かかりつけ医から「排尿日誌」をつけるように勧められました。排尿日誌とは、そもそもどういうものなのでしょうか?
また、排尿するたびに記録をつけるようですが、夜間も記録をつけるなど、面倒くさそうです。何を記録するのですか?

「排尿日誌」とは、ご自分の排尿の状態を把握するために、おしっこをした時間や量、そして排尿に関係する日常生活の事柄などを記録するものです。排尿日誌から得られる情報は、医師が排尿障害を正しく診断したり、治療法を検討したりする際に役立ちます。
そのため、排尿日誌はできるだけ正確に記録することが重要です。特別な行事がなく、外出も少なく、落ち着いて記録ができる日を選んで記録しましょう。
排尿日誌の記録方法については、詳しい説明をご参照ください。
排尿日誌は用紙に記入するものだけでなく、スマートフォンに入力するアプリなどもあります。ご自分が使いやすい形式のものを選び、計量カップも工夫をしながら、記録をつけてみましょう。
詳細な解説もご覧ください。
●排尿日誌は診断や治療法を検討する際の判断材料の一つ

排尿に関わる症状や病気にはさまざまなものがあるため、かかりつけ医がその原因や治療の必要性を正しく判断するためには、患者さんの排尿の状態や症状を客観的に評価する必要があります。
そのための手段の一つが「排尿日誌」です。かかりつけ医は、日誌から得られる情報を参考にしながら、排尿障害のタイプを正しく診断したり、治療の必要性や治療法を検討したり、さらには治療効果を判定したりします。
排尿日誌には、排尿した時刻とおしっこの量、尿漏れの有無や、突然トイレに行きたくなる尿意切迫感の有無の記録が基本となります。おしっこの量は、市販の計量カップなどを用いて、排尿した時にその場で量ります。
このほかにも、起床時刻や就寝時刻など排尿に関係する日常生活の事柄も記載するとよいでしょう。
排尿日誌の情報は、正しい診断や治療法の決定、お薬の効果判定に役立ちます。できるだけ正確に記載することが大切なので、特別な行事がなく、外出も少なく、落ち着いて記録ができる日を選んで記録しましょう。
●排尿に関わる日常生活の事柄も記録しましょう
排尿日誌をつける日数は、目的により異なります。おしっこをした1日の回数や量、尿漏れの状況を知るには24時間連続して記録すれば十分ですが、夜間の排尿状況を把握するためには、連続して2~3日以上記録することが望ましいとされています。
いずれにしても長期の継続ではなく、短期間ですので、かかりつけ医の指示に従い記録してみてください。

【例】夜間頻尿治療に用いられる排尿日誌
基本情報のほかに記録したい排尿に関わる日常生活の事柄には、①起床時刻や就寝時刻、②摂取した水分の種類や量、③水分を多く含む果物や汁物の摂取量、④服薬している薬の種類と服薬時間、⑤散歩や汗をかくほどの運動、⑥入浴、⑦外気温、⑧尿が漏れた理由(我慢ができなかった、くしゃみや重い荷物の上げ下げ、走るなどの動作時、特に理由は分からない)などが挙げられます。
排尿日誌の書式はさまざまで、治療の目的によって使い分けることがあります。
まずはかかりつけ医に相談の上、記載すべき項目の選定、自分に合った排尿日誌を選びましょう。
何が排尿に影響するのかが分からない場合には、日記を書くつもりで、1日を通して行ったことや飲食した内容など、気がついたことを備考欄や欄外にメモしておきましょう。
飲水量は、特に多尿や頻尿がある場合に重要な情報となります。お水やお茶などの水分の記載が必要になるので、普段使用するコップと計量カップで量り、どのくらいの量を飲んだのか記録してください。
排尿日誌は、ただ用紙に記録すれば終わりというものではありません。ご自分の排尿の状態を知り、治療によって症状がどう変化したのかを把握することも大切です。
その際には、自己判断するのではなく、かかりつけ医から的確なアドバイスをもらった上で、ご自身の状態を把握すると、治療の成果を実感しやすくなります。
●ちょっとした工夫でおしっこの計量や記録も楽に
排尿日誌をつけるには、まず、おしっこを量る計量カップを用意します。膀胱に溜められるおしっこの量は人によって異なりますが、500mL程度のサイズのものを準備すると良いでしょう。おしっこを量った後はそのまま廃棄できるもの、または、100円ショップで売っている市販の計量カップなどの活用がお勧めです。

計量カップは、身の回りにあるもので代用することもできます。
ペットボトルを使用する場合は、ペットボトルの上部をカットし、断面でけがをしないようにカットした部分にビニールテープを巻きつけます。そこに50mLずつ計量カップで水を入れて、太めのマジックで50mL、100mL、150mL、200mL…と目盛りを書き入れます。そうすれば計量カップの完成です。このように、ちょっとした工夫で簡単に計量できるようになります。
その他、1回の尿量が少ない方は自宅に余っている紙コップ、また、牛乳パックやテイクアウトしたドリンクのカップを活用しても良いでしょう。

また、トイレにメモ用紙と筆記用具も備え、おしっこを量ったら、その場ですぐに尿量をメモしましょう。その後、トイレから出たら、早めに排尿日誌に記入します。
メモ用紙は、摂取した水分の種類や量、気になったことなどを記録するときにも役立つので、排尿日誌をつける間は手元にも置いておくと便利です。
最近は、スマートフォンを使って排尿日誌を入力できるアプリなどもありますので、操作しやすいものを探してみると良いでしょう。

トイレに行くたびに記録をつけるのは面倒に感じるかもしれませんが、おしっこのトラブルを解決に導くためには大切な情報です。できるだけ正確に記録して、受診した際にかかりつけ医に提出しましょう。