教えて!透析 Q&A
透析患者さんがよくお困り・お悩みになる質問に専門家がお答えするQ&Aコーナー。
患者の皆さまが生き生きとした生活をお送りいただく上でご参考にしてみてください。

【執筆】三愛記念病院 総看護部長 小手田 紀子 先生
【監修】聖隷佐倉市民病院 総看護部長 内田 明子 先生
  • 質問

    岩手県では、「わんこそば」「冷麺」のほかにも「じゃじゃ麺」が三大麺として有名です。じゃじゃ麺 は温かい麺の上に炒めた肉味噌ときゅうりをのせて、ショウガやねぎを添えた汁なし麺です。
    透析を始めることになりましたが、今まで通り、じゃじゃ麺を食べてもいいでしょうか?
    濃い味付けなので、食べ方などで気を付けることがあれば教えてください。

    答え

    盛岡三大麺の一つ「じゃじゃ麺」は、ゆであがったうどんの上にのせた肉味噌と、刻んだねぎときゅうりをよく混ぜて食べる料理です。お好みで、おろしにんにくやおろししょうが、酢、ラー油を加えますが、これらの配合次第で、自分好みの味付けに変えることができます。

    そして、じゃじゃ麺を食べ終わったら、食べ終えたお皿に生卵を入れてよく溶き、うどんのゆで汁を加えて食べるスープ「チータンタン」まで楽しむことができます。

    透析患者さんにとって、うどんを始めとする小麦粉を原料とした麺類は、塩分やリン、水分に注意が必要な料理です。じゃじゃ麺も同様です。 以下に挙げた食べ方の注意点を参考に、じゃじゃ麺などのうどん類を、工夫しながら美味しく、楽しんで食べてみてください。

    詳細な解説もご覧ください

    じゃじゃ麺は、しっかり味付けされた肉味噌を麺にからめて食べる料理ですので、塩分が非常に多くなります。専門店によって肉味噌の材料や味付け、量は異なりますが、じゃじゃ麺1食で塩分6g以上※になることもあります。
    しかし、肉味噌の量を加減し、にんにく・ショウガ・酢・ラー油を加えて味付けを工夫すると塩分を減らすことができます。チータンタンは、こしょうとラー油、酢で味を付け、残りの味噌はできるだけ少ない量で調節するようにしましょう。

    ※血液透析患者さんが1日に摂取できる食塩量は6g未満です。
    「これだけは知っておきたい食事管理のポイント」をご参照ください。

    「じゃじゃ麺を上手に食べる5つのポイント」を挙げました。

    じゃじゃ麺を上手に食べる5つのポイント

    じゃじゃ麺

    • (1)麺(うどん)の量は少なめにする
    • (2)肉味噌は、まず半分だけで食べる
    • (3)にんにく・ショウガ・酢・ラー油・こしょうを加えて食べる
    • (4)紅ショウガは残す
    • (5)チータンタンは、卵1個と少なめのゆで汁で作り、肉味噌はできるだけ足さない

    にんにくやショウガなどの香味野菜、酢、ラー油などの調味料を上手に活用すると、塩分を抑えながらも、美味しく食べることができます。また、リン、水分が多くなりすぎないように、具材の分量も調整しましょう。

    • 生うどん(1食150g)に相当するゆでうどん(270g)の塩分は約0.8gです。うどんの量が増えると、からめて食べる肉味噌の量も増えてしまい、塩分やリンが多くなってしまいます。うどんは少なめにしましょう。
    • 肉味噌は全部混ぜてしまわず、まずは半分量だけ混ぜ、残りはチータンタン用にとっておきましょう。刻んだねぎときゅうりを一緒に混ぜ、ねぎの風味ときゅうりの食感で味わってみましょう。
      きゅうりは水分の多い野菜ですが、一人前の分量は4分の1本程度ですので、気にせず全部食べていただいて大丈夫です。
      おろしにんにく、おろししょうがをたっぷり加えましょう。酢とラー油は加減しながら加えましょう。
      にんにくとショウガの風味を効かせること、酢の酸味やラー油の辛味を効かせることで、肉味噌が半分の量でも、塩分が少なめでも美味しく食べることができます。
    • 口直しに添えてある紅ショウガは、できるだけ残しましょう。紅ショウガは酢漬けですが、甘酢漬けのガリよりも塩分が多く含まれます。
    • チータンタンは、卵1個で作り、ゆで汁は少なめにしましょう。
      残しておいた肉味噌を溶かしますが、こしょうとラー油、酢をお好みで加えて味付けし、肉味噌はできるだけ少ない量で調節してください。
      ゆで汁を控えめにすることで肉味噌も少なくて済み、塩分を抑えることができます。スープの量が増えると、水分が増えますので注意しましょう。

