医薬品
2025年3月31日
GnRHアンタゴニスト「リンザゴリクス」の子宮内膜症を対象とした第Ⅲ相臨床試験開始のお知らせ
キッセイ薬品工業株式会社(本社:長野県松本市、代表取締役会長兼最高経営責任者:神澤陸雄、以下「当社」)は、当社が創製したGnRHアンタゴニスト「リンザゴリクス」(一般名、国内開発番号:KLH-2109、以下「本剤」)について、子宮内膜症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を開始したことをお知らせします。
子宮内膜症は、子宮内膜やそれに似た組織が子宮以外の部位で増殖と剥離をくり返し、さまざまな痛みを引き起こしてしまう疾患です。20~30代で発症し時間が経つにつれて悪化することが多く、30~40歳で最も重症化するともいわれます。子宮内膜症の主な症状は、「痛み」と「不妊」であり、中でも月経痛(月経困難症)は、子宮内膜症の9割の患者さんにみられます。また月経時以外にも下腹部や腰が絶えず痛む(慢性骨盤痛)、排便や性交のときに痛みを感じるなどの症状もあります。
今回実施する臨床試験では、骨盤痛を有する子宮内膜症患者さんを対象とし、本剤を経口投与した時の月経時及び非月経時の痛みに対する有効性を、GnRH受容体作動薬(アゴニスト)を対照とした二重盲検法により検証します。さらに、本剤の安全性についても評価します。
本剤について、当社は、2025年2月26日に子宮筋腫を適応症とした国内製造販売承認申請を行いました1。また海外では、技術導出先であるセラメックス社(英国)が子宮筋腫を適応症として2024年9月に欧州で発売し2、同年11月に欧州医薬品庁(EMA)より子宮内膜症の適応追加の承認を得ているほか3、他の技術導出先企業により、韓国、台湾での開発も進められています。
当社は、本剤を子宮内膜症患者さんに早期に提供できるよう、開発に注力してまいります。
以上
1 ニュースリリース:2025年2月26日
GnRHアンタゴニスト「リンザゴリクス」の子宮筋腫を対象とした国内製造販売承認申請のお知らせ
2 ニュースリリース:2024年9月17日
子宮筋腫治療薬イセルティ(一般名リンザゴリクス)の欧州での新発売のお知らせ
3 ニュースリリース:2024年12月23日
GnRHアンタゴニスト「イセルティ」(一般名リンザゴリクス)の欧州における子宮内膜症の追加適応症の取得について
《ご参考》
リンザゴリクス(国内開発番号:KLH-2109)について
本剤は、当社が創製した経口投与可能なGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アンタゴニストであり、下垂体に存在するGnRH受容体においてGnRHと拮抗し、性腺刺激ホルモンであるゴナドトロピンの分泌を抑制することで、卵巣におけるエストロゲン産生を低下させ、子宮筋腫や子宮内膜症の各症状を改善することが期待される薬剤です。
本剤は、セラメックス社(英国)により、2024年9月にドイツを皮切りに「Yselty®(イセルティ)」の製品名で新発売され、その後順次、欧州各国他において発売及び発売に向けた準備が進められています。また、台湾においてはシンモサバイオファーマ社(台湾)により承認申請中、韓国においてはJWファーマ社(韓国)が開発準備を進めています。
日本においては、当社が子宮筋腫を適応症として製造販売承認申請中です。
GnRHアンタゴニスト「リンザゴリクス」の子宮内膜症を対象とした第Ⅲ相臨床試験開始のお知らせ 【PDF/234.4 KB】