教えて!おしっこに関するQ&A

患者さんのおしっこに関するお悩みに専門家がお答えします。

【執筆・監修】谷口 珠実 先生

(山梨大学大学院総合研究部医学域 健康・生活支援看護学講座 大学院排泄看護学教授)

生活に関するQ&A

健康診断でメタボだと指摘されました。最近、トイレが近いのですが、メタボや肥満とトイレが近いのは関係ありますか?

メタボリックシンドローム(通称:メタボ)は、内臓肥満に高血圧、脂質異常、高血糖などが合わさった状態のことをいいます。メタボリックシンドロームや肥満になると、排尿にも影響が生じます。

例えば、夜間頻尿や突然の強い尿意切迫感を伴う過活動膀胱などで排尿回数が増加したり、中高年女性では尿漏れが生じたりすることが知られています。生活を見直し、メタボリックシンドロームや肥満の改善を図りましょう。

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メタボリックシンドロームとは?

日本では、おへその高さの腹囲が男性では85cm、女性では90cm以上で、かつ血圧、血糖、脂質のうち2つ以上が基準値を超えると、メタボリックシンドロームと診断されます。それぞれの基準値は、血圧は130/85mmHg以上、血糖(空腹時血糖)は110mg/dL以上、脂質は高トリグリセライド血症(150mg/dL以上)かつ/または低HDLコレステロール血症(40mg/dL未満)と定められています。

メタボリックシンドロームになると、高血圧や糖尿病といった疾患になりやすくなります。そして、これらの疾患はトイレの近さ(頻尿)などのおしっこトラブルの原因になることがあります。

例えば、 高血圧(病院などで測定した血圧値が収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます)は夜間多尿をきたしやすく、動脈硬化による膀胱の虚血状態から頻尿が生じやすくなります。糖尿病では、多尿や残尿の増加などが生じます。また、高血圧や糖尿病は不眠や睡眠時無呼吸症候群を合併する頻度が高く、これらの睡眠障害も夜間頻尿の原因になります。おしっこのトラブルに、これらの疾患が関係している場合には、その治療も並行して行うことが大切です。

メタボを改善するには「生活習慣の見直し」が大切

メタボリックシンドロームを改善するためには、生活習慣を見直すことが大切です。内臓脂肪がたまりやすい生活習慣として、食事の偏り、不規則なタイミングでの食事、過食、運動不足などが知られています。脂質の多い料理やごはん・麺類、菓子類をよく食べる、野菜を食べる機会が少ない、という方は栄養バランスを見直しましょう。併せて、食事の時間や回数を規則的にする、満腹まで食べず腹八分目にとどめる、早食いを避け飲酒はほどほどにする、寝る直前の飲食を控えるなど、食事のタイミングや量にも注意しましょう。

生活にちょっとした運動を取り入れましょう

運動を生活に取り入れることも大切です。運動を定期的に行えるとよいのですが、運動が苦手という方は、日常生活でからだを動かすことに積極的に取り組んでみましょう。例えば、エレベーターを使わず階段を使うことや、通勤や買い物などでいつもよりも歩行距離を延ばすことを意識的に行うと良いでしょう。

尿路結石になると激痛で、本当につらいとよく聞きます。結石ができやすい人には何か特徴があるのでしょうか? また、尿路結石にならないためにはどうしたら良いでしょうか。日常生活での工夫などがあったら、教えてください。

腎臓でつくられた尿がからだの外に排出されるまでの通り道のことを「尿路」といい、尿路には、腎臓と尿管、膀胱、尿道といった臓器が含まれます。

尿路結石とは、尿路内で尿中に含まれるカルシウムやシュウ酸などの成分が結晶化したものです。尿路結石は、女性よりも男性の方ができやすいとされ、とくに30代から50代の働き盛りの男性に多くみられます。背中から下腹部にかけて突然の激痛や血尿などの症状を引き起こし、1年のうちで夏に多く発症するといわれています。

尿路結石になる原因はさまざまですが、おもに、水分の摂取不足、尿路結石になりやすい成分を多く含む食品の摂りすぎ、腎臓や尿路の形の異常、偏った食生活に因る肥満や糖尿病または高血圧がある場合などが関連しています。
以下に日常でできる対策などについても解説しました。是非ご参照ください。

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尿路結石の症状は?

尿路結石が尿管の中に落ちると、結石によって尿の流れが悪くなったり、腎臓に尿が溜まって内圧が急上昇したりすることにより、背中からわき腹、下腹部にかけて激痛が起こります。このような痛みの発作に伴い血尿がみられることもあります。
重い症状になると、腎臓に尿が溜まる水腎症や、細菌感染を合併した腎盂腎炎を引き起こし、高熱が出て、尿が濁ることがあります。

一方で、まったく症状が出ない場合もあり、知らないうちに腎臓の機能が悪化することもあります。気になる症状があれば、迷わず泌尿器科を受診しましょう。

尿路結石になりやすい人の特徴は?

