教えて!透析 Q&A
透析患者さんがよくお困り・お悩みになる質問に専門家がお答えするQ&Aコーナー。
患者の皆さまが生き生きとした生活をお送りいただく上でご参考にしてみてください。

【執筆】三愛記念病院 総看護部長 小手田 紀子 先生
【監修】聖隷横浜病院 総看護部長 内田 明子 先生
  • 質問

    フルタイムで働いている会社員ですが、近々、透析治療を始めることになりました。週3日は治療のため病院に通わなければならないことを知り、仕事と両立できるか不安です。治療と仕事を両立させるためにはどういった心構えが必要なのでしょうか?

    答え

    透析治療と仕事の両立に悩まれる患者さんも多いかと思います。

    透析治療には血液透析と腹膜透析があり、そのほかに腎移植という治療方法もあります。こういった治療選択肢の広がりもあり、治療と仕事を両立されている患者さんもたくさんいらっしゃいます。

    透析治療を開始される前に外来などで治療選択肢について説明する施設が増えてきましたので、まずは医療スタッフに相談してください。
    また、血液透析では治療を行う時間帯は施設によって異なります。昼透析、夜間透析などを行っている施設もありますので、時間帯の説明を確認して、ご自分の仕事に支障を来さないように曜日や時間帯を決めましょう。

    仕事を続ける(あるいは始める)には、まずは体力を維持し、体調を整えることが肝要です。
    そして、仕事をすることでご自身がどういった夢を実現していきたいか、明確な希望を持つことも大切です。

    以下に挙げるポイントも参考にしてみてください。

    詳細な解説もご覧ください

    透析と仕事の両立

    まずは健康第一!


    今のお仕事を続けたい方や新しい職場を探される方にお伝えしたいのは、まず何よりも「ご自身の身体が一番大事」であるということです。

    この事を念頭に置いた上で、
    • ① 食事に気をつける
    • ② 塩分制限・水分制限を守る
    • ③ 十分に睡眠や休息をとる
    • ④ ストレスをためない
    • ⑤ リンやカリウムの値に気をつけてしっかりと透析をする
    といったことを守りながら、治療と仕事を両立できるように体力を維持し、体調を整えることが大切です。

    「人生の棚卸し」が大きな第1ステップ

    これは透析患者さんに限ったことではありませんが、これまでのご自身の生きてきた道を振り返る「人生の棚卸し」をおすすめします。
    これまでのご経験を振り返って、得意なことや不得意なこと、やりがいを感じたことなどを思い起こしてみてください。
    「自分はこれまで何をしてきて、これからどうしていきたいか」をじっくりと考えてみることが大切です。

    そして、透析治療を始めることをネガティブに捉えず、前向きに考えていきましょう。
    仕事に限らず、趣味でも何でも社会とのつながりを持つことで、自分にとっての生きがいや希望も明確になっていくことと思います。

    職場の理解を得るにあたって


    治療を始めることで職場の環境が変わったり、新しい職場に移ったりと、いろいろと生活環境にも変化が生じることと思います。治療を受けていることで職場の方々に対して負い目を感じることもあるかと思いますが、治療が必要な状況を周囲に理解していただくことも大切だと思います。

    透析
    治療しやすい職場環境に変える、あるいは、仕事と両立しやすい治療スタイルをとれる病院(最近では、夜間透析やオーバーナイト透析、在宅透析などができる病院なども増えてきています)を探してみるのも良いでしょう。

    また、障害を持つ方の雇用を促進する法律(障害者雇用促進法)もあり、2016年(平成28年)4月にはその一部が改正されています(詳しくは厚生労働省のホームページをご参照ください)。

    治療を始めた後の生活について不安に感じることがあれば、医療スタッフに相談してください。透析治療を受けている全ての人が、いろいろな葛藤と闘いながら治療を受けています。ご自分の透析ライフがより充実したいきいきとした日々になるように願っています。
  • 質問

    透析を始めてだいぶ経ちますが、最近、食欲が出なくてあまり食べられません。どうしたらよいでしょうか?

    答え

    透析患者さんには高齢を迎える方も多く、食欲が出ないと訴えられる患者さんが多くおられます。その原因はさまざまですが、栄養が不足した状態が続くと体が痩せてしまいます。そうすると、筋力や筋肉量が低下して免疫力も下がってしまい、病気や感染症にかかりやすくなってしまうのです。
    また、糖尿病性腎症でインスリン療法や経口血糖降下薬を内服している方は低血糖症状に気をつけてください。

    毎日を元気に過ごすには「しっかり食べる」ことが大切です。食べることは治療の土台と言われています。
    栄養士さんに相談し、患者さんそれぞれの状態や好みに合った食事の方法をアドバイスしてもらいましょう。気になることがあったら、まずは医療スタッフに相談してください。

    詳細な解説もご覧ください

    食欲不振
    透析患者さんには高齢を迎える方も多く、自然と食欲が落ちるだけでなく、食事のカロリー(エネルギー)が不足したり、老廃物が蓄積したりすることの影響で食欲不振になる方が多くみられます。

