災害に備えていますか?
もしもの時のために、これだけは備えておきたいチェックリスト

災害に備えていますか?もしもの時のために、これだけは備えておきたいチェックリスト

災害に備えていますか?もしもの時のために、これだけは備えておきたいチェックリスト

自然災害は、いつどこで起こるか分かりません。
ひとたび大地震が起これば強い揺れや地割れ、津波、火災の恐れもあり、停電や断水などライフラインが寸断したり、交通機関に影響が出たりすると考えられます。

透析治療を受ける医療機関に被害が出ることも予想されます。
透析治療を受けている患者さんは、災害で治療を長期間受けられないと生死に関わることもあります。
そのため、日ごろから災害に備え、もしもの時には落ち着いて行動することが大切です。いざという時に慌てないよう、治療や生活に必要なものを日ごろから用意しておきましょう。

ここでは、透析患者さんが知っておきたい災害への日ごろの備えがどんなものか、また災害が起こった際にはどう行動すべきなのか、そのポイントをチェックリストにまとめました。是非ご活用ください。

※災害時の安心のための参考例として、このチェックリストをご活用ください。
また、災害時の対応は地域や施設によって異なりますので、具体的な内容については、現在、透析治療を受けている施設にご確認ください。

日頃の備えは万全ですか?

No. チェック内容
1

各施設にある「災害対策マニュアル」を確認し、「透析カード」、「お薬手帳」を常に携帯しましょう

透析カードには、通院している病院の連絡先や検査結果、体重(最近のドライウェイト)、注射している薬、透析条件、穿刺部位などを記載しておきましょう。
「お薬手帳」も忘れずに持ち歩くようにしてください。

ただ、大規模災害のときは透析カードなどを持って避難できない場合もあります。自分の身を守るためには、日ごろから医療者に全てお任せするのではなく、高齢の方であっても以下に挙げる重要な点を覚えておきましょう。
(1)ドライウェイトが言える
(2)シャントの穿刺部位が言える
(3)透析で使用する薬剤アレルギーの有無が言える
(4)自己止血ができる

2

カリウムを下げる吸着剤などを数日分は常備しましょう

普段飲んでいる薬を余分に常に携帯するか、すぐに持ち出せるように準備しておきましょう。

薬には一回でも飲まないとすぐに身体に影響が出るものもあります。血圧の薬や心臓病の薬、インスリン、糖尿病の治療薬、そしてカリウムを下げる吸着剤を数日分は携帯してください。
インスリンを使用している糖尿病患者さんは注射器やインスリン製剤も肌身離さず携帯しましょう。

3

災害時の連絡方法や緊急の対応などを事前に調べておきましょう

通院している病院への災害時の連絡方法や避難場所(集合場所)、家族との連絡の取り方などの情報を整理し、家族間で話し合っておきましょう。

4

透析を受ける病院や避難所などへの移動手段を確認しましょう

大規模な災害が起こると電車やバスなどの公共交通機関は運行をストップすることもあります。親戚や知人、ヘルパーさんなど、緊急時の移動に協力してくれる人に事前に頼んでおくとよいでしょう。

自宅が被害に遭わなくても、病院が被害に遭えば透析治療を行えない場合もあります。必ず透析施設と連絡をとりましょう。

5

親戚、知人などの避難先と近隣の透析医療機関を調べておきましょう

親戚などに身を寄せる場合には、その近隣で透析治療を受けられる医療機関を探しておく必要があります。どういった施設があるか事前に調べておきましょう。

また、遠方に避難を余儀なくされることも考えられます。そうした場合にも慌てないように普段から心がけておくことが大切です。

6

非常時の持ち出し品を用意して、いざという時にすぐ持ち出せる場所に準備しておきましょう

消防庁の地震防災マニュアル(http://www.fdma.go.jp/bousai_manual/too/tool.html)などのリストを参考に、避難する時に持ち出すものを準備しておきましょう。また、持出品は定期的に使用期限を確認しましょう。

透析患者さんは、特に以下の点に気を付けてください。
常備薬、救急セットを入れておきましょう
飲料水:透析患者さんは1人1日600~750 mLが目安になります
非常食:たんぱく質や塩分、カリウムが調整された透析患者さん用の保存食を2~3日分備蓄しておきましょう
避難した際などには、食事の際にエネルギーを確保することが大切です。一方、たんぱく質や塩分、カリウムを多く含む食品の摂取は控える必要もあります。これらの栄養素が調整された透析患者さん用の保存食を準備しておくとよいでしょう。

保険証、身体障害者手帳、特定疾病療養証のコピーを用意しておきましょう

その他にも、

  • ・眼鏡や入れ歯 
  • ・ラジオ 
  • ・懐中時計 
  • ・電池や携帯電話の充電器 
  • ・生理用品や紙おむつ 
  • ・毛布 
  • ・ポリ容器 
  • ・卓上コンロ(ガスボンベも用意) 
  • ・着替えや下着類 
  • ・マスク 
  • ・絆創膏

などがあると便利です。
枕元には靴などの履物を用意しておきましょう。

7

各透析施設で行われている災害時訓練には積極的に参加しましょう!

透析治療中に災害が起こったら? その後に治療を受けるには?

No. チェック内容
1

治療中に災害が起きたら、まず、針が抜けないように血液回路(チューブ)をしっかりと握り、ベッドの柵につかまって振り落とされないようにします。毛布などをかぶって落下物から身を守ります

緊急時には、患者さん自身が針を抜く、回路を切るなど対処しなければならないケースも考えられます。病院に緊急離脱セットが用意されていれば、使用方法を事前に教わっておくとよいでしょう。

避難時にはスリッパは危険です。透析室は靴(あるいは室内用の靴)を利用することをお勧めします。

2

医師や医療スタッフの指示に従って避難しましょう

針を抜いた際には、穿刺部の消毒や傷の手当てを受けてください。
また、次の透析予定について指示を受けてください。
通院している病院の非常口や避難経路を事前に確認しておきましょう。

3

救助隊には自分が透析患者であることを申し出て、協力してもらいましょう

4

透析治療を受けている医療機関に連絡しましょう

自分の状態を報告し、病院の状況を聞いて治療できるかどうか確認してください。治療できない場合には、治療再開までの日数と他の医療機関で治療する方法について確認してください。

5

透析を受けられる医療機関を探しましょう

透析治療を受けている医療機関と連絡がとれない場合は、災害時にその病院と協力関係にある医療機関や最寄りの保健所に連絡するか、地域で指定されている拠点病院に連絡してください(連絡先を事前に調べておきましょう)。

また、インターネットに接続できる環境であれば、日本透析医会「災害時情報ネットワーク」(https://www.saigai-touseki.net/)などで治療を受けられる医療機関を探すこともできます。

その他の災害への備えとしては、家具の転倒防止策を施す、家族と連絡を取り合うときのために災害用伝言ダイヤル「171」の使い方を練習するなど、被害を最小限にとどめる対策も重要です。

気になることがあれば、透析病院の医師や医療スタッフに相談してください。


【引用文献・参考文献】
全国腎臓病協議会ホームページ「災害時について」
http://www.zjk.or.jp/kidney-disease/disaster/index.html

全国腎臓病協議会「災害対策マニュアル 改訂3版」(2016年3月発行)
http://www.zjk.or.jp/kidney-disease/disaster/upload/20160613-150124-9660.pdf

東京都福祉保健局「災害時における透析医療活動マニュアル」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/koho/books.files/3shyou.pdf