尿路結石は、年齢や性別、偏った食生活、からだを動かすことが少ないデスクワークなどの職業、ストレス、遺伝、気候、尿路の形の異常などさまざまな要因が複雑に関与していますが、おもに以下のようなことが考えられます。

①水分の摂取不足
水分が不足すると、尿が濃縮されて結石ができやすくなると考えられています。とくに夏場の運動後などは脱水になりやすく、尿が濃縮されやすいので注意が必要です。

②シュウ酸を多く含む食品の摂りすぎ
シュウ酸を多く含む食品を摂りすぎると尿路結石の原因になります。例えば、ホウレンソウやコマツナなどの葉菜(ようさい)類やお茶、バナナ、チョコレート、ココアなどは過剰な摂取にならないように注意しましょう。

③腎臓や尿路の形の異常
腎臓や尿管、膀胱、尿道の形に異常がある、前立腺肥大症などで尿が出にくい、尿路に狭い箇所があるなど、尿路の形に異常がある場合も結石ができやすくなります。

④肥満や糖尿病、高血圧などに起因するメタボリックシンドロームの患者さん
尿路結石の発症には、食事や運動などの生活習慣が大きくかかわるとされ、最近では、尿路結石はメタボリックシンドロームの一つの疾患だとする考え方が広まっています。そのため、尿路結石の予防には、食生活の改善や適度な運動により肥満を防止することが大切です。

日常生活でできる予防策は?

日常生活でできる予防策でも、生活習慣の改善が大切です。

まず、水分をこまめに補給。次に、栄養バランスの取れた食事を心がけ、シュウ酸を多く含む食品を摂りすぎないように気をつけること。これらの食品を摂取する際には、シュウ酸を排泄させる働きを持つカルシウムが豊富な食品を一緒に摂る工夫をすると良いでしょう。

さらに、尿路結石になった患者さんは、半数近くが5年以内に再発するといわれています。これらの予防策を継続し、再発防止に努めましょう。

尿路結石になってしまったら

尿路結石の治療には、おもに、痛みを和らげるもの、尿路結石を出しやすくするもの、尿路結石を取り除くものの3つがあります。

背中から下腹部にかけて突然、激痛が走るような痛みの発作があるときは、鎮痛薬で痛みを抑えると同時に、結石をからだの外に出す治療も行っていきます。

結石が小さい場合は、結石を出しやすくするお薬を使って、自然に排出されるように促します。
結石が大きい場合は、からだの外から衝撃波を当てて結石を割ったり、レーザーや空気衝撃波などの装置を用いて石を砕いたりして手術により取り出す方法もあります。結石のある位置(腎臓、尿管、膀胱、尿道)によっても適切な治療法は異なります。医師と相談しながら、ご自分に合った治療法を選びましょう。

尿路結石は痛みを取り除き、適切な治療法を慎重に検討する必要があります。背中から下腹部に痛みを感じたら、我慢せずに泌尿器科の医師にご相談ください。

50代の男性です。最近、太ってきただけでなく、おしっこが近くなり、なんとなく体調が悪い日や仕事に集中できない日も増えたような気がします。これは年のせいなのでしょうか?

おしっこが近くなる原因の一つに肥満が挙げられますが、今回は体調が悪い日や物事に集中できない日が増えたと感じていることから、男性更年期障害の可能性も考えられます。

肥満に伴う頻尿を改善するには、食事や運動などの生活習慣を見直し、肥満を是正することが大切です。しかし、男性更年期障害に由来する頻尿であれば、「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモンの分泌を促すような対策を取ったり、適切な薬物治療を受けたりすることでお悩みの症状が改善する場合があります。

気になる症状があったら、一度、泌尿器科を受診して医師に相談してみましょう。

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なんとなくからだの不調を感じる原因は「更年期障害」かも

中高年の男性がなんとなくからだの不調を感じる原因の一つに「男性更年期障害」があります。更年期というと女性特有のものと思われがちですが、男性でも男性ホルモン(テストステロン)の分泌が低下し始める40代以降は、更年期障害の症状が現れる可能性があります。

しかし、男性更年期障害は、一般にあまり知られていません。そのため、「疲れがとれない」「意欲がわかない」と感じても、「年のせいだろう」「ただの疲れに違いない」と思って見過ごされてしまいます。

男性更年期障害の症状には、男性特有なものとして性欲の減退や勃起力の低下(EDと呼ばれる勃起障害)などの性機能症状のほかに、筋力低下や関節痛、筋肉痛、異常発汗、ほてりなど女性の更年期障害と似た症状が現れることがあります。
また、心理面の症状として、疲れがとれない、興味や意欲がわかない、集中できない、記憶力の低下、不眠、うつ症状、不安や孤独感、寂しさを感じるなどもあります。

以下の「AMS(Aging males' symptoms)スコア」という問診票を用いると、男性更年期障害にみられる症状がどのくらい当てはまるか、セルフチェックすることができます。
もしかしたら男性更年期障害かもしれない…、と思ったら、一度、チェックしてみると良いでしょう。

※セルフチェックは診断を確定するものではありません。更年期障害以外の病気の可能性もありますので、気になる症状がある方は自己判断せずに、かかりつけ医や泌尿器科に相談しましょう。

■AMSスコア

17項目の合計点で症状の程度を把握します。
合計点が50点以上になる場合は、早急に治療を受ける必要があるとされています。

AMSスコア

出典:加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き:日本泌尿器科学会/日本メンズヘルス医学会
「LOH症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会編集、じほう、2007年、
p11.表1-3HeinemannらによるAging males' symptoms(AMS)スコア

