環境との関わり
地球温暖化をはじめとする地球環境問題は年々深刻化しており、人びとの健康や生活を脅かしています。こうした課題は、医薬品の安定供給や事業継続にも重大な影響を及ぼす可能性があります。
キッセイグループは、これらの環境課題への対応を重要な経営課題の一つと位置付け、脱炭素社会や循環型社会の実現に貢献していくことが、社会課題の解決のみならず、企業としての持続的な成長にもつながると考えています。このような認識のもと、2025年3月に「キッセイグループ環境基本方針」を制定し、グループ全体で中長期的な視点に立った環境経営を推進しています。本方針に基づき、2050年度までのCO2排出量実質ゼロの実現に向けた気候移行計画を推進するとともに、廃棄物の削減と資源循環の促進、水資源の適正かつ効率的な活用など、環境負荷の低減に取り組んでいます。
医薬品事業、情報サービス事業、建設・施設メンテナンス事業、物品販売事業から成るキッセイグループは、各社の特性や強みを活かしながら、一体となって取り組みを進めることで、事業環境の改善と持続可能な社会の実現の両立を目指しています。
キッセイグループ環境基本方針(2025年3月20日制定)
《基本理念》
「キッセイグループは輪と和を通じて、より大きく社会に貢献する」のグループ経営理念のもと、企業の社会的責任において積極的に地球環境保全に努めるとともに、豊かで住み良い社会の実現に貢献します。
《基本方針》
(1)我々は地球環境問題を真摯に受止め、一連の企業活動が環境にさまざまな影響を与えるものであることを認識した上で、バリューチェーン全体における環境への負荷低減を推進します。
(2)地球環境保全の取り組みのため、事業活動の環境と自然への影響を評価分析し、2050年CO2排出量ネットゼロに向けた中長期目標を定めて継続的改善を図ります。
(3)省エネルギー、省資源、廃棄物削減を含めた資源循環、再生可能エネルギーの導入、生物多様性の保全、適切な水資源の利用と排出を積極的に推進します。
(4)社員一人ひとりが、関連する環境法規、協定、その他の要求事項について厳守するとともに、環境教育を通じて環境に対する意識の高揚と倫理観の向上を図り、積極的に環境汚染の未然防止のための活動を推進します。
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく情報開示
キッセイグループは、地球温暖化や気候変動の激甚化が、私たちの生活や事業継続、さらには持続的な社会の発展に影響を及ぼす、人類共通の重要な課題であると認識しています。この認識のもと、気候変動が事業活動に与えるリスクと機会を特定・分析し、その影響を踏まえた対応を進めています。具体的には、気象災害の激甚化によるサプライチェーンへの影響やエネルギーコストの変動といったリスクへの対応力を強化するとともに、脱炭素化の進展を機会としてとらえ、省エネルギー施策の推進などを通じて事業環境の改善を図るなど、事業活動と一体となった環境経営を目指しています。
キッセイ薬品では、「環境経営の推進」をマテリアリティの一つとして特定し、TCFD提言への賛同を表明しています。気候変動に関するリスクと機会については、TCFDの枠組みに沿って中長期的な視点から事業活動に与える影響を評価・分析しています。これらの分析結果を踏まえ、重要度に応じた対応策の優先順位を設定し、気象災害リスクへの対応およびカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進することで、環境経営のさらなる高度化を図っています。
TCFDとは
TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures/気候関連財務情報開示タスクフォース)は金融安定理事会(FSB)が2015年に設立した国際的な枠組みであり、気候変動に関連する情報開示と金融機関の対応のあり方を検討することを目的としています。企業等に対し、気候変動に関連するリスクおよび機会について、下記の4つの項目について開示することを推奨しています。
| ガバナンス (Governance) |
気候関連リスクと機会に関する組織のガバナンス |
