リスクマネジメント
リスク管理体制の概要
当社は、リスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定めるとともに、取締役会の諮問機関であるリスク管理委員会のもと、当グループにおいて発生し得るリスクの発生防止に係る管理体制を整備し、その進捗状況を監視しています。
事業等のリスク
当グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、2023年度末現在において当グループが判断したものです。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当グループの経営成績等の状況に与える影響については、合理的に予見することが困難であるため記載していません。
(1)医薬品の研究開発に係るリスク
新薬の研究開発から承認・発売までは多額な費用と長い期間を要します。当社は創薬研究から非臨床試験、臨床試験、承認申請、承認取得まで、想定されるスケジュールと定期的な見直しによって中長期的な業績を試算していますが、有用な化合物を順調に発見できるとは限らず、また開発中の新薬あるいは効能追加等について、予測しているとおりの有用性を証明できるかどうか、いつ承認を得ることができるかを確実に予測することはできません。
また、海外における開発・販売等の権利を許諾した化合物あるいは製品については、導出先企業の経営状況やポートフォリオの変化、また許諾地域での開発、薬務規制等への対応に関して、想定通りに進捗しない可能性があります。
(2)医薬品行政の動向によるリスク
日本国内においては、人口の少子高齢化に対応した社会保険制度の再構築が進められ、医療においては国民皆保険制度を維持するため、毎年の薬価改定をはじめとした薬価制度改革などの薬剤費抑制策が実施されています。今後、さらなる医療保険制度の改定を含む医療・薬務行政の抜本的な改革や規制の厳格化があった場合は、業績あるいは財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)他社医薬品との競合によるリスク
販売している医薬品と同種の適応を有する他社医薬品との競合に加え、先発医薬品の特許満了後に発売される同成分の後発医薬品との価格的な競合に直面します。これらの競合は既存製品の売上に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4)医薬品副作用発現によるリスク
医薬品には、開発段階では発見できなかった未知の副作用が発現する可能性があります。予期せぬ副作用や重篤な有害事象が発現した場合には、その使用方法が制限されたり、場合によっては販売中止になる可能性もあります。
(5)医薬品の品質に関するリスク
最新の法令、規則およびガイドライン等を遵守して製造管理・品質管理体制を構築していますが、品質上の問題の発生により製品回収等を行うことになった場合は、業績あるいは財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)知的財産に関するリスク
当グループが知的財産権を適切に保護できない場合には、他の第三者が当グループの技術等を使用して、当グループの市場における競争優位性を阻害する可能性があります。一方、当グループの事業が他の第三者が所有する知的財産権に抵触した場合は、係争やそれに伴う損害賠償、当該事業の中止につながる可能性があります。
(7)訴訟に関するリスク
現在、当グループの経営に影響を与えるような訴訟は提起されていませんが、当グループが国内外で継続して事業活動を行う過程において、特許関連、製造物責任、環境関連、労務関連、公正取引等に関し訴訟を提起される可能性があります。
(8) 情報セキュリティおよび情報管理に関するリスク
当グループが使用する各種情報システムに対するサイバー攻撃等により業務が阻害される可能性があります。また、当グループが保有する個人情報や機密情報の保護・管理については、社内規程の制定、社員への教育・訓練等を通じて、情報流出の防止に細心の注意を払っていますが、予期せぬ事態により情報の流出・漏えいが発生する可能性があります。これらが顕在化した場合には、当グループの社会的信用の低下等により、業績あるいは財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) サプライチェーンに関するリスク
地震、台風等に起因する火災、水害等の事故や、新型インフルエンザ等によるパンデミックの発生、さらには地域紛争の勃発などにより、当グループの事業所および取引先が直接あるいは間接的に多大な被害を受けた場合、サプライチェーンが寸断されることにより、事業活動が縮小または停滞し、活動再開までに時間的、金額的損失が発生することで、業績あるいは財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
新たな感染症等の発生によるパンデミックに対しては、「リスク管理規程」並びにその他社内規程等に基づき、従業員および関係者の安全確保と製品の安定供給を重視した対策を実施しています。
(10) 保有資産に関するリスク
当グループは、保有する事業用資産および投資有価証券等について、四半期ごとにグループ会計方針に従って評価を行っています。事業用資産については、将来における投資額の回収が見込めない状況になった場合には、減損損失を計上する可能性があります。また、投資有価証券等については、市場価格のあるものは相場価格の変動により、市場価格のない非上場株式等については当該会社の純資産、将来の事業計画等を総合的に勘案し、減損損失を計上する可能性があります。
(11) 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク
繰延税金資産の回収可能性について、回収可能性を判断する十分な課税所得を得られない場合には、繰延税金資産の取り崩しが発生する可能性があります。
(12) 環境保全に関するリスク
医薬品の研究や製造の過程で使用される化学物質等の中には、環境に影響を与える物質も含まれています。各事業所においては厳格な管理を実施し環境保全に努めていますが、これらが周辺の環境汚染の原因と判断された場合、事業所に対する法的な措置が講じられたり、環境の回復や改善のための費用等の発生により、業績あるいは財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当グループは、経営理念に基づき、グループ行動憲章において「環境問題の重要性を認識し、自主的、積極的にその保全に取り組みます。」と定めています。具体的には、当社およびグループ会社におけるISO14001環境マネジメントシステムの推進、100%再生可能エネルギー電力の利用等によるCO2排出量削減、長野県内の再生可能エネルギー電源の拡充を目的とする「信州Green電源拡大プロジェクト」への参画などを行いました。
環境保全と関連する気候変動リスクについては、ウェブサイト「サステナビリティ」および有価証券報告書、統合報告書等で情報開示を行っています。
なお、上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当グループのすべてのリスクではありません。