    じゃじゃ麺は年間を通して食べられていますが、寒い季節は温かいうどんも美味しいですよね。透析患者さんが温かいうどんを食べるときのポイントについても説明します。

    温かいうどんを食べるときのポイント

    うどん

    • (1)うどんのつゆは飲まずに残しましょう
      うどんは、他の麺類と比べて麺自体にも塩分が多く含まれています。つゆに含まれる塩分と合わせると、かけうどん1食で塩分約6gになり、1日分の目標塩分量を1食で摂ってしまうことになります。
      つゆを飲んでしまうと塩分・水分の摂りすぎになりますので、飲まずに残す勇気が大切です。
    • (2)濃いめのだしと薬味や香辛料を活用しましょう
      ご家庭で作るときは、濃いめのだしをとることで、薄味でも、だしの風味や旨味で美味しくいただくことができます。薬味や香辛料を上手に使うのもお勧めです。

    わんこそばや冷麺を楽しむには?

    わんこそば

    では、わんこそばや冷麺を食べるときはどうでしょうか?

    そばは、うどんと比べて、つなぎに使う小麦粉も、加える塩も少なく済むため塩分量は少なめです。冷麺は、韓国冷麺の麺はそば粉を使うため、うどんよりも塩分は少なめになっていますが、盛岡冷麺の主原料は小麦粉と馬鈴薯ですので、やはり塩分に気を付ける必要があります 。

    また、うどんと同様に、つゆにはたくさんの塩分が含まれていますので、そばや冷麺を食べるときにも、つゆはできるだけ減らして飲まずに残しましょう。わんこそばを食べるときには、お椀のつゆは飲まずに専用容器に捨てましょう。味に変化をつけるため、薬味との食べ合わせを楽しみながら、自分のペースいただくのが本来のスタイルです。

    冷麺

    冷麺の具材はチャーシュー、酢漬けきゅうり、ゆで卵、辛味を調整するキムチが一般的です。季節により夏はすいか、秋は梨をトッピングするところもあります。
    辛さを求めてキムチの量を増やすと塩分量も多くなってしまいますので、キムチは増やしすぎないように気をつけましょう。

    【執筆】
    医療法人社団恵仁会三愛病院
    管理栄養士 吉田真由美 先生
    顧問(認定看護管理者) 遠藤ミネ子先生

  • 質問

    ブドウの美味しい季節になりました。果物にはカリウムが多く含まれていると聞きますが、ブドウはどのくらい食べていいのでしょうか?
    他にも気を付ける点があれば、教えてください。

    答え

    ブドウにはさまざまな品種があり、品種によって1粒や1房の重さにばらつきがあります。透析患者さんが食べる際には、カリウム量を考えながら食べる量を調整しましょう。

    1日にブドウから摂取してもよいカリウムを約200mgとすると、1日に食べられる量は、デラウェアは1房、巨峰は12粒程度が目安になります。

    最近は皮ごと食べられる品種も増え、スーパーなどでも手に入りやすくなっています。同じ重さでも、皮をむいて食べるブドウよりも、皮ごと食べるブドウの方がカリウム量は多くなりますので、皮ごと食べる場合は量を抑えた方がよいでしょう。

    ここでは、ブドウを食べるときに注意して欲しいポイントについてお話しします。以下の点を参考に普段の生活に上手に取り入れてみてください。

    詳細な解説もご覧ください

    ブドウは品種によって1粒や1房当たりの重さにばらつきがあります。

    ブドウ100gに含まれるカリウムは約130mgです。
    1日にブドウから摂取してもよいカリウムを約200mgとすると、
    ブドウの1日の摂取量は約150gが目安となります。