| 戦略 (Strategy) |
気候関連のリスクおよび機会がビジネス・戦略・財務計画に及ぼす実際のおよび潜在的な影響(重要情報である場合) |
| リスク管理 (Risk Management) |
気候関連リスクの識別・評価・管理の状況 |
| 指標と目標 (Metrics and Targets) |
気候関連リスクおよび機会を評価・管理する際に使用する指標と目標(重要情報である場合) |
ガバナンス
キッセイグループでは、実効性の高い環境保全活動を推進するため、キッセイ薬品のサステナビリティ推進委員長を議長とし、各グループ会社の環境保全オフィサーをメンバーとする「グループ環境保全オフィサー会議」を設置しています。
この会議では、グループ全体で環境経営を推進するため、脱炭素をはじめとする環境保全活動に関する方針や具体的な施策の検討・立案を行っています。また、四半期に1回以上の頻度で、活動実績の共有および評価を行い、グループ内の連携強化を図っています。
グループ環境保全オフィサー会議における検討内容や活動状況は、キッセイ薬品のサステナビリティ推進委員会が統括しており、同委員会から取締役会および監査役会に半期に1回以上の頻度で付議・報告されています。これにより、取締役会が環境関連の取り組みを適切に監督する体制としています。
また、気候関連のリスクおよび機会については、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、以下「TCFD」)の枠組みに基づくシナリオ分析及び評価を含め、サステナビリティ推進委員会で検討しています。その内容は取締役会に報告され、継続的な監督のもとで対応を進めています。

戦略
気候変動が当グループの事業に与える影響については、グループの中核を担う医薬品事業を対象として分析を行っています。特に主要事業所が受ける影響に着目し、TCFDの枠組みに基づくシナリオ分析を実施しています。
具体的には、脱炭素化への移行に伴うリスクについては1.5℃シナリオを、脱炭素化が進まず平均気温が4℃上昇した場合に想定される物理的リスクについては4℃シナリオを用いて分析を行い、リスクおよび機会を特定するとともに、定量的な評価を実施しています。
特定されたリスクおよび機会については、サステナビリティ推進委員会において、財務的影響および発生可能性の観点から分析・評価を行っています。その結果を踏まえて、短期・中期・長期の視点で事業戦略への影響を整理し、対応の優先順位を設定するとともに、具体的な施策の検討および実行を進めています。
※ 1.5℃シナリオは、IEA NZEシナリオ等を参考に想定
※ 4℃シナリオは、IPCC RCP8.5シナリオ等を参考に想定
シナリオ分析の結果
| 分類 | 優先度が高い リスク |
当社への影響 | 影響度※1 | 対応策 | 事業リスク※2 | |
| 1.5℃シナリオ | 移行リスク | 脱炭素関連の政策・法規制強化 | CO2排出量に対する炭素税の加算 ・2030年度:想定炭素価格140$/トン-CO2※3から影響額を約2億円と試算 ・2035年度:想定炭素価格180$/トン- CO2※4から影響額を約1.5億円と試算 |
中 | ・再生可能エネルギーの導入や省エネ設備への更新、省エネ活動の一層の推進によるCO2排出量の削減 |
低 |
| CO2排出量規制等の新規創設・強化される脱炭素政策に対応した、設備投資コストの増額 | 小 | ・設備更新時のエネルギー効率の高い省エネ設備等への計画的な置き換え(助成金の利用等も考慮) |
低 | |||
| 気候変動に対する取り組み | 気候変動への取り組み不足による、ステークホルダーからの当社に対する評価の低下 | 大 | ・気候変動問題への持続的な取り組みと適切な開示によるステークホルダーからの信頼獲得 |
低 | ||
| 4℃シナリオ | 物理的リスク(急性) | 気象災害の激甚化、 発生頻度上昇 |
洪水被害により当社重要拠点が浸水し、操業停止となる。復旧に際して必要となる費用(総計約36億円)、および開発計画への影響、安定供給への影響 | 大 | ・洪水等の災害発生により想定される拠点被害について、適切な対応策を講じることによる損害の最小化 |