男性更年期障害の症状を少しでも改善させるには、生活リズムを整えたり、趣味や興味のあることを楽しんだりすると良いでしょう。他にも、地域活動やボランティアなどを通じて社会や他者とのつながりをもつことも効果的です。自分の役割ができたり、他者から認められたりすると男性ホルモン(テストステロン)の分泌が回復することがあります。

また、男性更年期障害は適切な薬物療法を受ければ、症状が和らぐこともあります。気になる症状があれば泌尿器科や内科、心療内科、精神科など、ご自分の症状にあった診療科のある医療機関で相談してみましょう。

頻尿の原因、「肥満」にもご注意を

内臓脂肪が増えると膀胱や尿道が圧迫され、頻尿になることがあります。肥満の原因には、食べ過ぎの他にも、運動をする機会が少なくなって以前に比べて運動量が減ったことや、加齢に伴う基礎代謝の低下などが考えられます。

また、加齢により男性ホルモン(テストステロン)の分泌が減ると、代謝機能が低下し、内臓脂肪や皮下脂肪が増えやすくなります。その結果、中高年男性は肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病になりやすくなります。さらに、動脈硬化が進むと心筋梗塞や狭心症、脳卒中といった生命を脅かす病気にも罹りやすくなります。

「最近、太ってきた」と感じたら、食事内容を見直し、運動習慣を身につけて筋力を維持し、基礎代謝を上げるように努めることが大切です。
肥満を是正して、頻尿の症状も改善していきましょう。

以前はトイレが近くて悩んでいた祖母が、最近はほとんどトイレに行かなくなってしまいました。トイレに行った後もすっきりしない感じがあるようです。心配ないのでしょうか。また、どのような原因が考えられるでしょうか?

まず、長らくトイレが近いことで悩まれていた原因としては、水分を摂りすぎていたり、過活動膀胱や尿路感染などの疾患によるものであったり、間に合わないのではないかという不安から何度もトイレに行ってしまうなど気持ちの問題があったりと、さまざまなことが考えられます。

最近はトイレに行く回数が減ってしまったということですが、その原因として、まずは、1日に摂取する水分量が変わったなど生活上で何か変化はないか思い返してみましょう。

そのような変化に心当たりがないとすると、膀胱の働きが弱まってきている可能性も考えられます。つまり、加齢に伴い膀胱の筋肉の力が弱まり、膀胱の機能が低下することで溜まったおしっこを外に出しづらくなってしまう「低活動膀胱」という状態になっているのかもしれません。

もし、お祖母さんが「尿意を感じない」「おしっこが出づらい」といった症状で困っている様子でしたら、適切な治療が必要ですので、早めにかかりつけ医や泌尿器科に相談しましょう。

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●「トイレが近い(頻尿)」原因はさまざま

まず、トイレが近くなる原因には、以下のようなことが考えられます。

  1. ①水分の摂りすぎ(多尿):1日に必要とする水分量はほぼ決まっており、必要以上の水分を摂りすぎるとおしっことして排泄されるため、頻尿の原因となる
  2. ②我慢できないような強い尿意を伴う過活動膀胱がある
  3. ③膀胱の容量が減少する:加齢などによって膀胱の容量が小さくなり、おしっこを少ししか溜められなくなるため、頻尿の原因となる
  4. ④膀胱炎や前立腺炎などの尿路系の感染がある
  5. ⑤膀胱や尿路の結石がある:尿路感染や結石があると、それが膀胱の神経に刺激となって頻尿の原因となる
  6. ⑥尿漏れやトイレに間に合わないことが心配で、何度もトイレに通ってしまう

●トイレが遠くなる原因には「低活動膀胱」の可能性も

では、ほとんどトイレに行かなくなってしまった原因を考えてみましょう。

最近、お祖母さんの生活上で何か変化はないでしょうか。例えば、思い返してみると、以前は、社会活動が活発でお友達とお茶を飲む機会も多かったのに、コロナ禍で外出が減ってお茶も飲まなくなり、その結果、トイレに行く回数が減ったというように、原因が特定できる場合もあります。
水分を控えすぎると、特に暑い季節は脱水症状が心配になります。適度に水分補給をしましょう。
一方で、加齢や糖尿病などの病気が原因で膀胱の収縮力が低下してしまい(「排尿筋低活動」と呼びます)、溜まったおしっこを出しづらくなりトイレが遠のいてしまうことがあります。この状態を、医学的には「低活動膀胱」と呼びます。低活動膀胱では、おしっこが出づらい、排尿後もおしっこが残っている感じがする(残尿感)などの症状があるほか、症状が進むとおしっこが出せなくなることもあります。

適切な治療を受けず、この状態を放置していると、膀胱炎などを起こしやすくなったり、腎機能の低下を招いたりすることもあります。そのため、早めに検査を受け、適切な治療を受ける必要があります。

トイレが遠のいてしまった原因を知るためにも、お祖母さんに「最近、トイレに行く回数減っていない?」と尋ねてみましょう。すると、お祖母さんが、今の状態をどのように感じているのか話してくれるでしょう。

「以前は、強い尿意を感じ、しょっちゅうトイレに行きたくなって困っていた」や「最近は、切迫感がなくなって、おしっこを溜められるようになった」などと言えば、今の状態は以前よりも良い状態と感じているかもしれません。

一方で、「実は、最近尿意がなくなって、おしっこが出にくくなって困っている」ということであれば、きちんと検査を受けて原因を突き止めることが大切です。

低活動膀胱など原因が分かれば、適切な治療を受けることで症状が改善することがあります。早めにかかりつけ医や泌尿器科を受診して相談してください。

大人なのに「おねしょ」をしてしまいました。
おねしょをしてしまう大人はいますか?