    ぶどう

    品種別にみると、1日に食べられる目安量は、
    デラウェアは1房(100g~150g)、
    巨峰は1粒10~12gですので12粒程度
    となります。

    シャインマスカットなど、最近は皮ごと食べられる品種が増えています。
    ブドウ100g当たりのカリウムは、皮なしで食べる場合は130mg、皮つきの場合には220mg を目安にするとよいでしょう。
    一般的なカリウムの表示は皮なしのものになりますので、皮ごと食べるときは、量を控えめにした方がいいでしょう。

    また、干しブドウはカリウム含有量が多くなります。1日に食べる目安量は10粒(約5g)程度に抑えましょう。

    美味しいブドウを見分けるコツ

    • (1)色の濃いもの
      色の濃いものの方が熟しているので、甘味があって美味しく感じます。
    • (2)実の表面に白い粉があるもの
      ブドウの表面の白い粉は、ブドウの保護膜です。水分を保持し、細菌から実を守る働きをしています。
    • (3)実と実の間隔は少し空いているものを選びましょう
    • (4)軸の色は緑色のものの方が新鮮です

    ブドウの種類

    ブドウは皮の色で3つの種類(黒、赤、緑)に分けられます。

    黒系のブドウは、「巨峰」や「スチューベン」などが有名です。
    赤系のブドウは薄茶色をしており、「デラウェア」「シナノスマイル」などがあります。 緑系のブドウは白系とも言われます。「ナイアガラ」「シャインマスカット」などが有名です。

    以下に、ブドウの種類と粒の大きさ、1日摂取量の目安をまとめました。 適切な量を食べて、旬のブドウを楽しんでください。

    ※カリウム200mgに相当するブドウの一日摂取量の目安(150g)

    ブドウの種類 旬の時期 1粒当たりの大きさ ブドウの1日摂取量の目安※ 糖度 特 徴
    黒色の品種
    巨峰 8月下旬~9月下旬 約10~12g 12~15粒程度 18度 正式な品種名は「石原センテニアル」と言います。他の品種と比べて粒が大きいため「ぶどうの王様」とも呼ばれます。
    スチューベン 9~10月 3~5g 30~50粒 20度以上 糖度の高さが特徴です。
    種があり、皮は食べられません。
    長期間の保存ができます。
    赤色の品種
    ゴルビー 8~9月 約20g 7粒程度 18~20度 丸い大粒の実で種はありません。ほどよく酸味もあるのが特徴です。
    皮は厚く食べられないのでむいてから食べます。
    シナノスマイル 8~9月 12~13g 12粒程度 18~20度 皮は赤く少し厚みがあるのでむいて食べます。
    種のない品種で、希少なブドウです。
    サニールージュ 7~8月 5~6g 25粒程度 19度 皮の色は赤紫色でむいて食べます。
    種はなく、甘みと酸味のバランスがちょうどよい味わいです。
    デラウェア 7~8月 1.2~2g 75粒程度(1房) 17~18度 赤系のぶどうの中でも有名な品種。皮の赤紫色が濃いものの方がより甘みが強く、種もなく、皮もむきやすいので食べやすいです。
    緑色の品種
    翠峰(すいほう) 8~10月 13~20g 8~11粒程度 17度 粒は楕円形で1粒が大きく、果汁が多く含まれています。
    種もなく皮も薄く食べられます。
    シャインマスカット 8月 10~15g 10~15粒程度 18~20度 非常に甘みが強く、種のない品種です。
    食べる直前に冷やして食べるとより強く甘みを味わうことができます。美しい黄緑色をした皮は食べられます。
    黄玉(おうぎょく) 7~8月 8~15g 10~18粒程度 23~25度 酸味がほとんど感じられないほど甘みが強く、大粒のブドウです。
    ロザリオ・ビアンコ 9月 8~15g 10~18粒程度 18度 甘みが強くジューシーな食感です。
    皮は黄緑色で薄くそのまま食べられますが、種が入っています。
    ゴールドフィンガー 7~8月 6~8g 18~25粒程度 18度 指のような細長い形をした粒が特徴です。
    シャリシャリとした食感を味わえます。皮は食べられますが、種が入っています。
    日持ちはしません。
    ナイアガラ 8~10月 5~7g 15~21粒程度 16~20度 甘みは強いですが、種の周りは酸味があります。
    生食以外にも、ジュースやワインに加工されることの多い品種です。
    黄華(おうか) 8~9月 6g 25粒程度 18度 甘く酸味の少ないブドウです。
    皮は黄白色で薄く食べられ、種なしです。