低 |
| 原材料調達先の被災による製造の中断、および交通網の遮断による安定供給への支障 | 大 | ・各製品の特性に応じた在庫の確保と分散保管による安定供給体制の維持向上 ・サプライヤーの複線化による調達リスクの軽減 |
低 | |||
| 物理的リスク(慢性) | 自然災害発生率の増加に伴う保険料率の増加 | 小 | ・保険料と実際のリスクを適切に判断し、リスクヘッジに資する保険に加入 |
低 | ||
| 気温上昇 | 気温上昇に伴う、空調コスト増加 | 小 | ・社員への省エネ啓発活動の継続と推進 ・高効率/省エネ設備の導入、切り替え |
低 | ||
| 水不足 | 水資源枯渇に伴う水の使用制限による操業中断、水資源確保のためのコスト増加 | 小 | ・周辺の取水環境の情報収集の強化と、水資源取得リスク※5を想定した緊急時対応体制の構築 |
低 | ||
※1 影響度:大(年間5億円以上)、中(年間1億円以上、5億円未満)、小(年間1億円未満)を基準として評価
※2 事業リスクは影響度と発生頻度、対応順等を考慮し総合的に評価
※3 IEA WEO 2024(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)2030年先進国炭素税より引用
※4 IEA WEO 2025(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)2035年先進国炭素税より引用
※5 水リスクについては、AQUEDUCT Water Risk Atlasを使用し、リスクを判定
機会
| 分類 | 項目 | 当社への影響 | 影響度※1 |
| 機会 | 資源の効率性 | 高効率な新規技術/設備導入によるエネルギー調達コストや原材料コストの削減 | 小 |
| エネルギー源 | エネルギー源は重油、ガス、電力を使用。電力の再生可能エネルギー利用率は82%となる。再生可能エネルギーの導入に加え、燃料転換による将来の化石燃料枯渇に対する事業の安定化 | 小 | |
| 市場 | 気温上昇に伴い罹患率が増加する疾患領域に対する治療薬需要の増加、開発機会の拡大 | ー |
※1 影響度:大(年間5億円以上)、中(年間1億円以上、5億円未満)、小(年間1億円未満)を基準として評価
シナリオ分析の結果、1.5℃シナリオでは、脱炭素に関する政策の強化や炭素コストの増加に加え、社会的要請への対応が不十分な場合におけるステークホルダーからの評価の低下などを、主な移行リスクとして認識しています。一方、4℃シナリオでは、台風や豪雨の激甚化による水害などの急性リスクに加え、気温上昇に伴う空調コストや水資源確保コストの増加といった慢性リスクの発生を想定しています。
これらのリスクへの対応を進めることは、高効率設備の導入によるエネルギー効率の向上や、気温上昇に伴い患者数の増加が見込まれる疾患領域への貢献といった機会にもつながると捉えています。当グループは、脱炭素化の推進とレジリエンスの強化を両立させながら、中長期的な事業の持続性と企業価値の向上を目指しています。
なお、現時点のシナリオ分析および評価の結果においては、想定される対応策の実行を前提とした場合、当グループの事業戦略に重大な影響を直ちに及ぼすリスクは認識されていません。
今後も、外部環境の変化を踏まえながら、継続的に見直しを行います。
リスク管理
当社は、気候変動による影響を重要な経営リスクの一つとして位置付け、TCFDの枠組みに基づいて特定したリスクについて、年に1回以上の頻度で事業活動への影響度の見直しを行っています。影響度に応じて、費用対効果および緊急度を考慮しながら優先順位を定め、対応策を検討および実施を進めています。
その管理状況は、サステナビリティ推進委員会から取締役会および監査役会に付議・報告されています。また、取締役会の諮問機関の一つであるリスク管理委員会にも報告し、全社的なリスクマネジメントに活用しています。
指標と目標
キッセイグループは、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、温室効果ガス排出量の削減目標を設定しています。