「おねしょ」は未就学の幼児によくみられるものですが、実は大人にも起こります。
5歳以降で月1回以上のおねしょが3カ月以上続く場合を「夜尿症」と言います。子どもの頃からずっと続く場合と、成長に伴っていったんは治ったのに、大人になって再発する場合があります。
さらに、働き盛りやセカンドライフを楽しむ年代になって、突然、おねしょ(夜尿症)が始まることもあります。このときのショックは大きいものですが、大人の夜尿症は誰にでも起こる可能性があり、決して珍しくはありません。

排尿機能が未発達なために起こる子どもの夜尿症と違って、大人の夜尿症にはさまざまな原因があると考えられています。

大人の夜尿症の原因には、①加齢による筋肉や神経の衰え、②心配事やストレスによるもの(自律神経の不調や睡眠障害)、③生活習慣以外にさまざまな病気が隠れている場合、などが挙げられます。
例えば、「過活動膀胱」や「前立腺肥大症」など泌尿器の病気のほか、「糖尿病」や「睡眠時無呼吸症候群」などの病気が夜尿症を引き起こす原因となっていることもありますので、注意が必要です。

それぞれの原因により治療法は異なりますので、気になる症状がある場合は、一度、泌尿器科やかかりつけ医を受診してみましょう。

詳細な解説もご覧ください。

夜尿症(おねしょ)の原因を知ろう

夜尿症を適切に治療するためには、まず、その原因を探ることが大切です。
どんな原因があるのでしょうか。ご自分に当てはまる症状はないか、一度確認してみましょう。

①加齢による筋肉や神経の衰えによるもの

年をとって、排尿をコントロールする神経や骨盤底筋などの筋力が衰えると尿漏れを起こしやすくなります。尿意を感じて目覚めてもトイレに間に合わない…といったこともあるでしょう。

尿漏れを防ぐためにも、普段から「骨盤底筋訓練」などの尿活トレーニングで骨盤底筋を鍛えておくことをお勧めします。

※尿活トレーニングについては、「尿活のおすすめ:尿活トレーニング」をご参照ください。

②心配事やストレスによるもの(自律神経の不調や睡眠障害)

睡眠中は「抗利尿ホルモン」と呼ばれるホルモンが分泌されていることで尿量が抑えられ、ぐっすり眠ることができています。

しかし、心配事やストレスがあって自律神経が乱れると、なかなか寝付けなかったり、途中で目覚めてしまったりする「睡眠障害」になり、この抗利尿ホルモンがうまく分泌されません。そのため、睡眠中に尿が膀胱にたくさん溜まってしまい、夜尿症の原因になると考えられています。

③生活習慣によるもの

生活習慣が乱れて、夜更かしなどをしてしまい、ぐっすり眠れていない、寝る前にお酒を飲みすぎてしまう、水分を摂りすぎてしまう…といったことがあると夜間に尿量が多くなり、夜尿症を起こしやすくなります。

④病気によるもの

(1)夜間の尿量が増える病気:「糖尿病」「睡眠時無呼吸症候群」など

「糖尿病」や「睡眠時無呼吸症候群」、「腎臓病」、尿の量を調節するホルモンに異常が起こる「尿崩症」と呼ばれる病気などがあると睡眠中の夜間の尿量が増えるとされています。
また、気持ちが落ち着かないために水分を摂りすぎてしまう病気(「神経性多飲症」と呼びます)も夜間の尿量が増える原因となります。

(2)膀胱機能が低下する病気:「過活動膀胱」「前立腺肥大症」など

「トイレに行く回数が多い(頻尿)」、「突然の強い尿意が我慢できない(過活動膀胱)」、「尿失禁」、これらの症状の原因となる「前立腺肥大症」などがあると、膀胱の容量が減ったり、働きが悪くなったりして、膀胱がうまくおしっこを溜められなくなってしまい、それが夜尿症の原因になることがあります。
また、「脊髄の病気」が隠れている場合もあります。

(3)その他の病気

上記以外にも「てんかん発作」や「先天性の腎尿路疾患」、「便秘」などがあると夜尿症になりやすいと言われています。ただし、これらの病気でなぜ夜尿症が起こるかは、今のところ分かっていません。

治療と生活上の注意点

夜尿症の治療法は原因により異なります。
まず、夜尿症の原因が病気によるものであることが分かっている人は、その病気をしっかりと治療することが大切です。

夜尿症の治療としては、夕食の塩分を制限するなど「食事内容を見直す」、「夕食後の水分摂取を控える」、「就寝前にトイレに行く習慣を身につける」などの日常の生活習慣を見直すことから始めます。

それでも夜尿症が続く場合は、「夜尿アラーム療法(センサーが夜尿を感知し、アラームを鳴らして目覚めさせるという治療法)」や抗利尿ホルモン薬などによる治療を行っていきます。

心配事やストレスによる自律神経の不調で眠りが浅かったり、途中で目覚めたりなどの睡眠障害が生じている場合には、こころの不調の原因を取り除くことで症状が和らぐ場合もあります。

