私の透析体験談
このコーナーでは、仕事や趣味などを通じて充実した毎日を過ごされている透析患者さんにご登場いただき、
透析療法を続けながらも人生を楽しむコツなどについて お話しいただきます。

私の透析体験談 Vol.7
前向きに自分の身体をいたわりながら、楽しい人生を送りたい。
透析も人生経験の一つ。次は、空手に挑戦するのが目標!

高木 知恵子(たかぎ ちえこ)さん(67)腹膜透析歴 6年、血液透析歴 1年 写真
「じっとしているのは苦手」という高木知恵子さんは、身体を動かすことが大好きで、ボウリングはプロ試験を受けるほどの腕前だそうです。
8年前に腹膜透析を始めた後も週2~3回のプール通いを続けてこられ、血液透析に移行した今は「腹圧をかけても大丈夫だから」と、ジムで思いっきり心地よい汗を流したいと話します。
そんな高木さんの次なる目標は「空手に挑戦」すること。
常に新しいものに挑戦し、前向きに過ごされている高木さんに、透析療法を続けながら毎日の生活を楽しむコツについてお聞きしました。

高木 知恵子(たかぎ ちえこ)さん(67)
腹膜透析歴 8年、血液透析歴 1年

「じっとしているのは苦手」という高木知恵子さんは、身体を動かすことが大好きで、ボウリングはプロ試験を受けるほどの腕前だそうです。
8年前に腹膜透析を始めた後も週2~3回のプール通いを続けてこられ、血液透析に移行した今は「腹圧をかけても大丈夫だから」と、ジムで思いっきり心地よい汗を流したいと話します。
そんな高木さんの次なる目標は「空手に挑戦」すること。
常に新しいものに挑戦し、前向きに過ごされている高木さんに、透析療法を続けながら毎日の生活を楽しむコツについてお聞きしました。
無理のない食事制限や運動で、5年間で20kgの減量に成功
高木 知恵子(たかぎ ちえこ)さん(67)腹膜透析歴 6年、血液透析歴 1年 写真1

――
透析を始められたのは、何歳の頃ですか?
60歳の時です。50歳になる手前の健康診断で腎臓が悪いことが分かりました。その後、特に体調は悪くなかったのですが、腎臓内科に通院するようになってからもクレアチニンなどの検査の値が徐々に悪くなってきてしまい、8年前に透析に踏み切りました。
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腎臓が悪いと指摘されてから透析を始められるまで、食事などには気をつけていましたか?
はい。実はその頃は体重が70kgぐらいありまして、主治医からも痩せるようにと言われていました。ただ、急激に痩せるとリバウンドしてしまって、うまく減量できないのと、「あれも駄目、これも駄目」と制限するものが多いとそれがストレスになってしまうので、無理のない範囲で体重を減らしていきました。

食事面では、例えばご飯は女性用のお茶碗で軽めにするなど、それまで1.5人前食べていた食事の量を全体的に減らしました。また、もともと運動が好きだったこともあって、近所のプールに週4~5回通って腰に負担がかからない水中ウォーキングを始めました。こうした生活を続けたところ、体重は自然と5年間で20kgほど減りました。
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食べる量を減らした以外に食事面で気をつけたことはありますか?
減塩にも気をつけて、栄養指導を受けた時に指導された1日7gを守るようにしています。実は、私はもともと薄味の方が好きなので、自宅で調理する時も調味料はあまり使わないんです。ですから、減塩は無理なくできていると思います。

たんぱく質やリン、カリウムの摂取については、腎臓病の本を買ってきて自分なりに勉強しました。透析を始めてからも分からないことがあると本を読み返しています。
――
外食される時にはどんな工夫をされていますか?
仕事で外出するとどうしても外食が増えてしまうのですが、薄味が好きなせいか味の濃い外食の食事は苦手で・・・。ですので、外食では全体の食べる量を減らして食べ過ぎないように気をつけて、調味料は基本的には使わないようにしています。お寿司でもお魚でももともと塩味がついていますから、ほとんどのものは醤油や塩などを使わず、野菜もドレッシングをほんの少しかけるくらいで食べています。
自分の身体と相談しながら、友人との会食やカラオケでストレス発散
――
透析療法は、腹膜透析から始められたそうですね。
腹膜透析は自分で機械を確実に操作しなければならないのと、その当時は衛生管理も大変だと聞いたことがあったので迷いましたが、いずれ血液透析を始めるにしても経験しておきたかったので、まずは腹膜透析を選択しました。
――
透析を始められた当時、お仕事はされていましたか。
その前から友人達とハウスクリーニングの会社を立ち上げて、ご家庭の清掃などをしていました。腹膜透析を始めた頃は透析バッグを1日4回交換していましたが、始めてから1カ月後には透析を夜間だけにしてもらったので、それまで通り仕事を続けることができました。