- ● 2030年度CO2排出量目標(Scope1+2):2020年度比42%削減
- ● 2050年度CO2排出量目標(Scope1+2):実質ゼロ
これらの目標の達成に向け、グループ全体で環境負荷低減に取り組んでいます。
実績(2025年度 速報値)
2025年度のCO2排出量は10,737トン(Scope1:10,196トン、Scope2:541トン)となり、2020年度比で39%削減を達成しました。特に電力由来の排出(Scope2)については、2022年度より再生可能エネルギーの導入を進め、2025年度にはグループ全体の電力使用量に占める再生可能エネルギー利用率は83%に達しています。これにより、2020年度比で年間7,244トンのCO2排出量削減につながりました。
再生可能エネルギーの導入事業所は以下のとおりです。

気候移行計画

キッセイグループでは、中長期目標の実現に向けた具体的な施策として、医薬品事業を対象とする気候移行計画を策定しています。医薬品事業はエネルギー使用量が多く、気候変動に伴うリスクが事業活動やコスト構造に影響を及ぼす可能性が相対的に大きいことから、優先的に対応を進めています。
本計画は、TCFDの枠組みに基づく分析結果を踏まえて策定しました。キッセイ薬品は、ハシバテクノス(建設・施設メンテナンス事業)および外部専門家と連携し、工場・研究所を対象にエネルギー使用量の実測分析を実施しています。その結果をもとに、CO2排出量削減効果の高い設備を特定し、設備更新などのタイミングに合わせて、高効率設備への切り替えや燃料転換を計画的に進めています。これらの取り組みを支えるため、中期経営計画 Beyond 80の5年間において、約60億円の環境投資を見込んでいます。
また、日常業務における省エネルギーの取り組みを継続するとともに、科学的根拠に基づいた温湿度管理基準の見直しや運用改善など、多面的な施策を通じてエネルギー使用の適正化を進めています。
これらの取り組みにより、2029年度末までに2020年度比49%(約7,600トン)のCO2排出量削減を目指しており、2030年度目標の前倒し達成を見込んでいます。
その後も、2050年度のCO2排出量(Scope1+2)実質ゼロの実現に向けて、エネルギー使用の最適化を継続するとともに、再生可能エネルギーのさらなる導入を進めるほか、2040年以降に市場化が見込まれる新たなエネルギーの活用も視野に入れ、脱炭素社会および循環型社会の実現に積極的に貢献していきます。
《ZEB施設の建設》
環境経営の取り組みの一環として、環境配慮型施設の整備にも取り組んでいます。
松本市の本社敷地内に建設中の「中央棟」(社員食堂・受付・応接機能を備えた施設)では、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)として設計されており、従来施設と比べて省エネルギー性能を高めることで、温室効果ガス排出のさらなる削減につなげています。
本施設では、自然エネルギーを活用した地中熱ヒートポンプシステムや高効率な空調機器、CO2センサーによる風量制御を行う換気設備に加え、太陽光発電および蓄電池設備を導入することで、平常時のエネルギー消費の大幅な削減を図っています。
また、災害時には特定負荷系統への電力供給を可能とするなど、社員の安全確保と事業継続にも配慮した施設づくりを進めています。

完成予想図
サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量(Scope3※)
キッセイ薬品では、医薬品事業に関連するサプライチェーン全体のCO2排出量(Scope3)について「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.4)」(環境省・経済産業省)に基づき算定しています。
2025年度のScope3排出量は速報値で98,364トンとなり、Scope1およびScope2を含めた総CO2排出量109,101トンのうち、約90%を占めました。中でも、カテゴリー1(購入した製品・サービス由来のCO2排出量)が74,578トンとScope3全体の76%を占めており、最も大きな割合となっています。このような状況から、原材料調達における排出量の削減が重要な課題となっています。
