教えて!透析 Q&A
透析患者さんがよくお困り・お悩みになる質問に専門家がお答えするQ&Aコーナー。
患者の皆さまが生き生きとした生活をお送りいただく上でご参考にしてみてください。

【監修】聖隷佐倉市民病院 総看護部長 内田 明子 先生
  • 【執筆】東葉クリニック大網脳神経外科 看護師長 坂井 晴美 先生

    質問

    血液透析を受けていますが、温泉旅行を計画しています。どんなことに注意したらいいでしょうか? また、事前に準備しておくことはありますか?
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    答え

    血液透析を受けていても温泉旅行を楽しむことができます。

    ただ、透析治療を行った日や体調がすぐれない日は、温泉に入るのはやめましょう。
    また、熱すぎるお風呂や長風呂も避けましょう。

    透析治療を行わない日に温泉に入れるように日程を調整し、万全の体調で旅行に臨めるように当日まで体調管理に十分配慮しましょう。

    詳細な解説もご覧ください

    せっかくの温泉旅行です。
    次に挙げる注意点に気をつけながら、旅行を楽しみましょう。

    温泉

    透析日の入浴は避けましょう

    まず、血液透析治療を行った日の温泉入浴は避けましょう。
    入浴で急激に血圧が下がって立ちくらみを起こしたり、針を刺した部分から雑菌が入って感染症を起こしたりする危険性があります。
    血液透析治療を行わない日に温泉に入れるように日程を調整しましょう。

    体調に不安がある日の入浴は控えましょう

    次に、当日の体調をみながら温泉に入るようにしましょう。
    体調が安定していれば問題ありませんが、体調に少しでも不安があるときは、温泉に入るのは避けた方がよいでしょう。
    念のため、宿泊する部屋にはお風呂が備えつけてあるとよいでしょう。温泉旅行であっても、体調に不安を感じる場合には、入浴を控えるか、備えつけのシャワーで洗い流すくらいですませるようにしましょう。

    温泉

    熱すぎるお風呂や長風呂は避けましょう

    温泉はその成分やついつい長湯をしてしまうなどの理由から、入浴後にほてりを感じることもあるでしょう。しかし、熱すぎるお風呂や長風呂は、皮膚を刺激してかゆみを起こしやすくするほか、体にも大きい負担がかかってしまうため、熱すぎると感じない程度のお湯に、短時間つかることを意識しましょう。
    温泉の温度は、施設によっても異なります。旅行先の温泉の情報は、事前に宿泊施設等に問い合わせるとよいでしょう。

    飲泉は避けましょう

    温泉施設によっては飲める温泉「飲泉」がありますが、ナトリウムイオンやカリウムイオンなどが含まれていることがあるので、避けた方がよいでしょう。

    旅行中は、入浴前後の水分補給のほか、宿泊先の食事で塩分やカロリー、リンやカリウムの摂りすぎにも気をつけましょう。

    疑問や不安なことがある場合は、早めに主治医の先生に相談してください。

    念のため、温泉旅行に行ってもよいかどうか先生に確認するとよいでしょう。

    入浴時の注意点については、こちらのQ&Aもご参照ください。
    「Q ゆっくりお風呂に入るのを毎日の楽しみにしているのですが、血液透析治療をした日は、お風呂などに入ってもいいでしょうか?」
    また、「「かゆみを我慢していませんか?」かゆみチェックリスト」にも入浴の際の注意点を記載していますので、ご参照ください。

  • 【執筆】三愛記念病院 総看護部長 小手田 紀子 先生

    質問

    透析を始める前から、マッサージ店に通って全身マッサージなどを受けていました。透析を始めてから足のむくみがひどくなってきたので、また通いたいと思っています。マッサージを受けるときに気をつけるポイントはありますか?

    答え

    透析治療を行っている患者さんがマッサージを受けてもよいかどうかは、それぞれの患者さんの状態に応じて医師が判断する必要がありますので、必ず主治医に相談しましょう。
    また、マッサージを受けるときは、施術者に局所を強く圧迫することは避け、軽くさする程度にしてもらうように伝えましょう。

    詳細な解説もご覧ください

    マッサージ
    透析患者さんは治療中にベッドの上で過ごす時間が長く、肩こりや腰痛でお悩みの方が多くいらっしゃいます。また、不眠、体や足のむくみ、足のつりを訴える患者さんも多いです。

    一般の方々にもマッサージは健やかな日々を送るための効果的な手段として評価されています。疲労回復やストレス解消に加えて、筋肉をほぐすことによって上記に挙げた症状を緩和し、リラックス効果が得られる可能性があります。全身マッサージや足つぼマッサージのほか、ヘッドマッサージも頭皮を刺激することでイライラ感を減らし、リラックス状態になるので効果的です。

