血管外漏出(extravasation;EV)とは、静脈注射した薬剤や輸液が、カテーテルの先端の移動などによって、血管外の周辺組織に漏れたときに、組織の炎症や壊死をもたらすものです。抗がん剤の場合、血管外漏出直後は、他の薬剤と同様に無症状あるいは、軽い発赤・腫れ・痛みの皮膚症状が出現しますが、数時間~数日後にその症状が増悪し、水疱→潰瘍→壊死形成へと移行していきます。さらに重症化すると瘢痕が残ったりケロイド化したりしてしまい、漏出部位によっては運動制限をきたして外科的処置(手術)が必要になることもあります。
組織障害性は抗がん剤の種類によって異なりますが、組織障害の起こりやすい抗がん剤であっても、漏出初期は局所の違和感や発赤、浮腫がみられる程度であることが多く、患者さん自身も気がつかないことがあります。そのため、投与部位を注意深く観察し、変化にいち早く気づくことが大切です。
■抗がん剤の血管外漏出の発生率の報告(末梢血管投与)
壊死起因性抗がん剤の血管外漏出例
発赤、痛み
水疱
びらん
硬結、壊死
抗がん剤の血管外漏出の予防と対応ガイド(PDF)