一人で悩みを抱えずに、誰かに相談する、心配しすぎないように気分転換してリラックスする、楽しみに没頭して気持ちを切り替えるなども大切な治療と考えられています。
しかし、アルコールには利尿作用があるので注意が必要です。悩み事を忘れようと寝る前にお酒を飲みすぎるのは、逆効果になってしまうことがあります。


このように、大人の「おねしょ」にはいくつもの原因と、それぞれの原因に適した治療法があります。一人で悩まず、泌尿器科の医師やかかりつけ医に相談してみましょう。

〔参考文献〕

日本夜尿症学会編集:夜尿症診療ガイドライン2016、診断と治療社、2016年

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/nocturnal-enuresis/nocturnal-enuresis.pdf

60代の男性です。最近、トイレの後に気が付いたらズボンにシミがついていることがあり、悩んでいます。何か対処方法はありますか?

おしっこは出し切ったつもりなのに、トイレの後にズボンにシミができてしまい困った…。
中年になってから、そんな経験をしたことのある男性も多いのではないでしょうか。

男性は体の構造上、尿道が長く曲がった形をしているので、もともとおしっこが溜まりやすい上に、加齢とともに筋肉や神経の働きが衰えると排尿しても出し切れず、尿道におしっこが残りやすくなります。
このような症状は、中年以降の男性によく見られることで、決して珍しくはありません。ただ、仕方のないこととはいえ、ズボンや下着が汚れてしまうのは困りますね。このお悩みの対処方法として、尿道に残ったおしっこを押し出すことで解決する場合もあります。
ここでは、男性のちょい漏れの原因と対策について紹介しています。参考にしてみてください。

詳細な解説もご覧ください。

ちょい漏れの原因は?

男性の排尿器は、もともとおしっこが溜まりやすい構造になっています。
前立腺の下にある「尿道括約筋」と呼ばれる筋肉は、排尿時にはゆるみ、排尿を終えると再び閉じて膀胱から尿道に尿が流れ出るのを食い止めるポンプのような働きをしていますが、加齢とともに筋肉の力や、その力を調節する神経の動きが弱くなってくると、尿道から尿を出し切れなくなって尿道の曲がった部分に尿が残ってしまうのです。

また、尿道におしっこがたまっていると気づかずにズボンをあげてしまうと、尿道に溜まっていた尿が流れ出てしまい、ズボンや下着にシミができてしまいます。

このように尿道に残った尿が漏れてしまうことを、医学的には「排尿後尿滴下」と呼びます。この症状は、40~70代の中高年男性によくみられます。

ちょい漏れを防ぐには?

ちょっとした尿漏れを防ぐコツは、尿道に残ったおしっこを押し出すことです。

まず、排尿の終わりに、膀胱などの内臓を支える「骨盤底筋」と呼ばれる筋肉をギュッと締めたり緩めたりを数回繰り返し、しっかりと尿を押し出します。

普段から「骨盤底筋訓練」などで骨盤底筋を鍛えておくとよいでしょう。

※骨盤底筋訓練などの尿活トレーニングについては、「尿活のおすすめ:尿活トレーニング」をご参照ください。

おしっこが終わったら、陰嚢(いんのう:睾丸の入った袋のこと)の裏側の付け根の部分を指で前方に向かって圧迫し、残っている尿を押し出します。

①と②を試しても改善しないときには、着衣を見直してみましょう。
最近は股上の浅いズボンなどもあるようですが、着用している下着の窓とズボンのファスナーの位置が、おしっこの出口よりも高い位置になっていないでしょうか?

おしっこをするときに、尿の出口が高い位置にあると、尿道の曲がった部分に尿がたまりやすくなってしまいますので、これらの位置を見直してみてください。

ただ、加齢に伴って起こる尿漏れはなかなか改善しないこともあります。そういったときには男性用の尿とりパッドなどを上手に活用するとよいでしょう。
最近はパッドの種類も増え、かなり薄型のパンツタイプのものも出ています。これらのアイテムを上手に活用することで安心して過ごせるようになるでしょう。

いずれの対策を行っても尿漏れのお悩みが解決しない場合には、泌尿器科の医師にご相談ください。

最近、おしっこが泡立ったり、白く濁って見えたりするのですが、これは何かの病気なのでしょうか?

おしっこが泡立ってもすぐに消える場合には問題ないことがほとんどですが、時間が経っても泡立ちがなかなか消えない場合には、さまざまな病気が潜んでいる可能性があります。

おしっこが泡立つ原因はさまざまで、尿中に蛋白が出ていれば腎臓の病気が疑われますし、尿中に糖が出ていれば糖尿病が疑われます。また、尿に細菌や白血球が混じっているときは尿路感染症が疑われます。おしっこの泡立ちが続くときは、医師に相談しましょう。

ただ、おしっこが泡立つのは、必ずしも病気が原因とは限りません。例えば、運動した直後や夏場に水分不足になると尿が濃くなって、おしっこが泡立つことがあります。この場合は、適度に水分補給をすると症状は改善します。

おしっこが白く濁るのにもさまざまな原因が考えられます。一時的であればほとんど問題はありませんが、発熱や身体の痛みを伴う場合にはすぐに受診してください。

また、おしっこが白く濁った状態が長く続いていても、必ずしも病気が原因とは限りません。例えば、動物性脂肪の多い肉類やホウレンソウなどに多く含まれるシュウ酸などを過剰に摂取したり、(女性であれば)おりものが混ざったりすることが原因であれば心配はいりません。

