

そのため、夏には水分だけでなく電解質を補うことが必要です。最も簡単な方法は、電解質を含んだ飲み物を摂取することです。もし手元に水しかない場合は、塩分が含まれている飴や梅干しなどを一緒に摂るとよいでしょう。
食事は1日3食しっかりと、電解質の補給を意識する
夏は食欲が落ちて、食事もさっぱりした味の薄いものに偏りがちになります。しかし、食事からの水分補給も大切ですので、1日3食しっかりと食べ、食事と食事の間にも忘れずに水分を摂取しましょう。
また、食事は食べやすく、栄養のあるものを選んで体力を落とさないように注意しましょう。汗で失われた電解質を補うために、「ナトリウム(塩)」とともに、「カリウム」や「ビタミンB1」、「ビタミンC」の補給も大切です。

カリウムはトマトやホウレンソウ、枝豆、ブロッコリーなどの野菜、イモ類、海藻類、大豆製品、果物に多く含まれています。ビタミンB1は不足すると、だるさや疲れやすさの原因になります。ビタミンB1を豊富に含む豚肉やうなぎ、そば、玄米、ごま、ピーナツなどを食事に取り入れるといいでしょう。また、ビタミンCが不足すると食欲低下につながります。ビタミンCの補給にお勧めの食べ物には、果物、ピーマン、ブロッコリー、キャベツ、イモ類などがあります。
夏と言えば、ビールが美味しい季節です。つい飲みすぎてしまいそうになりますが、ビールなどのアルコールで摂取した水分は身体に蓄えられず、おしっことして排泄されてしまいます。すると、おしっこの量が増えて脱水症状になりやすくなりますので、お酒の飲みすぎにはご注意ください。