    【執筆】
    伊那中央病院 看護部
    赤津サトミ先生

  • 質問

    寒い季節になってくると、鍋料理が食べたくなります。鍋料理は気をつけることが多いと聞いたのですが、どうすれば食べられますか。

    答え

    温かい食べ物が美味しい季節になりました。
    スープやおでん、特に鍋料理は食卓に多くのぼるのではないでしょうか?
    鍋料理は透析患者さんにとっては、水分や塩分の制限があるので手を出しにくいメニューですね。それでもつい食べ過ぎてしまい、体重が増えて反省されている人はいませんか。
    しっかりと材料の中味や量、調理法や食べ方を理解していれば、食べても差し支えありません。
    自炊・外食先でも手軽に食べられる鍋料理ですので、以下の注意点を参考にして、鍋料理が美味しい季節を楽しんでください。

    詳細な解説もご覧ください

    ポイント

    Q 1週間の透析のサイクルの中でおすすめのタイミングはありますか
    鍋を食べる時は、透析の間隔が短い日(中1日など)に食べましょう。
    Q 食べるときに心がけることはありますか
    とんこつラーメン
    自分の食べる分はあらかじめ、取り分けておきましょう。
    鍋の煮汁はカリウムを多く含むため(野菜などの食材からの流出分)、“しめ”の雑炊や麺類は控えるようにしましょう。
    市販の鍋の素は使わず天然のだしを取り、お好みの付けだれ(ぽん酢など)を少量付け、薬味(ねぎや大根おろし、七味など)と一緒に食べる事で、食塩摂取量を少なくする事ができます。また「蒸し鍋」にする事で、水分摂取量を減らす事ができます。
    水分を多く含む料理を、続けて食べないようにしましょう。

    ここに気をつけよう

    カリウム・塩分制限について

    材料はできるだけ薄く切るか、あらかじめ水につけて置いてください。

    鍋そのものに味をつけると塩分量も多くなってしまいます。

    食べる時は、しゃぶしゃぶのようにして、鍋にくぐらせて食べることをおすすめします。

    カリウムが気になる人は、鍋に入れる時間を長めにして食べましょう。

    ポン酢は塩分が多いのでしっかりと計量して使いましょう。

    レモン酢や穀物酢なども併用して使うと塩分をおさえることができます。

    野菜は1回150g程度までにとどめましょう。

     

    リンの制限について

    肉類や魚類、豆腐を中心にするとリンの摂取量が多くなります。

    また練り製品や加工品はリン酸塩を多く含み、取り過ぎるとリンのコントロールが悪くなります。

    肉や魚などは1回60~80g、豆腐は50gまでにとどめたほうが良いでしょう。

  • 質問

    私はとんこつラーメンが大好きで、透析を始める前は週に2~3回は食べていました。ラーメンは塩分と水分が多いので良くないと言われましたが、全く食べてはいけないのでしょうか?とんこつ以外の味噌や醤油ならどうでしょうか。

    答え

    確かにラーメンは塩分と水分が多いので、体重コントロールのためには避けたほうが無難なメニューです。とはいえ、大好きなものを我慢するのはストレスになってしまいます。

    以下に、ラーメンを食べるときの注意点を挙げたので参考にしてみてください。

    やみくもに何でも制限するのではなく、コツをつかんで上手に普段の食事に取り入れることが大切です。

    詳細な解説もご覧ください

    とんこつラーメン
    ラーメンの塩分はお店によって様々であるため一概には言えませんが、とんこつでだいたい一杯6g前後、醤油や味噌はこれよりも少し多くて、中には一杯10gを超えるものもあります。

    とんこつを一杯食べるだけで1日の塩分摂取量を超えてしまいます。
    そのため、どうしても食べたいときはスープを残し、チャーシューや煮卵も残すか半分にしましょう。
    透析レシピ4「外食の楽しみ方~中華料理編~」にもラーメンを食べるときのポイントをまとめていますので参考にしてみてください。