2050年のCO2排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)の実現には、サプライヤーをはじめとする取引先と協働し、サプライチェーン全体で排出量削減に取り組むことが不可欠です。日本製薬工業協会(JPMA)では、これを製薬業界全体の課題と位置づけ、環境問題検討会カーボンニュートラルワーキンググループを設置し、取り組みを推進しています。当社も本ワーキンググループの一員として製薬業界全体と連携しながらScope3排出量の削減に取り組んでいます。
環境マネジメントシステム
キッセイグループは、日本国政府が掲げるカーボンニュートラル政策を支持しています。また、地球温暖化対策推進法(温対法)やエネルギーの使用の合理化および非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)を、気候変動対策を推進する上で重要な枠組みと認識し、その趣旨を踏まえた事業活動を行っています。さらに、水質汚濁防止法や廃棄物処理法などの環境関連法規についても適切に遵守し、持続可能な事業運営を推進しています。
医薬品事業(キッセイ薬品)では、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを軸として、環境管理を推進しています。サステナビリティ推進委員会の副委員長である総務部長を総括環境管理責任者とし、主要事業所ごとに環境管理責任者を配置することで、組織的かつ継続的な管理体制を構築しています。
各事業所は2000年から2007年にかけて環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得し、2018年には2015年版への移行を完了しました。これにより、全社的に環境に配慮した活動を推進しています。
また、キッセイコムテック、ハシバテクノスにおいても同認証を取得しており、各社において環境保全活動を推進する体制を整え、環境負荷の低減に取り組んでいます。
ISO14001の認証取得事業所
| キッセイ薬品 | 取得 |
| 本社・松本工場 | 2000年9月 |
| 塩尻工場 | 2000年9月 |
| ヘルスケア事業センター | 2000年9月 |
| 第二研究所 | 2006年9月 |
| 東京本社(日本橋、小石川) | 2006年9月 |
| 中央研究所 | 2007年9月 |
| キッセイコムテック | 2002年6月 |
| ハシバテクノス本社施設管理本部※ | 2002年2月 2000年9月より |
※ キッセイ薬品の施設管理担当部門としてEMS組織に組み込み、事業所ごと順次取得
キッセイグループにおける環境負荷の全体像
キッセイグループでは、事業活動における環境負荷を把握するため、エネルギーや資源の投入量(インプット)と、事業活動に伴って発生する排出量および廃棄物量(アウトプット)を定量的に把握しています。以下の図は、2024年度における環境負荷の全体像を示したものです。
環境マネジメントシステムに基づき環境目標を設定し、省エネルギーや省資源、資源循環に関する取り組みを推進しています。具体的には、省エネルギー設備への更新、研究・製造工程での資源使用の効率化、ペーパーレス化、3R(Reduce, Reuse, Recycle)の推進などに取り組んでいます。
また、水資源は、人々の生活に不可欠な基盤であるとともに、キッセイグループにとっても医薬品や麺類の製造に重要な役割を担っています。各事業所において洪水や水使用に関するリスクの把握と評価を行い、事業活動が水環境に与える影響を踏まえた適正かつ効率的な利用を進めています。
さらに、医薬品事業における化学物質管理については、法規制に基づく自主管理基準を設定し、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染の防止に向けた適切な管理体制を構築しています。

※1 キッセイ薬品(本社(松本·東京2拠点)、工場(2拠点)、研究所(3拠点)、ヘルスケア事業センター)、キッセイ商事(本社、製麺所)、キッセイコムテック(本社)、ハシバテクノス(本社)の合計