一方で、おしっこの濁りが続く場合には、さまざま病気が隠れている可能性もあります。腎盂腎炎や膀胱炎、尿道炎などの尿路感染症、腎臓結石や尿管結石、前立腺や腎臓、膀胱のがんがある場合も尿が濁ることがありますので、濁りが気になるときには受診して検査を受けましょう。

詳細な解説もご覧ください。

おしっこの泡立ちや濁りは一時的なものであれば心配いらないことがほとんどですが、泡立ちがなかなか消えない場合や濁りが続く場合にはさまざまな原因が考えられます。医師に相談して、検査を受けて原因を調べてもらいましょう。

ここでは、おしっこが泡立ったり、白く濁ったりする原因として考えられる病気について解説します。

おしっこが泡立つ原因となる病気は?

糖尿病性腎症や慢性腎不全、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎といった腎臓の病気が原因で腎機能が低下すると、尿中にタンパクが排泄されます。そのため、尿中にタンパクが出ていれば、これらの腎臓の病気を疑います。また、尿中に糖が出ていれば、糖尿病で血糖値が上昇していることが原因と考えられます。

また、尿が何らかの細菌に感染していると、尿道炎や前立腺炎、膀胱炎などの尿路感染症があると考えられます。炎症が細菌そのものではなく、背景に結石やがんが隠れている場合もありますので、受診し、検査で原因を明らかにする必要があります。

おしっこが白く濁る原因となる病気は?

おしっこが白く濁る原因となる病気には、腎盂腎炎や膀胱炎、前立腺炎、尿道炎などの尿路感染症、腎臓や尿管の結石、前立腺や腎臓、膀胱のがんなどがあります。

腎臓や膀胱、尿路に細菌が侵入すると炎症が起こり、尿に白血球や細菌などが多く排泄されて、おしっこが白く濁って見えることがあります。また、腎臓や尿管に結石があると、尿中に結石が混ざったり、血液が混ざったりしておしっこが濁ることがあります。さらに、がんが進行すると尿中に血液が混ざっておしっこが濁ることもあります。

いずれも重大な病気ですので、受診してきちんと原因を精査することをお勧めします。

おしっこが白く濁る、病気以外の原因は?

おしっこが白く濁る原因の一つに、シュウ酸と呼ばれる特定の成分の過剰摂取が挙げられます。シュウ酸を摂りすぎると尿中にシュウ酸カルシウムの結晶ができやすくなり、その結果、おしっこが濁って見えることがあります。

シュウ酸は、動物性脂肪の多い肉類やホウレンソウ、たけのこ、お茶、コーヒー、チョコレート、アーモンドなどに多く含まれています。シュウ酸は水溶性であるため、ホウレンソウやたけのこなどの野菜は茹でることでシュウ酸の摂取量を減らすことができます。

また、シュウ酸はカルシウムと結合すると体内に吸収されにくくなりますので、カルシウムを多く含む小魚や乳製品などを一緒に食べるのもお勧めです。

女性であれば、おりものが尿に混ざって、おしっこが白く濁ることがあります。尿に浮遊物が混ざっているように見えることもあります。一時的ならば問題ないことがほとんどですが、症状が続く場合には膣炎などの可能性もありますので早めに受診してください。

先日、健康診断で尿検査を行いました。尿蛋白、尿糖、尿潜血などさまざまな検査項目がありましたが、尿検査からは、からだのどんな健康状態を知ることができるのでしょうか?

尿検査では、尿中の蛋白や糖、潜血、混濁などを調べることで、さまざまな病気やサイン(徴候)を知ることができます。ここでは代表的な尿検査値について説明します。

「尿蛋白」は腎臓の病気、「尿糖」は糖尿病や糖尿病に関連した病気、「尿潜血」は膀胱がん、結石や腎炎など、「ウロビリノーゲン」は肝臓の病気の可能性を調べる検査です。しかし、これらの項目が異常値を示しても、尿検査だけで病気の有無を判別できるわけではありません。さらに詳しい検査が必要になりますので、尿検査で異常値の指摘を受けたら、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

詳細な解説もご覧ください。

それぞれの尿検査の結果の見方は、以下の通りです。

項目 異常
なし
軽度
異常
要経過
観察
要精密
検査
尿蛋白 ± 2+以上
尿潜血 ± 2+以上
尿糖 ±以上
尿ウロビリ
ノーゲン
正~+ 2+~4+

〔参考文献〕

日本人間ドック学会ホームページより「基本検査項目表・判定区分表2021年度版」

https://www.ningen-dock.jp/wp/wp-content/uploads/2013/09/2021hanteikubun.pdf

一般財団法人日本予防医学協会 検査結果の見方 尿検査

https://www.jpm1960.org/exam/exam05.html

尿蛋白検査

尿蛋白検査では尿中の蛋白質の量を調べます。通常は、(-)~(2+以上)などで表されます。 腎臓では、血液から老廃物など不要な物をろ過して取り除き、尿をつくります。このとき、体に必要な蛋白質は腎臓で再吸収されて血液に戻ります。そのため、正常な場合には血液中の尿蛋白の結果は陰性(-)になります。しかし、腎機能が低下するとからだに必要な蛋白質が再吸収されずに、腎臓から漏れ出てしまうことがあります。そうすると、検査結果は陽性(±)(+)(2+以上)を示します。

