元気に長生きするための「8つの秘訣」

元気に長生きするための「8つの秘訣」
~透析患者さんに知っておいていただきたいこと~

ここでは、透析療法を受けながら、元気に長生きするための「8つの秘訣」を紹介します。
毎日の生活の中で、ぜひ、これらのポイントを思い出して実行してみてください。合併症対策にもつながります。透析療法と長く上手に付き合っていきましょう。

① 十分な透析を規則的に受けましょう

からだの余分な水分やたまった老廃物を除去することで、からだを健康な状態に近づけることができます。主治医の指示にしたがって、決まった間隔でしっかりと十分な透析を受けましょう。透析をさぼるのは厳禁です!

② 栄養を十分にとり、体格を維持しましょう

栄養失調では長生きできません。栄養を十分にとることを欠かさないでください。そして、同時に食事を楽しむことも忘れないようにしましょう。

透析患者さんは摂取カロリーが不足することがあります。摂取カロリーが十分かどうかは、BMI(体格指数)で推測できます。

まずは、ご自分のBMI(体格指数)を計算してみましょう。

BMI=体重(kg) ÷ {身長(m)×身長(m)}

体重を身長の2乗で割ったものが「BMI」です。
このBMIが「22以上」になるように心がけてください。

③ 食べすぎは禁物

栄養をとることは大切ですが、食べすぎには注意が必要です。
とくに塩分、たんぱく質のとりすぎに注意しましょう。

塩分のとりすぎは高血圧やのどの渇きの原因となり、心臓の負担を増やします。たんぱく質を多くとると老廃物が増えますが、これは透析を十分に行うことである程度対応可能です。

問題はリンです。リンについては⑤を参照してください。

④ 体重増加は「6%以内」に

塩分を摂取するとのどが渇き、つい水を多く飲んでしまって体重が増えます。
からだに多くたまった余分な水分を1回の透析(4時間程度)でとろうとすると、血圧の低下や足のつりといった症状が出ることもあります。からだに水分がたまり続けると、心不全を引き起こす原因にもなりかねません。

体重増加は、透析の間が中2日(例:金曜日に透析し、次回は月曜日)の場合はドライウェイトの6%以内に、中1日の場合は3%以内を目標にしましょう。

体重増加は「6%以内」に

⑤リンのとりすぎに注意

リンは透析前の血液中リン濃度が6mg/dL未満になるように、食事に注意し、リン吸着薬を服用しましょう。

リンはたんぱく質に多く含まれており、たんぱく質を制限する理由のひとつですが、それ以上にチーズなどの乳製品やハムなどの加工食品にたくさん含まれています。とくにインスタント食品、ファストフード、嗜好品、飲料などのリン含有量に注意してください。

⑥ 感染症にかからない

細菌やウイルスに感染すると、肺炎などの感染症のほか、炎症のために動脈硬化や栄養失調などを引き起こす可能性があり、からだに大きな負担をかけてしまいますので予防接種は受けてください。シャントも清潔に保つよう心がけましょう。

⑦ 貧血は適切に治療しましょう

ヘモグロビン(Hb)値を10g/dL~12g/dLに維持することが勧められています。もちろん、患者さん個々で目標値は異なりますが、腎性貧血治療薬で治療することができますので、気になることがあれば主治医にご相談ください。

⑧ 禁煙

喫煙はがんや動脈硬化などの原因になります。合併症のリスクも高まるので、禁煙が強く勧められます。“禁煙と禁塩”を忘れずに。

禁煙
〔参考文献〕
秋澤忠男著「腎臓病と最新透析療法-より快適な透析ライフを送るために-」、ゆまに書房、2008年