※2 事業所の年間取扱量が1トン以上の対象化学物質を集計
※3 キッセイ薬品(本社(松本)、工場(2拠点)、研究所(3拠点))、キッセイコムテック(本社)の合計
※4 キッセイ薬品(本社(松本)、工場(2拠点)、研究所(3拠点))の合計
水資源循環の推進
水は人びとの生活や経済活動、生態系の維持に不可欠な資源であり、医薬品製造をはじめとする当グループの事業活動においても、良質で十分な量の水は事業の根幹を支える重要な役割を担っています。
近年は、水質汚濁や気候変動による水不足、洪水リスクの高まりなど、水資源に関する環境問題が世界的に深刻化しています。こうした状況を踏まえ、当グループでは、事業の持続可能性を高めるとともに水資源の循環利用を推進するため、2025年に2030年度の取水量削減目標を設定しました。水資源の効率的な使用に向けては、市水・地下水等の使用管理を徹底するとともに、熱源機器の高効率化や空冷化による冷却水使用量の削減、排水水質の適正管理および法令遵守の徹底など、さまざまな施策に取り組んでいます。
水目標
- ● 2030年度取水量:2024年度2.5%削減
- ● 水質汚濁防止法上の特定施設における排水水質検査:基準逸脱件数ゼロ件
リスク評価と対応
当グループでは、主要な事業拠点(グループ各社の本社および工場、研究所)を対象に、世界資源研究所(WRI)の水リスク評価ツール「AQUEDUCT Water Risk Atlas)および世界自然保護基金(WWF)の水リスク評価ツール「Water Risk Filter」を用いて、水資源に関するリスク評価を実施しています。
その結果、水不足の指標である「水ストレス(地域における年間水利用量を利用可能な年間水量で除した値)」については、高リスク(HighまたはExtremely High)と評価された拠点はありませんでした。一方で、物理リスク(量)に関しては2拠点で高リスクと評価されています。
現時点では、緊急性の高い水不足リスクは確認されていませんが、水資源循環社会の実現に向けて、水使用量の削減と水利用の最適化を進めていきます。
具体的には、冷凍機の空冷化による冷却水使用量の削減や、冷温水発生装置への更新による水使用効率の向上に加え、生活用水の節減に向けた社内啓発活動などに取り組んでいます。
<AQUEDUCT:水ストレス>
| 水ストレスレベル | 事業所名 |
| Low | なし |
| Low-Medium | キッセイ薬品:本社・松本工場、中央研究所、第二研究所、塩尻工場 キッセイ商事:本社、澤志庵製麺所 キッセイコムテック:本社 ハシバテクノス:本社 |
| Medium-High | キッセイ薬品:東京本社、上越化学研究所 |
| High | なし |
| Extremely High | なし |
<AQUEDUCT:物理リスク(量)>
| 水ストレスレベル | 事業所名 |
| Low | なし |
| Low-Medium | キッセイ薬品:中央研究所、第二研究所、塩尻工場 |
| Medium-High | キッセイ薬品:本社・松本工場 キッセイ商事:本社、澤志庵製麺所 キッセイコムテック:本社 ハシバテクノス:本社 |
| High | キッセイ薬品:東京本社、上越化学研究所 |
| Extremely High | なし |
排水管理
医薬品事業(キッセイ薬品)の主要拠点である本社・松本工場、中央研究所、第二研究所、上越化学研究所は、水質汚濁防止法上の特定施設に該当しており、規制対象物質を有害物質として適切に管理しています。各拠点では、同法に基づく排水基準に加え、その約1/10に相当する自主管理基準を設定し、これに基づく水質検査を実施しています。これにより、有害物質の流出を継続的に監視し、環境への影響の未然防止に努めています。
また、主要事業所ではISO14001に基づく環境マネジメントシステムを運用し、法改正情報の共有、従業員教育、緊急時対応訓練、定期的な評価および改善活動を体系的に実施しています。これらの取り組みにより、2024年度も排水基準からの逸脱件数目標「0」を達成しました。今後も、排水管理を徹底し、環境負荷低減に取り組んでいきます。
