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2018年11月 9日

「高齢者施設における要介護高齢者と介護者の排尿ケアに関する実態調査」について

 キッセイ薬品工業株式会社(代表取締役会長兼最高経営責任者:神澤陸雄)は、この度、「高齢者施設における要介護高齢者と介護者の排尿ケアに関する実態調査」を実施し、医学雑誌「泌尿器外科10月号」1)に調査研究として掲載されましたので、お知らせいたします。

 日本の少子高齢化が急速に進む中、「排泄介助」は介護者が強く負担を感じている作業の一つです2)
 日本排尿機能学会の調査では、40歳以上の12.4%が過活動膀胱に罹患し、年齢とともに増加すること3)、また60歳以上の約半数が生活の質(以下、QOL)低下に影響を及ぼす「尿失禁」の症状を有することが明らかとなっています4) 。そのような中で、高齢になるほど排尿トラブルを年のせいと諦め、必要な治療を受けていないとの実態が報告されており5)、要介護高齢者の「排尿ケア」への対策は重要な課題となっています。 

 今回、高齢者施設において排尿ケアに関する実態を把握し、要介護高齢者のQOL向上や高齢者施設に勤務する介護者の負担軽減に向けた在宅医療・介護体制のあり方を考察しました。

※ 過活動膀胱(Overactive Bladder: OAB)は、加齢や神経疾患などの原因により「尿意切迫感 (急に起こる、抑えられないような強い尿意)」を必須症状とし、「頻尿(排尿回数が通常より多い状態)」、「夜間頻尿」 などの症状を示す疾患です。OABの有症状率は加齢とともに上昇する傾向があり、本邦の2012年の人口構成から1,040万人のOAB患者さんがおられると推定されています。


【主な結果】
1.要介護高齢者(介護を必要とする高齢者)の状況
・要介護高齢者の24.5%が排尿に何らかの問題を感じ、そのうちの約半数が「症状を改善したい」と回答しました。
・排尿に困ったときの相談については、43.3%が「誰にも相談しない」、次いで34.3%が「医師」と回答しました。

2.介護者(介護スタッフ)の状況
・高齢者施設に勤務する介護者の多くが、排尿ケアを精神的にも肉体的にも負担と感じており、排尿ケアを体力的負担と感じている介護者は9割超にのぼりました。
・介護者が排尿ケアで困ったときには、85.9%が「他の介護士やケアマネジャー等の介護専門職」に相談するのに対し、「医師」に相談する介護者は3.1%でした。
・3ヵ月以内に排尿に関する治療を受けた高齢者を担当する介護者の排尿疾患の認知度は73.9%と、治療を受けていないケース58.6%に比べて高く、治療の状況によらず7割以上の介護者が「排尿に関する症状が改善するとしたら治療を望む」と回答しました。
・「要介護高齢者の排尿に関する症状が改善するとしたら、医師の治療を望むか」との問いに8割超が「はい」と回答し、治療により介護の負担が「大きく減る」「減る」「やや減る」と回答した割合は9割に達しました。

 本調査研究のアドバイザーである日本大学 医学部泌尿器科学系 主任教授 髙橋 悟 先生は以下のように述べられています。 「近年、高齢者を中心に、介護を必要とされる方が増加しています。その中でも『排泄介助』はトイレへの移乗介助など、精神的にも身体的にも負担が大きい作業の一つであり、排尿に関する症状の改善と介護者の負担の軽減が望まれています。そのためには、介護者が排尿のトラブルを疾患として理解した上で、医師とコミュニケーションを取ることが大変重要となります。両者が介護早期から連携し必要な治療を行うことが、要介護者の尊厳回復やQOL向上、介護者の負担軽減、ひいては高齢者の健康寿命の延伸に繋がると期待しています。」