    また、一般にも健康に対する意識が高まり、塩分控えめの商品も増えています。塩分量がしっかりと表示されたコンビニ食や即席麺などを利用するのも一つの方法です。

    ただし麺や添加物にはリンが多く含まれており、具によってはカリウムが多くなります。麺のゆで汁は捨ててスープを別に作るなどの工夫が必要です。

    最近では透析患者さん用のカップ麺も販売されています。味もいろいろありますし、塩分だけでなくカリウムやリンも調整されているので利用しやすいでしょう。

    食事療法はつらくて大変だと思うより、楽しむことが長続きの秘訣です。

    【執筆】
    DLN(慢性腎臓病療養指導看護師)福岡県代表
    守屋 洋子 先生
  • 質問

    北海道などの漁業が盛んな地域は、新鮮な魚介類が豊富なことでも有名です。私は魚介類の中でもいくらや筋子、数の子などの魚卵が好物で、普段から食べる機会も多いのですが、1日にどのくらいの量なら食べてもよいでしょうか。

    答え

    魚卵はリンや塩分に気をつけなければならない食品です。

    リンの過剰摂取は動脈硬化や血管の石灰化(血管の壁が硬くなること)を促進し、心筋梗塞や足の壊死などの原因となります。また、塩分を過剰に摂取すると透析間の体重の増え過ぎにつながります。

    魚卵のリンや塩分の含有量について、食べるときの注意点を以下にまとめました。
    参考にしてみてください。

    詳細な解説もご覧ください

    まずは、リンと塩分の摂取量について確認して行きましょう。

    リンの摂取量に関しては、十分な透析を行っていることが前提です。(Kt/Vで1.4以上)

    食事摂取基準として、1日当たりのリンの摂取量は成人男性では1,000mg成人女性では800mg、1日当たりの塩分摂取量は成人では7~8g未満とされています。

    では、透析患者さんはどうでしょうか。
    透析患者さんの1日当たりのリンの摂取量は約700mg塩分摂取量は6g未満が目安とされており、やはり節制が必要とされています。

    いくら丼、うに丼
    魚卵のリン・塩分含有量(表1)と「いくら丼VSうに丼」(表2)の塩分・リン・エネルギーを表にしてみました。
    好物のいくらや筋子、数の子を食べるときの参考にしてください。

    【表1 魚卵のリン・塩分含有量】
    100g当たりのリン含有量(mg) 100g当たりの食塩相当量(g) 食品目安量 食品目安量のリン含有量(mg) 食品目安量の食塩相当量(g)
    いくら 530 2.3 大さじ1杯
    17g
    90.1 0.4
    筋子 490 4.8 3~4cm
    17g
    83.3 0.82
    数の子 94 1.2 1本
    10g
    9.4 0.12
    たらこ 390 4.6 1本
    30g
    117 2.8
    明太子 290 5.6 Mサイズ1本
    25g
    72.5 1.4
    生うに 390 8.4 1切れ
    10g
    39 0.06

    【表2 いくら丼VSうに丼】
    使われる食材 エネルギー(kcal) リン(mg) 食塩相当量(g)
    いくら丼(丼一杯365g) いくら(100g)
    海苔(1g)
    シソ(1g)
    練りわさび(3g)
    酢飯(260g)
    701 647.07 5.95
    うに丼(丼一杯346g) うに(70g)
    ご飯(260g)
    海苔(3g)
    シソ(1g)
    練りわさび(3g)
    醤油(9g)
    538 400.47 1.76

    ちなみに、魚卵は尿酸値を上げるプリン体が多く含まれている食品と思われがちなのですが、実は「極めて少ない」部類の食品に入っています。

    十分な透析量を確保し、美味しいものをバランス良く食べて、栄養をしっかりとりながら、透析ライフをいきいきとお過ごしください。

    【執筆】
    社会医療法人孝仁会北海道大野記念病院
    透析室 松田 愛 先生
    管理栄養士 庄司 祐美 先生
  • 質問

    愛媛県は県内で栽培される柑橘類の種類が多く、美味しくて我慢できず、つい食べ過ぎてしまいます。柑橘類の中で食べてもよいものはあるのでしょうか?
    また、愛媛と言えば果汁100%のみかんジュースが有名ですが、柑橘類のジュースを飲むときに気をつけることを教えてください。