尿蛋白が陽性の場合は、慢性腎臓病、腎炎、尿路感染症などの腎臓や泌尿器系の病気を発見する手がかりになります。高熱が出たときの熱性蛋白尿や起立性蛋白尿など、一時的な過労などでも結果は陽性となることもあります。

尿潜血検査

尿潜血検査では、おしっこに血が混じっていないかを調べます。尿潜血が陽性だと腎臓や尿管、膀胱、尿道など尿の通り道のどこかで出血していることが疑われます。 尿潜血は、腎臓のがん、膀胱炎、前立腺炎、腎臓や尿管の結石、糸球体腎炎、腎嚢胞などがあると陽性となります。尿潜血が陽性の場合は、必ず泌尿器科を受診して実際に尿中に赤血球が見られるか検査する必要があります。

尿糖検査

尿糖検査では、尿中の糖分を調べます。蛋白質と同様に、糖は腎臓で再吸収されて血液に戻るため、正常な場合には尿中に糖が出ることはありません。しかし、血液中の糖の濃度がある一定の値を超えると再吸収しきれなくなり、尿中に糖が漏れ出てきてしまいます。

尿糖は、糖尿病、腎性糖尿(血糖値が正常範囲にもかかわらず、血糖が尿中に漏れ出てしまう病態のこと)、甲状腺機能亢進症などで陽性となります。ただし、尿糖が陽性でも、必ずしも糖尿病と診断されるとは限りません。糖尿病は、血糖値などの検査結果も併せて診断します。

尿ウロビリノーゲン検査

尿ウロビリノーゲンは、胆汁に含まれるビリルビンという色素が体内で分解されてできる物質です。正常な尿からはわずかに検出されるため、正(もしくは±)~(+)が基準値です。尿ウロビリノーゲンが陽性(2+)になると急性肝炎や慢性肝炎、胆管結石などの肝臓の病気が疑われ、ウロビリノーゲンが減少して陰性(-)になると胆汁うっ滞など胆のうの病気が疑われます。(2+)~(4+)になると要精密検査です。これらの病気を確定診断するには、血液一般検査、生化学検査なども必要になります。

このように、尿検査からはさまざまな病気のサインを知ることができます。尿検査は簡単に受けられるため、受診して最初に受けることの多い検査の一つです。もし尿検査で異常を指摘されたら、必ず精密検査を受けて、正しい診断と治療を受けてください。

母が尿漏れに悩んでいるようで、最近、元気がありません。家族としてどのようにアドバイスすればよいでしょうか?

尿漏れに悩んでいるお母さまの心を傷つけないようにそっとしておいた方がよいのか、それとも積極的に相談に乗った方がよいのか、家族としてどのように関わるべきか、ご家族も悩みますね。特にご高齢の方は、尿漏れを恥ずかしいことだと感じて、誰にも知られずに隠しておきたいという気持ちが強く、一人で悩んでいる方も多いようです。

尿漏れは原因がいくつかあり、その種類や程度に応じて、薬物治療や骨盤底筋の訓練、手術などの治療を適切に受ければ症状が改善するものもあります。治療の方法はその原因によって異なりますので、恥ずかしいからと我慢せずに、かかりつけ医や泌尿器科に相談してみるようアドバイスしてみてください。

また、尿とりパッドなどをうまく使えば、ニオイが気になる、衣服が濡れるといったストレスを軽減でき、日常生活を快適に過ごす手助けとなることを、さりげなく教えてあげられるとよいでしょう。尿漏れ対策用品のチラシやパンフレット、尿漏れをテーマに扱ったテレビ番組を一緒に見るなど、尿漏れについてお母さまと話しやすい環境をつくることもお勧めです。ご本人が治療に前向きになり、尿漏れが改善して元気を取り戻せるといいですね。

詳細な解説もご覧ください。

尿漏れにはさまざまな原因があり、大きく分けると「腹圧性尿失禁」、「切迫性尿失禁」、「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」、「機能障害性尿失禁」などに分けられます。これらの種類や程度によってお薬による治療や骨盤底筋訓練、膀胱訓練、手術など治療法は異なりますので、まずは医師の適切な診断を受けることが大切です。

尿漏れの代表的なものは、立ち上がったり動いたりしたときや、咳やくしゃみなどで腹圧がかかったときに尿が漏れる「腹圧性尿失禁」と、突然の強い尿意切迫感を感じて我慢できずに尿が漏れてしまう「切迫性尿失禁」です。これらの症状が同時に起こる「混合性尿失禁」もあります。中でも腹圧性尿失禁は、産後や中高年の女性に多く見られる症状です。

(腹圧性尿失禁については、「ー排尿トラブルを起こす女性に多い病気ー腹圧性尿失禁」のページをご参照ください。)

そのほかにも、尿意が感じられずいつの間にか漏れている「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」があります。膀胱機能の低下が原因で起こるため、薬や管(カテーテル)を用いて膀胱にたまりすぎた尿を出すなどの治療が必要となります。