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References

1) 山崎岳人ほか: 泌尿器外科31: 1449-1456, 2018
2) 武藤友和  : 理学療法学37: 104-105, 2010
3) 本間之夫ほか: 日本排尿機能学会誌14: 266-277, 2003
4) 岡村菊夫ほか: 高齢者尿失禁ガイドライン: 1-38, 2000
5) 吉田正貴ほか: 泌尿器外科24: 1965-1973, 2011

《参考資料》

調査結果の詳細】
1.要介護高齢者(介護を必要とする高齢者)の状況
(1) 要介護高齢者の排尿に対する考え方と治療意向
 対象となった要介護高齢者273名のうち、24.5%が排尿に何らかの問題を感じていることがわかりました。そのうち過半数が「症状を改善したい」と回答、さらにその約7割が「症状が改善するとしたら治療を望む」と回答しました。
fig1(snip)-2.PNG


(2)
要介護高齢者の排尿に困ったときの相談者

 排尿に困ったときに誰に相談するかについては、43.3%が「誰にも相談しない」、次いで34.3%が「医師」と回答しました。
fig2.png

2.介護者(介護スタッフ)の状況

(1) 介護者の排尿ケアに伴う精神的、体力的負担の程度

 介護者は、排尿ケアに対する負担の程度について、多くが精神的にも体力的にも負担を感じており、特に体力的負担は9割超にのぼりました。
fig3.png


(2)
介護者の排尿ケアで困ったときの相談者

 排尿ケアで困ったときの相談者として、85.9%が「他の介護士やケアマネジャー等の介護専門職」と回答し、「医師」と回答した介護者は3.1%と最も少数でした。

fig5.png


(3) 介護者の排尿に関する認知度および治療意向(要介護高齢者治療有無別)

 3ヵ月以内に排尿に関する治療を受けた要介護高齢者を担当する介護者のうち、73.9%に疾患認知があり、治療を受けていない要介護高齢者を担当する介護者の疾患認知(58.6%)に比べて15%程高くなりました。また、治療意向については要介護高齢者の治療状況によらず7割以上の介護者が「排尿に関する症状が改善するとしたら治療を望む」と回答しました。

fig6.png


(4) 介護
者の排尿に関する治療意向と介護負担への影響

 介護者に対し、要介護高齢者の排尿に関する症状が改善するとしたら医師の治療を望むかを確認したところ、「はい」の回答が8割超にのぼりました。また、治療により介護の負担が変わるかとの問いに、「やや減る」を含め「減る」と回答した割合は約9割に達しました。

fig4.png


【調査概要】

○対象者

 要介護高齢者:以下の基準を満たす要介護高齢者273名を調査対象としました

1.デイサービスまたはサービス付き高齢者住宅、有料老人ホームを利用している
2.認知症治療薬を過去3ヵ月以内に服用していない
3.調査同意の取得

 介護者:以下の基準を満たす介護者64名を調査対象としました

1.デイサービスまたはサービス付き高齢者住宅、有料老人ホームに勤務している
2.調査同意の取得

○調査時期:2018年3月~5月

 本調査はIQVIAサービシーズ ジャパン株式会社に委託し、各施設からの同意を得て実施しました。調査内容は、たかはしクリニック臨床研究審査委員会で実施の適否を審査し、承認を得ております。

 対象は施設を利用している要介護高齢者および勤務している介護者とし、調査同意を得た上で、個別インタビューを行いました。


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《キッセイ薬品工業株式会社について》

キッセイ薬品工業株式会社は、約70年の歴史を持つ日本の製薬企業です。「純良医薬品を通じて社会に貢献する」、「会社構成員を通じて社会に奉仕する」という経営理念のもと、創薬研究開発型企業として、世界の患者さんに独創的な新薬を提供することに注力しています。泌尿器、腎・透析領域ならびにアンメットメディカルニーズが高い領域において、新薬の創出とライセンス活動を行うとともに、新たな疾患領域の研究開発にも取り組んでいます。



「高齢者施設における要介護高齢者と介護者の排尿ケアに関する実態調査」について 【PDF/802.3 KB

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