マテリアルリサイクルの推進
キッセイグループでは、資源循環型社会の実現に向け、省資源化や廃棄物発生量の削減に加え、マテリアルリサイクル率の向上を目指した取り組みを推進しています。紙類や金属類の有価物化、ペットボトルのリサイクルをはじめ、単一素材プラスチックの再資源化や食品残渣の飼料・肥料原料化など、さまざまな施策に取り組んでいます。
さらに、新たな取り組みとして以下の施策を実施しています。
・PTPシートのマテリアルリサイクル
錠剤やカプセル剤などの包装に使用されるPTPシートは、プラスチックとアルミ箔から構成される複合材であり、従来は分離が困難なため、焼却による熱回収(サーマルリカバリー)を行っていました。現在では、これらを分離可能な技術を有する業者への委託により、プラスチックおよびアルミの両素材の再資源化を実現しています。これにより、焼却処理に伴うCO2排出量の削減にもつながっています。
・理化学機器のリユース
研究所および工場で不要となった理化学機器については、中古売買プラットフォームを活用し、国内の研究機関向けにリユースを推進しています。これにより、廃棄物の削減による環境負荷低減と、国内の研究活動の支援に貢献しています。
・貴金属含有廃液の再資源化
創薬研究工程では金属触媒を使用するため、貴金属を含む廃液が発生します。これらの廃液については、精製処理を行うことで貴金属を回収し、再資源化する取り組みを進めています。
環境会計
キッセイ薬品では、事業活動における環境保全コストを適切に把握するため、環境会計を導入しています。これにより、環境保全活動の効果を定量的に評価し、経営資源の効率的な配分に活用しています。
- 対象期間:
- 2024年4月1日~2025年3月31日
- 集計の範囲:
- キッセイ薬品の全事業所
- 集計方法:
- 環境省の「環境会計ガイドライン2005年版」を参考にしています。
- 投資額および費用額:
- 投資額はその年度の環境関連設備投資額、費用額は環境保全を目的とした発生額であり、減価償却費は含めていません。
環境保全コスト
| 環境保全コストの分類 | 投資額※ | 費用額 | ||
| 事業エリア内コスト | ①公害防止コスト | 大気汚染防止、水質汚濁防止等の維持管理 | 24,470 | 7,999 |
| ②地球環境保全コスト | 省エネルギー対策、省エネルギー機器等 | 93,075 | 71,212 | |
| ③資源循環コスト | 廃棄物減量化、リサイクルおよび処理・処分費用等 | 0 | 38,871 | |
| 上・下流コスト | 容器包装再商品化委託料等 | 0 | 16,071 | |
| 管理活動コスト | ISO14001の維持管理等 | 33,000 | 22,284 | |
| 研究開発コスト | ー | 0 | 0 | |
| 社会活動コスト | 環境保全団体等への協賛金等 | 0 | 230 | |
| 環境損傷対応コスト | ー | 0 | 0 | |
| 合計 | 150,545 | 156,668 | ||
※ 1件50万円以上の合計
環境保全効果
| 2023年度 | 2024年度 | 増減率(%) | |
| 二酸化炭素排出量※1(t-CO2) | 10,383 | 9,752 | -6.1% |
| エネルギー使用量※2(GJ) | 295,813 | 292,350 | -1.2% |
| 取水量※3(千㎥) | 156 | 158 | 1.3% |
| 排水量※3(千㎥) | 114 | 115 | -0.2% |
| 廃棄物発生量(トン) | 385 | 392 | 1.8% |
| リサイクル量(トン) | 351 | 354 | 0.8% |
| 最終処分量(トン) | 12 | 16 | 42.3% |
※1 2024年度より集計方法を見直し、過年度の値を遡及修正
※2 2024年度より集計単位をGJへ変更し、過年度の数値を遡及修正
※3 本社(松本・東京2拠点)、工場(2拠点)、研究所(3拠点)、ヘルスケア事業センターの合計とし、支店・営業所は影響度が低いことから除外
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