    答え

    愛媛では「みかん」、「いよかん」、「デコポン」など多くの柑橘の生産品種があります。甘みが強いもの、酸味を感じるものなど味もさまざまです。

    透析患者さんがついつい、みかんを食べ過ぎてしまった場合、最も注意が必要なのは「カリウム」の摂り過ぎです。

    ここでは、みかんを食べるときに注意して欲しいポイントについてお話しします。以下の点を参考に普段の生活に上手に取り入れてみてください。

    詳細な解説もご覧ください

    下記、表1にお示しするように、みかんの種類や大きさによってエネルギーやカリウム、水分量は異なります。

    表1
    みかんの種類別のエネルギー・カリウム・水分量の比較
    (目安量当たり(カリウム100~150㎎に相当))
    種類 目安量(個・g) エネルギー(kcal) カリウム(mg) 水分(g)
    オレンジ 1/3個 30 107 68
    紅まどんな 1/3個 40 115~130 66
    甘平 1/3個 46 125~133 67
    温州みかん 中1個 45 150 87
    いよかん 1/4個 29 119 54
    せとか 1/4個 29 106 54
    種類 重量(g) エネルギー(kcal) カリウム(mg) 水分(g)
    清見 1/3個 27 113 59
    ぽんかん 1/2個 34 136 75
    天草 1/3個 38 100~113 57
    はっさく 1/6個 30 120 58
    デコポン
    (不知火)
    1/3個 39 130 66
    はるみ
    ※デコポンの妹
    1/3個 32 113 58

    ※:改良に用いた各品種のカリウム量を推定とする
    みかん

    【引用文献・参考文献】
    ・果物情報サイト「果物ナビ」
    https://www.kudamononavi.com
    ・のま果樹園
    http://www.kajuen.co.jp
    ・医歯薬出版編:日本食品成分表2015年版(七訂)本表編



    ここでは、一般的に出回っている「温州みかん」を例にお話しします。

    温州みかん・中サイズ1個(100g)当たりに含まれるカリウムは150mgです。
    また、みかんはカリウムのほかに水分も多く含まれており、温州みかん・中サイズ1個当たりの水分は87gとなります。

    このことからも、1日に食べる量は温州みかん「1個」を目安としましょう。

    みかんを食べ過ぎると高カリウム血症や肺水腫といった合併症を起こしやすくなるので注意が必要です。また、「いよかん」や「はっさく」など大きい柑橘は半分から3分の1個程度を目安に食べると安全かと思います。

    では、みかんジュースの場合はどうでしょうか?

    みかんジュースなどの果汁100%のジュースには、カリウムが100mL当たり110~190mg、ペットボトル1本(500mL)当たり550~950mg含まれています(表2)。

    表2 果汁濃度や果実の種類別のエネルギー・炭水化物・カリウム・水分の比較(100mL当たり)
    内容 エネルギー
    (kcal)
    炭水化物(g) カリウム(mg) 水分(g)
    果実
    「温州みかん」
    果汁20% 50 12.4 21 87.4
    果汁50% 60 14.7 63 84.9
    濃縮還元 38 9.9 110 89.3
    ストレート 41 10.6 130 88.5
    果実
    「オレンジ」
    果汁30% 41 10 57 89.7
    果汁50% 47 10.8 99 88.4
    濃縮還元 42 10.7 190 88.1
    ストレート 42 11 180 87.8
    ジュースを飲む場合には、カリウム含有量を考慮して1日に「100mL」を目安にするとよいでしょう。

    また、果汁100%のジュースと果汁20%、30%のジュースではカリウム含有量に差があり、20%、30%のジュースのほうがカリウムの量は少なくなります。そのため、よく飲まれる方は水分に気を付けて果汁20%、30%のジュースにすることをお勧めします。

    【執筆】
    医療法人佐藤循環器科内科
    看護部長 高橋 妙子 先生
    管理栄養士 矢野 愛 先生
このページの先頭に戻る