仕事は血液透析を始めてからも続けていますが、昨年の夏に主人が病気で倒れたこともあって、今は仕事の量を徐々に減らすようにしています。ただ、長いおつきあいのお客さまなどもいらっしゃるので、まだ完全には辞めていません。
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現在は血液透析をされているのですね。
はい。私自身はもっと続けられると思っていたのですが、腹膜が硬くなってしまうと腹膜透析は続けられなくなってしまうということで1年前から腹膜透析と週1回の血液透析をし、今年から血液透析だけになりました。
高木 知恵子(たかぎ ちえこ)さん(67)腹膜透析歴 6年、血液透析歴 1年 写真2

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腹膜透析と血液透析では何が一番違いますか?
一番の違いは、血液透析の方が水分の制限が厳しいところでしょうか。血液透析を始めた頃はつい水分を取ってしまいそうになりましたが、最近は慣れてきたのか、だいぶ抑えられてきたと思います。

その他には、血液透析を始めて、透析室のベッドで週3日、半日を過ごす生活になってからは以前にも増して身体を動かしたくなっています。体重を増やしてはいけないことや、他の病気をしたこともあって今は運動をちょっと控えていますが、早く運動を再開したいです。腹膜透析の時はあまり大きな腹圧をかけないように腹筋運動などはできなかったので、今度はジムで思い切り身体を動かしたいと思っています。
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若い頃から運動はお好きだったのでしょうか?
学生の頃はバレーボール、働き始めてからは当時流行していたボウリングに熱中しました。アベレージスコアは220で、パーフェクトは一度出したこともあり、プロ試験も受けたんですよ。
――
運動するとやっぱり心地よい疲労感があるのでしょうか?
そうですね。腎臓を悪くしてからお酒は控えていますが、やっぱり汗を流した後のお酒がおいしいです。
――
透析療法を始められてから、ご友人との食事などの機会に変化はありましたか?
透析をしているからといって、友人達との付き合いを減らそうとは思いませんし、実際に減ることもありません。透析を始める以前と同じようにそういった集まりには出かけていますし、大好きなカラオケに行くこともあります。そうした時には適度にアルコールも楽しんでいます。

友人達と集まるのも月2~3回のことですから、我慢してストレスを溜めるよりはいいかなと思って、自分の身体と相談しながら楽しんでいます。そうすることで透析にも前向きに取り組めていると思います。
疑問点や不安なことはすぐに主治医に相談しています
高木 知恵子(たかぎ ちえこ)さん(67)腹膜透析歴 6年、血液透析歴 1年 写真3

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血液透析を始められてから日常生活で気になる点などはありますか? 例えば、シャントの跡が気になって夏場でも長袖を着る方も多いと伺っていますが。
そういった点を気にする方もいらっしゃるかもしれませんが、私は一切、気にしていません。傷を隠す必要もないし、隠せば隠すほど他人は興味を持ちますから。友人から「その腕、どうしたの?」と聞かれることもありますが、「透析しているの」と答えると、「そんなに元気なのに?」と皆さんに驚かれます。

病気は仕方のないことですし、生きていくために透析は欠かせません。だから、透析をマイナスには考えていません。元気で何も問題なく一生を過ごせればよいのかもしれませんが、逆に、病気になれば健康な時には思いもよらなかったことが経験できて人生もより豊かなものになっていると思っています。

生まれてからお墓に入るまでの間に、どんな経験ができるかが人生で一番大事なことですし、私はじっとしているのが苦手なので面白そうなものがあれば挑戦したくなります。やりたいことを一つずつ実現していく、そんな人生を送りたいと思っています。
――
今後はどんなことに挑戦してみたいですか?
先日、テレビで空手を見ていて、かっこいいと思いました。今からどこまでできるか分かりませんが、空手の「形」に挑戦したいです。
――
透析療法について不安に思うことはありますか。
私は他人をかまうのが好きで、つい先生方にも気軽に話しかけちゃうんです。それに、病気については、頭の中であれこれ考えているよりも先生に聞いたほうが早いので神経質なぐらい質問しています。先生方も嫌な顔をせずに質問に答えてくださいますし、分からないことや不安なことがあれば、すぐに先生方や医療スタッフの方に相談することで安心して治療を続けられると思います。
高木 知恵子(たかぎ ちえこ)さん(67)腹膜透析歴 6年、血液透析歴 1年 写真4

