医薬品
2022年8月22日
GnRHアンタゴニスト「リンザゴリクス」の米国における新薬承認申請取り下げについて
キッセイ薬品工業株式会社(本社:長野県松本市、代表取締役会長兼最高経営責任者:神澤陸雄)は、当社創製品であるGnRHアンタゴニスト「リンザゴリクス」(一般名)について、日本などアジアの一部を除く全世界における独占的開発・販売権を許諾しているオブシーバ社(ObsEva SA、本社:スイス)が米国食品医薬品局(FDA)に申請していた、子宮筋腫を適応症とする新薬承認申請(NDA:New Drug Application)を取り下げたことをお知らせします。
オブシーバ社は、本剤のFDAによる承認審査において課題を指摘され、現時点では、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査期限である2022年9月13日までに本課題を解決できないと判断したこと等により、本剤のライセンス契約の解約や会社更生手続きの開始等を決定したことを、本年7月27日に公表しています。これを受け、当社は、現在、本剤に関する全ての権利、許認可、データ等のオブシーバ社からの返還、譲渡の協議を進めています。
当社は、本剤の米国での開発について、申請データ等を精査し、今後、開発方針を検討します。
本剤は、欧州においては2022年6月に販売承認されています。当社は、オブシーバ社が本剤の北米、アジア以外における商業化についてセラメックス社(英国)と締結したサブライセンス契約を含む、欧州での発売に必要となる全権益を譲り受け、事業化します。
また、日本においては、当社が子宮筋腫を対象とした第Ⅲ相臨床試験を開始し、中国においては、当社が中国における独占的開発・販売権を許諾したバイオジェニュイン社(中国)により、臨床試験の準備が進められています。
当社は、引き続き本剤のグローバル展開を推進します。
なお、本件は売上高等の収益及び研究開発費等の費用への影響が見込まれますが、影響額は現在精査中です。今後、開示すべき事項が発生した場合には、速やかに公表します。
以上
《ご参考》
リンザゴリクスについて
リンザゴリクスは、当社が創製した新規の経口投与が可能なGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アンタゴニストであり、脳下垂体に存在するGnRH受容体においてGnRHと拮抗し、性腺刺激ホルモンであるゴナドトロピンの分泌を抑制することで、卵巣におけるエストロゲン産生を低下させます。
当社は、2015年11月にオブシーバ社に対し、日本などアジアの一部を除く全世界における独占的開発・販売権を許諾しました。オブシーバ社は、子宮筋腫及び子宮内膜症を対象に臨床開発を行い、子宮筋腫の適応症にて欧米において申請し、欧州では本年6月に欧州委員会(EC)及び英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)等より販売承認を取得しています。子宮内膜症については、現在第Ⅲ相臨床試験を実施中です。
また、アジアにおいては、当社は2021年9月にバイオジェニュイン社(中国)に対し、中国における独占的開発・販売権を許諾し、同社は現在、臨床試験開始に向けた準備を進めています。
日本においては、当社が子宮筋腫を対象とした第Ⅲ相臨床試験を開始し、子宮内膜症については、第Ⅱ相臨床試験を終了しています。
GnRHアンタゴニスト「リンザゴリクス」の米国における新薬承認申請取り下げについて 【PDF/164.6 KB】