    エネルギーが不足するとそれを補うために筋肉がエネルギー源として燃やされてしまい、老廃物が増える・・・という悪循環にもなってしまいます。また、服用している薬の副作用で食欲が低下してしまうこともあります。

    しかし、栄養不足の状態が長く続くと体が痩せてしまいます。痩せすぎは筋力や体力を奪い、免疫力も低下して病気や感染症にかかりやすくなってしまいます。

    一般的には、太ることは健康に悪いと考えられていますが、実は、透析患者さんでは、太っていることよりも「痩せすぎ」になる方が問題です。

    食欲がない時は、まずは、自分が少しでも食べたいものを少しずつ口にしてみましょう。できればカロリーが高く、口あたりがよいものから食べてみるとよいでしょう。

    例:バニラアイス、プリン、蒸しパンやカステラ など



    毎日を楽しく過ごすには、痩せすぎないようにしっかり食べ、適度に活動できる体力を蓄えておくことが必要です。少しでも気になることがあれば、医療スタッフに相談しましょう。
  • 質問

    透析治療を始めてから便秘で困っています。運動不足が原因と聞き、毎日歩くようにしていますが、なかなかよくなりません。何か良い方法はないでしょうか?

    答え

    透析患者さんは便秘になりやすく、その原因は水分不足や食物繊維・ビタミン不足、運動不足などさまざまなものが考えられています。
    便秘が続くと重大な病気を引き起こすこともあります。つらいときは早めに医師や医療スタッフに相談してください。

    詳細な解説もご覧ください

    便秘
    透析患者さんが便秘になりやすい原因には、①水分を制限することで便が硬くなる、②食物繊維やビタミンB1の摂取不足、③運動不足などで消化管の動きが弱まる、④透析中に便意をがまんしてしまう、⑤糖尿病や脳梗塞などによる神経障害の影響、⑥便秘の副作用があるお薬の服用・・・などさまざまなものが考えられています。

    便秘を予防するために運動はもちろん良い方法ですが、透析患者さんの便秘にはこうしたさまざまな原因が重なっていることが多いようです。


    そこで、毎日の適度な運動とともに、以下のことも心がけてみてください。

    ・早朝に一口だけ水を飲んで、大腸を刺激する
    ・便意をがまんせず、便意をもよおしたらすぐにトイレに行く
    ・規則正しい排便習慣をつける
    ・便意がなくても、朝食後にトイレに行く
    ・ウォシュレットを使って肛門を刺激する
    ・毎日、お腹をマッサージする(時計方向にお腹をさする)
    ・調理を工夫して、食物繊維が多くカリウムが少ない食事を摂る


    頑固な便秘は苦しいものですが、それだけではなく腸閉塞(便で腸が詰まった状態になります)や腸管穿孔(便が腸を突き破り腸に穴が空いてしまいます)といった重大な病気を引き起こしてしまうこともあります。

    そこで、下剤や便を柔らかくするお薬などを服用して、便秘にならないようにしましょう。下剤は透析を行った夜に飲むようにします。また、透析中に便意をもよおしたときは、看護師や臨床工学技士に相談してください。

    「便秘なんて軽いもの・・・」と思わずに早めに医師に相談しましょう。
  • 質問

    私はお酒が好きで、普段は焼酎を1合ほど、暑いときは缶ビールを1本飲みます。私は糖尿病なのですが、飲酒をしてもよいのでしょうか?

    答え

    適度な量であれば飲酒もできます。ただし、週に2日は『休肝日』を設けましょう!

    詳細な解説もご覧ください

    糖尿病や肝腎症候群の患者さんでは、治療をするうえで、飲酒が好ましくない場合もあります。まずは、主治医の先生に相談してください。

    ここでは、医師から飲酒制限を指示されていないことを前提に回答します。

    日本酒やワインなどは「醸造酒」、ウイスキーや焼酎などは「蒸留酒」といいます。どのお酒がいいのかというよりも、含まれるアルコールの量が問題で、どの種類のお酒でもアルコールを多く摂ることはよくありません。

    一般的には、純アルコール換算で1日平均10~20g程度が「適度な飲酒」(適正飲酒量といいます)とされます。

    純アルコール20gの目安

    ビール中瓶1本,日本酒1合,チュウハイ(7%)350mL缶1本,ウイスキーダブル1杯

    適度な飲酒量であれば、一般に飲酒は制限されませんが、週に2日は『休肝日』を設けましょう。

    ただし、カロリー制限や水分制限のある患者さんは注意が必要です。カロリー制限が必要な方では、お酒はエネルギー量も多いため、飲酒量に気をつける必要があります。

    また、水分制限のある方では、お酒に含まれる水分量を考慮することも重要です。ウイスキーや焼酎を水割りにすると、水分量は増えてしまいます。この点でオンザロックを好まれる患者さんもおられます。

    さらに、果実酒とビールにはカリウムが含まれていますので注意しましょう。焼酎やウイスキーはこれらが少ないとされます。
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