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毎日を前向きに過ごす秘訣は何だと思われますか?
夫婦喧嘩でしょうか(笑)。相手がいるからこそ喧嘩もできますし、それも楽しみの一つなのかなと思っています。主人も病気をしてからストレスもあるでしょうし、誰かにぶつけたい時にぶつけられるのは身内だけでしょう。溜め込んで爆発させないよう、毎日小出しにしています。
高木 知恵子(たかぎ ちえこ)さんのプロフィール
福島県出身。学生時代はバレーボール部で活躍し、20歳の頃からボウリングを始め、プロ試験を受けたほどの腕前。
上京後にご結婚されて、ハウスクリーニング会社を創業。
仕事を続けながら約10年間の保存期を経て60歳で腹膜透析を始め、66歳から血液透析に移行された。
仕事や趣味の運動、友人達との会合と忙しくても充実した日々を送っている。
監修医からのアドバイス
昭和大学医学部内科学講座 腎臓内科学部門 客員教授 秋澤 忠男 先生

昭和大学医学部内科学講座 腎臓内科学部門
客員教授
秋澤 忠男 先生

高木さんは透析療法を続けながら積極的に運動をされ、大変お元気にお過ごしです。

透析患者さんは運動不足になりがちですが、運動をしている人は長生きなさる傾向があるので、最近では透析患者さんに運動が勧められており、運動療法は腎臓リハビリーションとしても注目されています。

運動、とくに筋肉トレーニングなどは透析患者さんの体力向上のみならず、心肺機能の強化や代謝の改善などにも役立つとされています。また、運動はストレス解消にもつながり、不安やうつなど精神面での効果も期待できます。

高木さんのようにスポーツジムでトレーニングされるのもよいですが、ウォーキングやスクワットなど、ご自宅でできる筋肉トレーニングもあります。 いずれにしても身体に無理のない強さの運動を続けることが大切です。なるべく歩く、歯みがきは少し膝を曲げた姿勢で行うなど、運動を生活の中に取り入れる工夫をするとよいでしょう。

また、最初から長時間の運動を目指さず、毎日5分程度の運動から始めて、徐々に時間や回数を増していくなど、ご自分にあった方法をとることも大切です。ただし、心臓に問題がある人などは運動を控えたほうがよいこともあるので、主治医とよく相談してから始めて下さい。

毎日の暮らしに運動を取り入れて、体も心も元気にお過ごしいただけたらと思います。
高木さんは透析療法を続けながら積極的に運動をされ、大変お元気にお過ごしです。

透析患者さんは運動不足になりがちですが、運動をしている人は長生きなさる傾向があるので、最近では透析患者さんに運動が勧められており、運動療法は腎臓リハビリーションとしても注目されています。

運動、とくに筋肉トレーニングなどは透析患者さんの体力向上のみならず、心肺機能の強化や代謝の改善などにも役立つとされています。また、運動はストレス解消にもつながり、不安やうつなど精神面での効果も期待できます。

高木さんのようにスポーツジムでトレーニングされるのもよいですが、ウォーキングやスクワットなど、ご自宅でできる筋肉トレーニングもあります。 いずれにしても身体に無理のない強さの運動を続けることが大切です。なるべく歩く、歯みがきは少し膝を曲げた姿勢で行うなど、運動を生活の中に取り入れる工夫をするとよいでしょう。

また、最初から長時間の運動を目指さず、毎日5分程度の運動から始めて、徐々に時間や回数を増していくなど、ご自分にあった方法をとることも大切です。ただし、心臓に問題がある人などは運動を控えたほうがよいこともあるので、主治医とよく相談してから始めて下さい。

毎日の暮らしに運動を取り入れて、体も心も元気にお過ごしいただけたらと思います。

取材実施日:2017年12月8日 ※取材させて頂いた方の所属、役職等は取材当時のものです

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