教えて!おしっこに関するQ&A

患者さんがおしっこに関するお悩みになることに専門家がお答えします。

【執筆・監修】谷口 珠実 先生

(山梨大学大学院総合研究部医学域 健康・生活支援看護学講座 大学院排泄看護学教授)

食事に関するQ&A

暑い夏は水分を摂りすぎて尿漏れやトイレが近くなることも心配ですが、逆に、水分を控えすぎると熱中症や脱水症状も気になります。水分の摂り方や食事で気をつけることなど、日常生活でのアドバイスをお願いします。

腹圧がかかって尿が漏れる腹圧性尿失禁は、季節に関係なく見られる症状ですが、特に夏は、暑い屋外から急に冷房の効いた屋内に入ったときなど、冷気が刺激になって尿漏れを経験することがあります。また、夏は爽やかに淡い色のスラックスやスカートをはいて外出したくなりますが、尿漏れ対策の吸水パッドが透けてしまわないか気になって、色の薄い洋服を避けている人もいることでしょう。

ただ、尿漏れを気にして水分を控えすぎると、暑い季節は脱水症状が心配になります。尿漏れは気になるところですが、脱水症状を起こさないように、口の渇きを感じたり、たくさん汗をかいたりしたときには、こまめに水分を補給しましょう。

また、夏は熱中症にも注意が必要です。外出中に強い日差しにあたることはもちろん、屋内でも温度が高いと熱中症になってしまいます。急激な温度変化は膀胱への刺激となり、尿漏れになる場合がありますので、尿漏れを防ぐには、屋内の温度をこまめに調節して膀胱に刺激を与えないことも大切になります。

ここでは、尿漏れ対策を意識した、暑い季節の水分や食事の摂り方のポイントをまとめました。ぜひ実践してみてください。

詳細な解説もご覧ください。

暑い季節の水分補給① 水分摂取はなるべく日中に

私たちの体内の水分量は、一定に保たれるように調節されています。主に体内に入る水分は、飲み水と食事に含まれる水分です。一方、体から出ていく水分には、尿や便、汗のほかにも、「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」と呼ばれる皮膚や呼吸などから蒸発する目には見えない水分があり、体からは知らず知らずのうちに1日にたくさんの水分が失われています。

尿漏れを気にして水分を控えすぎると脱水症状を起こしてしまいますので、口や喉の渇きを感じたら、適度に水分補給をしましょう。ご高齢になると口の渇きを感じにくくなります。そのときは、①おしっこの量が普段よりも少ない、②尿の色が濃い、③おしっこの間隔が開きすぎていると感じたら、それらは体の水分が足りないサインですので、積極的に水分を摂るようにしてください。

ただ、夜寝る前にたくさん水を飲むと夜中に何度もトイレに行きたくなってしまいます。水分補給は目覚めてから、なるべく日中にするよう心がけましょう。

暑い季節の水分補給② 汗をかいたら電解質を含んだ飲み物を

汗がたくさん出ると、体内からは水分だけでなく電解質も失われていきます。電解質にはナトリウムやクロール(塩素)、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあり、これらは5大栄養素とされるミネラルに属します。

電解質は細胞や神経、筋肉の動きを調整しています。電解質のバランスが崩れると体温や血圧を調節できなくなり、頭痛や吐き気、めまいなどの脱水症状が現れます。また、腎臓はこれらの電解質を適切な量に調節しています。

そのため、夏には水分だけでなく電解質を補うことが必要です。最も簡単な方法は、電解質を含んだ飲み物を摂取することです。もし手元に水しかない場合は、塩分が含まれている飴や梅干しなどを一緒に摂るとよいでしょう。

食事は1日3食しっかりと、電解質の補給を意識する

夏は食欲が落ちて、食事もさっぱりした味の薄いものに偏りがちになります。しかし、食事からの水分補給も大切ですので、1日3食しっかりと食べ、食事と食事の間にも忘れずに水分を摂取しましょう。

また、食事は食べやすく、栄養のあるものを選んで体力を落とさないように注意しましょう。汗で失われた電解質を補うために、「ナトリウム(塩)」とともに、「カリウム」や「ビタミンB1」、「ビタミンC」の補給も大切です。