また、ご高齢になると、膀胱の機能の問題というよりも、トイレの場所が分からない、トイレに行くのを忘れてしまうなど、認知機能の低下が原因で尿漏れしてしまうこともあります。さらに、運動機能が落ちて移動に時間がかかり、トイレに間に合わずに尿が漏れてしまうこともあります。このように認知機能や運動機能の低下が原因で起こる尿漏れを「機能障害性尿失禁」と呼びます。この場合は、リハビリテーションで歩行や移動の練習をしたり、尿とりパッドや吸水力のあるショーツなどを補助的に使ったりすると良いでしょう。

尿とりパッドは、メーカーによっては「吸水パッド」と表示されていることも多く、ドラッグストアなどでは女性の生理用品と並んで置いてあることがあります。これらは形が似ており、価格も安い生理用品で代用される方もいるかもしれませんが、その性能は全く異なります。尿とりパッドは尿漏れ専用に作られており吸収力も高く、発赤やかゆみなどのスキントラブルも少ないのが特徴です。たくさんの種類が発売されているので、尿とりパッドを選ぶときには、1日の交換回数と尿漏れの量に合わせて、尿とりパッドの吸収量(cc)を見ながら自分に合ったものを選びましょう。

昼間はそれほど気にならないのですが、夜眠りについてから何度もトイレに行きたくなり困っています。何か良い方法はありますか?

夜眠りについてからトイレに行きたくなる原因はいくつもあるため、原因別に対処法を考える必要があります。今回は、昼間に座っていることが多く、足がむくむことが原因で夜間に何度もトイレに行ってしまう場合について、生活の中でできる対処法を解説します。

昼間に足の細胞内に溜まってしまった水分は、夜、横になると、再び足の細胞内から血管に戻るため、血管内の水分が増えて夜間の尿量が増加してしまいます。このように夜間の尿量が増えることによって、昼間はそれほどでもないのに夜トイレに行きたくなり、そのたびに、たくさん尿が出るという状態になるのです。

このような場合には、昼間の時間帯に足に水分が溜まらないような工夫と、足がむくんだら昼間のうちに改善することが重要です。対処方法としては、下肢の筋肉を動かす運動を行うことや、足のむくみを予防できる靴下(弾性ストッキング)の着用などがあります。

また、夕方以降に入浴や足湯で身体を温めることでも血流が改善し、足のむくみが軽減します。就寝前に足のむくみを改善して排尿しておくことで、夜眠りについてからトイレに起きる回数を減らすことができます。

詳細な解説もご覧ください。

腎臓の血流量が増えると尿量も増える

日常生活の動作の中でも、立って動いているときと比べ、横になって休んでいるときの方が腎臓を流れる血液の量は増えるといわれています。通常は腎臓でろ過した老廃物が尿として排泄されるため、腎臓を流れる血液の量が増えると尿の量も増えます。

これに加え、昼間に足の細胞内に溜まった水分が夜横になると血管に戻ることで夜間の血管内の水分が増え、腎臓のろ過量が増えることも、おしっこ(尿)の量が増える原因の一つと考えられています。また、バソプレシンという尿の濃縮を行うホルモンの量が減っている可能性も考えられます。

逆に、夜に何度もトイレに行きたくなり、トイレに行ったけれども尿の量は少ないという場合には、他の原因が考えられます。夜間頻尿への別の対処が必要な場合もありますので、医師に相談してみましょう。

足のむくみを改善する方法

昼間にできるだけ足に水分が溜まらないようにしたり、むくみを改善したりするには、以下のような方法があります。

【下肢の筋肉を動かす運動】

・屈伸運動、スクワットなど

無理のない程度で、昼間に数回に分けて行うとよいでしょう。運動時にふらつく場合には、椅子の背や壁に手をついて行いましょう。

・足首の運動

足首を浮かして回す、足首を上に向けたり、伸ばしたりする運動を数回、繰り返します。

【弾性ストッキングの着用】

デスクワークや椅子に座っている時間が長い場合には、弾性ストッキングを履いて、足のむくみを防ぎましょう。

《ポイント》弾性ストッキングは、膝までの長さの物を着用しましょう!

履き始めの慣れないうちは、ストッキングが少し固めで履くのが難しく感じることがありますが、慣れてくるとスムーズに履けるようになります。

上手く履くコツは、つま先側から踵(かかと)の位置を合わせて少しずつ全体を引き上げながら履き、ふくらはぎから膝まで伸ばすことです。

【夕方の散歩】

夕方の軽い運動は、足のむくみを改善するだけでなく、質の良い睡眠にも役立ちます。夕方に30分から1時間程度の散歩をしましょう。

《ポイント》散歩の時間は目安です。自分のペースで無理なく続けられるくらいが良いでしょう。就寝途中に目が覚めて、何となく気になってトイレに行ってしまう…という方にも、夕方の散歩はお勧めです。

【昼寝や夕方の下肢の挙上】

昼寝などで、体を横にする(臥床(がしょう)と言います)ことで、足に溜まった水分が血流に戻ります。特に足を上げると、上半身に水分が戻りやすくなります。

足を上げる高さは、クッションに乗せる程度でも大丈夫です。また、昼寝は長時間にわたると睡眠の妨げとなることがあるため、15分から30分程度を目安に短時間で行うとよいでしょう。

《ポイント》下肢の挙上を5~10分程度の短時間で効率よく行いたい場合には、椅子などを用いて、膝から下を椅子の座面に乗せる姿勢をとるのもおすすめです。

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