医薬品
2024年9月 4日
急性骨髄性白血病用剤「オルタシデニブ」に関する技術導入契約締結のお知らせ
キッセイ薬品工業株式会社(本社:長野県松本市、代表取締役会長兼最高経営責任者:神澤陸雄、以下「当社」)は、ライジェルファーマシューティカルズ社(Rigel Pharmaceuticals, Inc.、本社:アメリカ、President and CEO:Raul Rodriguez、以下「ライジェル社」)と、急性骨髄性白血病用剤「オルタシデニブ(一般名)」(以下「本剤」)について、独占的開発・販売権取得に関する契約を締結しましたのでお知らせします。
本契約に基づき、当社は、本剤の日本・韓国・台湾における独占的な開発権及び販売権を取得します。
本剤は、IDH1*1を阻害することにより、IDH1遺伝子変異により引き起こされる幹細胞、前駆細胞の正常な分化の阻害や、腫瘍性形質転換の促進を抑制し、正常な細胞分化を回復させます。本剤は米国において「IDH1変異陽性の再発/難治性の急性骨髄性白血病*2」の適応で2022年12月に承認され、ライジェル社により販売されています。
当社は、泌尿器、腎・透析領域ならびにアンメットメディカルニーズが高い領域における製品ポートフォリオの拡充に取り組んでいます。今回の契約締結により、希少疾病治療に対する取り組みを一層強化するとともに、本剤を急性骨髄性白血病に苦しむ患者さんに早期に提供することを目指します。
なお、本件に伴い発生する契約一時金は、2024年5月7日に公表しました2025年3月期の連結業績予想に織り込んでいます。
以上
《ご参考》
*1: IDH1(Isocitrate Dehydrogenase-1(イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1))について
IDH1は細胞質に存在し、クエン酸回路において、イソクエン酸からα-ケトグルタル酸(α-KG)への酸化的脱炭酸を触媒する代謝酵素です。IDH1遺伝子変異がある場合、DNAのメチル化が促進され、幹細胞や前駆細胞の正常な細胞分化の阻害や、腫瘍性形質転換の促進をもたらすと考えられています。
*2: IDH1変異陽性の再発/難治性の急性骨髄性白血病について
急性骨髄性白血病は、分化・成熟能が障害された幼若骨髄系細胞のクローナルな自律性増殖を特徴とする多様性に富む血液腫瘍です。骨髄における白血病細胞の異常な増殖の結果、正常な造血機能は著しく阻害され、白血球減少、貧血、血小板減少に伴うさまざまな症状を呈し、適切な治療がなされない場合は、感染症や出血により短期間で致死的となる重篤な疾患です。国内患者数は、約11,000人と推計されています1)。
当疾患に対する治療として、アントラサイクリン系薬剤とシタラビンの併用などの寛解導入療法が行われますが、10~40%が寛解に至らず2)、半数程度が再発する3)ことで、再発/難治性として救援療法に移ります。
本剤は、再発/難治性の急性骨髄性白血病のうち、IDH1変異陽性(急性骨髄性白血病の6~9%4))を予定適応症としています。
1) 厚生労働省令和2年(2020)患者調査、2) Blood (2015) 126 (3): 319-27.、3) Leukaemia Care. Relapse in Acute Myeloid Leukaemia (AML). Version 3.、4) NCCNガイドライン2024 V3
ライジェルファーマシューティカルズ社(Rigel Pharmaceuticals, Inc.)について
ライジェル社(Nasdaq: RIGL)は、血液疾患や癌の患者の生活を大幅に改善する新規治療法の発見、開発、提供に取り組んでいるバイオテクノロジー企業です。1996 年に設立され、カリフォルニア州サウスサンフランシスコに本社を置いています。同社の販売製品と開発品のパイプラインに関する詳細については、同社ホームページをご参照ください(https://www.rigel.com)。
急性骨髄性白血病用剤「オルタシデニブ」に関する技術導入契約締結のお知らせ 【PDF/249.2 KB】