医薬品
2001年3月14日
前立腺肥大症に伴う排尿障害治療薬「KMD-3213」のライセンス契約及び共同開発契約締結のお知らせ
キッセイ薬品工業株式会社
第一製薬株式会社
キッセイ薬品工業株式会社(代表取締役社長:神澤陸雄)と第一製薬株式会社(代表取締役社長:森田 清)は、キッセイ薬品が創製した前立腺肥大症に伴う排尿障害治療薬「KMD-3213」のライセンス契約および共同開発契約に関して、今般、合意に達しましたので、お知らせ致します。
本剤は、キッセイ薬品による日本での第Ⅱ相臨床試験が終了し、現在、第Ⅲ相臨床試験が準備中の段階にあります。今後両社は、本剤の日本での承認取得を目指し、共同で臨床試験を実施し、両社別々の商標で販売する予定です。
なお、日本以外における本剤の開発・製造・販売等の権利はキッセイ薬品が引き続き保有します。キッセイ薬品では本剤を世界戦略製品の一つに位置付けており、現在米国においてキッセイ薬品の現地法人により第Ⅱ相臨床試験が推進されています。
「KMD-3213」はキッセイ薬品が創製したα1A受容体に対する選択的拮抗剤で、前立腺のα1A受容体をブロックすることで尿道の緊張を弛緩させることにより、尿道抵抗を改善し、前立腺肥大症に伴う排尿障害を治療する薬剤です。
本疾患の治療には、主にα1受容体拮抗剤が使用されてきましたが、効果が確実で血圧への影響が少ない薬剤の開発が望まれていました。本剤はα1A受容体への選択性が高いことから、既存薬に比べより確実な効果を発現させると共に、血圧への影響が少ないことが期待されます。また、後期第Ⅱ相臨床試験の結果では、服用した患者さんの夜間頻尿等の自覚症状の改善効果及び安全性について問題のないことが確認されております。
キッセイ薬品は泌尿・生殖器領域を研究開発重点領域の一つとして新薬の研究開発に注力しており、本剤のほかに海外展開の可能性の高い薬剤として、尿管結石に伴う疝痛緩解・排石促進剤の「KUL-7211」などの開発を推進しております。今回、「KMD-3213」を両社で共同開発することによって、本剤の開発効率を高め、製品化のスピードアップを図ることにより、早期に泌尿・生殖器領域での当社の地位を確固たるものとしたいと考えております。
第一製薬は、研究開発における経験を最大限に生かし、キッセイ薬品と共同で本剤の早期製品化を目指すとともに、抗菌剤及び造影剤で培った泌尿・生殖器領域におけるマーケティング力の強みを生かし、本剤の早期極大化に向けた効率的な営業展開を図りたいと考えております。
以上
≪ご参考≫
1.前立腺肥大症に伴う排尿障害と治療薬
前立腺肥大症は、膀胱下部の尿道を包む組織である前立腺が加齢と共に肥大し、排尿困難や頻尿、残尿等の排尿障害が発症する男性特有の疾患です。社会の高齢化の進展と共に患者数は増加しており、60歳で50%以上、85歳では約90%に前立腺の肥大が認められ、その4分の1に臨床症状が出現しているといわれています。
本疾患の薬物療法には、主にα1受容体拮抗剤が用いられる他、肥大した前立腺を小さくさせる抗男性ホルモン剤等も使用されています。
2.α1受容体
前立腺には交感神経のα1受容体が存在し、交感神経刺激によって分泌されたノルエピネフリンがα1受容体を介して前立腺を収縮させ、尿道抵抗を上昇させることが知られています。前立腺に存在するα1受容体の多くはα1A受容体であり、一方、血圧調節へのα1A受容体の関与は小さいといわれています。
-会社概要-
<キッセイ薬品工業株式会社>
■本社
長野県松本市芳野19番48号
■代表取締役社長
神澤 陸雄
■設立
1946年8月
■資本金
242億19百万円(2000年9月末現在)
■従業員数
1,433名(2000年9月末現在)
■売上高
534億09百万円(2000年3月期)
■事業内容
医療用医薬品の研究開発、製造、販売
<第一製薬株式会社>
■本社
東京都中央区日本橋三丁目14番10号
■代表取締役社長
森田 清
■設立
1918年1月(創業1915年10月)
■資本金
452億46百万円(2000年9月末現在)
■従業員数
3,894名(2000年9月末現在)
■売上高
2,475億06百万円(2000年3月期)
■事業内容
医薬品の研究開発、輸入、製造、販売
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