
このコーナーでは、透析患者さんには欠かせない食事管理について、「1から料理を作る」のではなく、
スーパーやコンビニで入手できるものや外食時に活用できる手軽な食事管理のコツをご紹介します。
【執筆】株式会社日立製作所 ひたちなか総合病院 栄養室 腎臓病病態栄養専門管理栄養士 中山 真由美 先生
【監修】茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科 教授 石川 祐一 先生
外食の楽しみ方~中華料理編~
外食は楽しみのひとつです。
これまで和食と洋食メニューを選ぶとき、食べるときのポイントを紹介しました(外食時の注意点やメニューの選び方については『和食編』をご参照ください)。
今回は、高カロリー・高塩分の料理が多い『中華料理編』です。
ちょっとした工夫で幅広い外食メニューを楽しみましょう。

このメニューの栄養成分 | 1食あたりの目安量※1 | 目安量との比較 |
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エネルギー:1,006kcal たんぱく質:42.7g カリウム:918mg リン:486mg 食塩相当量:10.9g |
エネルギー:596kcal たんぱく質:19.3g カリウム:667mg リン:289mg 食塩相当量:2g |
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このメニューの栄養成分
エネルギー:1,006kcal
たんぱく質:42.7g
カリウム:918mg
リン:486mg
食塩相当量:10.9g
1食あたりの目安量※1
エネルギー:596kcal
たんぱく質:19.3g
カリウム:667mg
リン:289mg
食塩相当量:2g
目安量との比較
※1
:標準体重50~60kg(55kgで算出)、週3回血液透析の方の場合
食事療法基準※2に基づいて、1日を3等分にして上記の通りに算出
(目安量は体重によって個人差がありますので、具体的な量については「これだけは知っておきたい食事管理のポイント」をご参照ください。)
※2
:日本腎臓学会編「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」、東京医学社、2014
このメニューを食べるときのポイントは
ー完食すると塩分が1日の減塩目標量を超えてしまいますー
中華料理は油を多く使い、味つけが濃いことも特徴です。完食してしまうとエネルギー、塩分、リン、カリウムなどが目標量をオーバーしてしまいます。とくに塩分は1日の減塩目標量を超えてしまいます。食べる量を調整しましょう。
減塩のためにできる工夫は?
ラーメンはもともと塩分や水分の多い料理です。
スープを全部飲んでしまうとラーメンだけで1日の減塩目標量をオーバーしてしまいます!
スープは残すように工夫しましょう。
よく煮込まれていて見た目以上に味つけが濃いので残すようにしましょう。
下味がしっかりついています!
たれをつけずにそのまま食べてみてください。
たれは酢だけにするのも工夫のひとつです。
<ワンポイントアドバイス>
ラーメンは塩分が非常に多い料理です。『替え玉』『大盛』にはせず、残りのスープにご飯を入れて食べるのも控えましょう。また、『チャーシュー』『卵』『なると』『メンマ』のトッピングの具材にも味がついています。具材の追加注文や具材の多くのったメニューは注文しないように心がけましょう。
「リン制限」を指示されている方は?
チャーシューや卵には多くのリンが含まれています。
大きさにもよりますが、チャーシュー1枚、卵は半分に減らすと100mg程度のリンを減らせます。これでラーメン1杯に含まれるリンの量を3分の2程度にできます。
また、卵の黄身にリンが多く含まれていますので、黄身を残すのも工夫のひとつです。
ひき肉にはリンが多く含まれています。ラーメンとセットにする場合は、半分残すとリンの摂取量を抑えられます。
<ワンポイントアドバイス>
『チャーシューメン』のようなたんぱく質の多い具材がのったラーメンは、リンがさらに多くなります。メニューの選び方に注意しましょう。
「カリウム制限」を指示されている方は?
ラーメンにはお店によってさまざまなメニューがあります。
中でも、野菜たっぷりのタンメンはスープの中にカリウムが多く含まれていますので、スープは残すようにしましょう。
<ワンポイントアドバイス>
ラーメンの汁、チャーシューを1枚残し、餃子を半分残すことでカリウム摂取量は全体の3分の2程度に減らせます。
◇中華料理は高カロリー・高塩分の料理が多くなります。料理の組み合わせによってはリンやカリウムも多く摂取しがちになりますので食べる量を調整するよう心がけましょう。
◇和食や洋食メニューと同様に、食べすぎてしまったときは次の食事で食べる量を調整しましょう!