カリウムはトマトやホウレンソウ、枝豆、ブロッコリーなどの野菜、イモ類、海藻類、大豆製品、果物に多く含まれています。ビタミンB1は不足すると、だるさや疲れやすさの原因になります。ビタミンB1を豊富に含む豚肉やうなぎ、そば、玄米、ごま、ピーナツなどを食事に取り入れるといいでしょう。また、ビタミンCが不足すると食欲低下につながります。ビタミンCの補給にお勧めの食べ物には、果物、ピーマン、ブロッコリー、キャベツ、イモ類などがあります。

夏と言えば、ビールが美味しい季節です。つい飲みすぎてしまいそうになりますが、ビールなどのアルコールで摂取した水分は身体に蓄えられず、おしっことして排泄されてしまいます。すると、おしっこの量が増えて脱水症状になりやすくなりますので、お酒の飲みすぎにはご注意ください。

この季節には、つい食べ過ぎたり飲み過ぎたりしてしまいますが、トイレが近いので心配です。気を付けた方が良いことはありますか?

たとえリモートであっても、飲み会などが続くと、つい食べ過ぎたり飲み過ぎたりしてしまいますね。私たちの体は、体内の水分量が一定に保たれるようにバランスを取っています。飲み過ぎにより体内で増え過ぎた水分は、尿として排泄されるため、水分を取り過ぎると何度もトイレに行くことになってしまいます。また、お酒やコーヒーなどには利尿作用があり、そのことも原因の一つとなります 。そのため、トイレが近くて気になる人は、飲む量と飲み物の種類に気をつけましょう。

詳細な解説もご覧ください。

食べ過ぎは肥満に、飲み過ぎはおしっこの量と回数に影響します。飲んだ水分は胃や腸で吸収されて、血液と一緒に血管内に入り、体の中を巡ります。血管の中に増え過ぎた水と老廃物は腎臓でろ過されて、尿として膀胱内に溜まり、最終的には排尿されます。

たくさん飲んで、たくさん排尿するのは異常なことではなく、むしろ、体が正常に機能しているから起こる現象なのです。

「適切な水分摂取量」はどのくらい?

ところで、“飲み過ぎ”とはどのくらいの量なのか気になりますね。1日に必要な水分摂取量は体重によって変化します。自分の1日に必要な水分摂取量を知るには、24時間尿量(1日あたりの尿量のこと)と体重が目安となります。健康な成人の24時間尿量は、体重1kgあたり20~25mL程度であり、1日の水分摂取量は体重の2~2.5%とするのが適切だとされています。

例えば、体重60kgの人なら、1日の水分摂取量は1,200~1,500mL程度になります。200mLのマグカップなら6~7杯、あるいは500mLのペットボトルだと2~3本、ということになります。

この1日の水分摂取量には、飲み物だけでなく、味噌汁などの汁物や水分の多い果物など食事から摂取する水分も含まれるので、注意しましょう。

なお、24時間尿量が体重1kgあたり40mL以上になると「多尿」と呼ばれます。例えば、体重60kgの人は、1日に2,400mL以上を排尿する状態です。

〔参考文献〕
日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会編集:夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]、リッチヒルメディカル、2020年

飲み物や食べ物の種類にも要注意

おしっこの量や回数には、飲む水の量だけではなく飲み物の種類も大きく影響します。例えば、カフェインには利尿作用があります。腎臓の血管を拡張して腎臓に多くの血液が運ばれることで利尿作用が働くため、コーヒーや紅茶、日本茶などのカフェインの含有量が多い飲み物をたくさん飲むとトイレが近くなってしまいます。

また、ビールやワイン、日本酒、サワーなどのアルコールにも利尿作用があります。アルコールを摂取すると、体内の余分な水分が排出されるだけでなく、アルコールの代謝にも血液中の水分が使われて排出されてしまいます。

夜のお付き合いでは、短時間にビールをジョッキで2~3杯飲んでしまうこともあるでしょう。アルコール摂取による排尿への影響はもちろんですが、お酒を飲み過ぎると体が脱水状態になることがありますので注意が必要です。

また、食べ物にも利尿作用のあるものがあります。例えば、野菜や果物には水分のほかにカリウムを多く含んでいるものがあり、カリウムを排出するために排尿が促されることがあります。カリウムを多く含む食品には、わかめやひじきなどの海藻類、アボカド、ホウレンソウ、大豆や小豆などがあります。

このように、食事や飲水をするときには、量や種類に気を付けて、適量を摂取するように心がけましょう。