唾液の分泌を促すための日常生活の工夫
唾液の分泌を促すための日常生活の工夫
さまざまな役割を持つ唾液ですが、日常生活の工夫によって唾液の分泌を促すことができます。
その工夫について紹介します。
1. よく噛んで食べましょう
噛むことが刺激となって唾液の分泌が促されます。ゆっくりよく噛んで食事を楽しみましょう。ガムや歯ごたえのあるものを噛むことも、良い刺激になります。

2. リラックスして過ごしましょう
唾液の分泌は、自律神経(交感神経、副交感神経) によって調節されています。リラックスした状態ではサラサラ唾液が多く分泌され、口の中がうるおいます。ストレスを感じたり緊張した状態ではネバネバ唾液になります。
食事や寝る時間がバラバラで、自律神経のバランスが崩れると、唾液の分泌に影響します。規則正しいリズムで生活することが大切です。

3. 口の体操やマッサージを行ってみましょう
唾液の流れがスムーズになり、唾液が出やすくなります。
唾液の量を増やす方法として、口の体操や唾液腺マッサージを紹介します。
これらの体操やマッサージは、痛みを感じない程度に、無理のない範囲で行ってみましょう。
<口の体操>
①上の歯が見えるように口角を上げ、端から舌を出します。
② 口角を上げたまま、舌をゆっくりと左右に動かします。この3往復を2回行います。

① 顔のストレッチをするような感覚で、視線は上方を見つめます。
②口から思い切り息を吐きながら舌を下方にしっかり出し、鼻から息を吸いながら舌を戻します。これを5回行います。

リラックスした状態で舌をしっかり動かすことで、唾液分泌が促されます。朝、晩に行ってみましょう。
<唾液腺マッサージ>
●耳下腺への刺激
耳の横を手指で後ろから前に向かってゆっくり回します。

●舌下腺への刺激
両手の親指をそろえ、顎の真下からグッと押します。

●顎下腺への刺激
下顎の骨の内側の軟らかい部分に親指を当て、骨に沿って5カ所くらいを順番に1~2秒押します。

唾液腺を外からマッサージすることで、唾液の流れが良くなります。朝起きた時や食事の前、人と話す前などに行ってみましょう。
唾液分泌を促すためのその他の工夫や注意点
唾液の分泌を促す食べ物もあります
酸味のあるレモンや梅干しなどは唾液を出すことで知られていますが、昆布(アルギン酸※1)や納豆(ポリグルタミン酸※1)などにも唾液の分泌を増やす働きがあります。
なお、口の中の状態によっては、酸味や辛味の強いものは痛みが増強したり、状態が悪化したりすることがありますので、注意しましょう。
※1 唾液分泌を促す成分

脱水にならないように注意しましょう
唾液のもとになる体の水分が不足しないよう気を付けましょう。
服用中の薬を確認しましょう
お薬によっては、口が渇く副作用のあるもの※2 もあります。服用しているお薬がある方は医師や薬剤師に確認しましょう。
※2 高血圧治療薬、潰瘍治療薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬など

監修
斎藤一郎 先生(鶴見大学歯学部 教授)
2019年作成