医薬品
2023年10月23日
静注透析そう痒症改善剤「コルスバ®静注透析用シリンジ」の国内第Ⅲ相臨床試験結果がNEJM Evidenceに掲載
キッセイ薬品工業株式会社
丸石製薬株式会社
キッセイ薬品工業株式会社(本社:長野県松本市、代表取締役会長兼最高経営責任者:神澤陸雄、以下「キッセイ薬品」)と丸石製薬株式会社(本社:大阪市鶴見区、代表取締役社長執行役員:井上勝人、以下「丸石製薬」)は、本年9月25日に製造販売承認を取得した1静注透析そう痒症改善剤「コルスバ®静注透析用シリンジ」(一般名:ジフェリケファリン酢酸塩、開発番号:MR13A9、以下「本剤」)について、国内第Ⅲ相臨床試験(MR13A9-5試験、以下「本試験」)の二重盲検期の成績が医学雑誌「NEJM Evidence」に掲載された2ことをお知らせします。
本試験は、既治療のそう痒症を有する血液透析患者178例を対象として、国内で実施されたプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験です。二重盲検期において、本剤またはプラセボのいずれかを6週間投与した結果、主要評価項目である「4週時の平均かゆみNRSスコアのベースラインからの変化量」は、本剤投与群 -2.06、プラセボ投与群 -1.09であり、プラセボ投与群に対して本剤投与群の優越性が示されました(p<0.001)。また、副作用の発現割合は、本剤投与群 15%、プラセボ投与群 3%でした。
本剤は、カラセラピューティクス社(Cara Therapeutics, Inc.、本社:米国、President and CEO:Christopher Posner、以下「カラ社」)により創製されたκオピオイド受容体作動薬であり、日本国内において、丸石製薬が製造し、キッセイ薬品が販売します。
キッセイ薬品と丸石製薬は、そう痒症治療の選択肢を広げ、血液透析患者さんのQOL向上に一層貢献できるよう努めます。
以上
1. ニュースリリース:2023年9月25日※
静注透析そう痒症改善剤「コルスバ®静注透析用シリンジ17.5μg、同25.0μg、同35.0μg」の国内製造販売承認取得のお知らせ
※キッセイ薬品または丸石製薬のウェブサイトをご覧ください。
2.Ichiei Narita, et al. Difelikefalin for Hemodialysis Patients with Pruritus in Japan.
NEJM Evidence. Published October 17, 2023. DOI: 10.1056/EVIDoa2300094
URL https://evidence.nejm.org/doi/full/10.1056/EVIDoa2300094
《ご参考》
透析患者におけるそう痒症について
そう痒症は、かゆみの原因となる明らかな皮膚病変がないにもかかわらずかゆみが生じる病態で、透析治療を受ける慢性腎不全患者さんに多く認められる症状です。かゆみは長期にわたり継続し、強い精神的苦痛に繋がることから、著しくQOLを低下し、睡眠障害、うつ病、死亡リスクの上昇等の精神的、肉体的な健康に影響を及ぼすことが報告されています。
透析患者さんのかゆみの発現メカニズムの一つとして、内因性オピオイドが関与していると考えられており、選択的なκオピオイド受容体(KOR)作動薬であるジフェリケファリン酢酸塩は、オピオイド受容体のサブタイプの一つであるKORに作用することで、抗そう痒作用を示します。
コルスバ®静注透析用シリンジについて
本剤は、丸石製薬が2013年4月にカラ社より導入し、2017年3月よりキッセイ薬品と国内で共同開発を進め、2023年9月25日に丸石製薬が「血液透析患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を適応症として、国内製造販売承認を取得しました。透析医療現場での利便性を向上させたプレフィルドシリンジの静脈注射用製剤です。
かゆみに対するNRS(Numerical Rating Scale)スコアについて
かゆみに対するNRSスコアは、1日の中で最も強く感じたかゆみに対して「かゆみなし」をスコア0、「考えられる最大のかゆみ」をスコア10として、0から10までの整数で評価する基準です。
キッセイ薬品工業株式会社について
キッセイ薬品工業株式会社は、「純良医薬品を通じて社会に貢献する」、「会社構成員を通じて社会に奉仕する」との経営理念のもと、創薬研究開発型企業として、世界の患者さんに独創的な新薬を提供することに注力しています。泌尿器、腎・透析、糖尿病、消化器、そして希少疾病の領域を中心に活動しています。
キッセイ薬品工業株式会社の詳細情報は、https:///www.kissei.co.jp をご覧ください。
丸石製薬株式会社について
丸石製薬株式会社は、日本薬局方医薬品メーカーとして創業した、周術期医療領域、感染対策領域のスペシャリティファーマです。創業130年を超える歴史のなかで培ってきた技術や知識・ノウハウを活かし、患者さんのQOL向上を最大の目的として医薬品の研究・開発・普及を幅広く行い、医療に貢献しています。
丸石製薬株式会社の詳細情報は、https://www.maruishi-pharm.co.jp/ をご覧ください。
カラセラピューティクス社(Cara Therapeutics, Inc.)について
カラセラピューティクス社は、そう痒症に苦しむ患者さんのQOLを向上する新薬の開発および商業化に取り組むNasdaq上場(Nasdaq:CARA)のバイオファーマです。
カラセラピューティクス社の詳細情報は、https://www.caratherapeutics.com/、X(旧Twitter)、LinkedInおよびInstagramをご覧ください。
静注透析そう痒症改善剤「コルスバ®静注透析用シリンジ」の国内第Ⅲ相臨床試験結果がNEJM Evidenceに掲載 【PDF/251.6 KB】