    透析治療を行っていても基本的にはマッサージは受けられますが、それぞれの患者さんの状態に応じて医師が個別に判断する必要があります。必ず主治医にマッサージを受けてもよいかを相談しましょう。

    透析治療には血が固まらないように抗凝固薬を使用しますので、透析日はマッサージ店などでマッサージを受けるのは避けた方が良いでしょう。また、透析患者さんの多くは普段から抗凝固薬を服用されています。この薬を服用していると出血しやすくなりますので、マッサージを受けるときは局所を強く圧迫するのは避ける必要があります。

    そのため、施術者には局所を強く圧迫せず、軽くさする程度にしてもらうように伝えましょう。足つぼマッサージを行う際にも、足の底を両手の親指でゆっくりと強く押すなど、強さを加減してもらうと良いでしょう。

    さらに、シャント側の腕でマッサージができるかどうかは、シャント音やスリル音によって判断が異なりますので、主治医や看護師などの医療スタッフに相談してください。シャント部位に腫れや発赤などがある場合は、マッサージは止めた方が良いでしょう。

    なお、足のむくみは全身に塩分や水分がたまりすぎていることが原因の場合もあります。現在のドライウェイトが適切かどうかも主治医や看護師などの医療スタッフに相談してみてください。
  • 【執筆】三愛記念病院 総看護部長 小手田 紀子 先生

    質問

    透析を始める前から体力をつけるために水泳に通っていますが、治療を始めても水泳をしたり、プールに入ってもいいのでしょうか。その際に注意すべきポイントはありますか?

    答え

    泳ぐ、水の中を歩くといった水中の運動は体力の向上や維持に有効です。ご自身が苦しくならない程度の運動量で続けてください。

    詳細な解説もご覧ください

    水の中を歩く
    泳ぐ、水の中を歩くといった水中の運動は体力を向上させ、それを維持するのに有効です。膝の負担も軽いので比較的高齢な方でも運動を楽しむことができる利点もあります。
    また、適度な運動による身体の疲れは生活にリズムをもたらし、寝つきもよくなります。

    ただし、ご自分で苦しくならない程度の運動量を見きわめて無理をしないよう注意してください。
    気になることがあれば、医療スタッフになんでもおたずねください。

    また、プールに入るときにはシャント部に防水フィルムを貼るなどしてしっかりと保護し、感染症を予防することが大切です。シャント側の腕に傷をつくらず、かさぶたなどを剥がさないように気をつけましょう。シャント部分の感染症予防は透析治療に関するQ&A内、「ゆっくりお風呂に入るのを毎日の楽しみにしているのですが、血液透析治療をした日は、お風呂などに入ってもいいのでしょうか?」の項目をご覧ください。

    シャントを作成した直後やシャント音やスリル音が弱い方は、しばらく水泳はお休みしましょう。

    プールに入る際の注意点をチェックリスト3「無理なく運動を続けるためのチェックリスト」にまとめましたので、参考にしてください。
  • 【執筆】三愛記念病院 総看護部長 小手田 紀子 先生

    質問

    トレッキングや山歩きが趣味で、近場の山に1人で出かけることもあります。
    透析を始めてもこうした運動は続けてもよいのでしょうか。また、運動する際の注意点などがあったら教えてください。

    答え

    もちろん透析を始めてもこれらの運動は行うことができます。
    ご自分の体力や体調に合わせて苦しくならない程度の運動を心がけましょう。また、山に出かける際には下準備をしっかりと行うことも忘れないでください。

    詳細な解説もご覧ください

    山歩き
    透析を始めてもトレッキングや山歩き、ゴルフなどを楽しまれている患者さんも多くいらっしゃいます。
    とくに20~50歳代の若い患者さんでこうした趣味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

    自然の中を歩くのは気分転換にもなりますのでお薦めです。
    しかし、トレッキングや山歩きでは長時間歩くことになりますので、日ごろから体力をつけておく必要もあります。ご自分の体力や体調に合わせて、苦しくならない程度の運動を行うように心がけましょう。

    また、普段からご自分の足のケアを十分に行うことも大切です(詳しくはチェックリスト2「健康な足を保つためのチェックリスト」をご参照ください)。

    さらに、山に出かけられるとき、とくにお1人で出かけられる際にはしっかりと下準備を行いましょう。
    お出かけされる地域の透析施設を調べておくと困ったときに受診できますので、事前に確認しておきましょう。

    出かける際の注意点をチェックリスト3「無理なく運動を続けるためのチェックリスト」にまとめましたので、参考にしてください。
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