おやつと上手に付き合うためのコツ

みなさんは、おやつを食べる習慣はありますか?
おやつは、子どもにとっても大人にとっても「楽しみ」のひとつ かと思います。

みなさんの中に、このような方はいませんか?

「透析が終わるとお腹が空いて、
ご飯を食べる前に、いつもよりおやつをたくさん食べてしまいます」「カルシウムが少ないと言われているので、補給のために、おやつに小魚やナッツを食べたり、牛乳を飲んだりしています」

透析をしているから、おやつを食べてはいけないということはありません。

しかし、おやつを食べすぎてしまうと食事がしっかり摂れなくなり、栄養バランスが悪くなります。また、おやつの種類や量などの食べ方によっては塩分や水分、カリウムやリンの摂りすぎになってしまいます。

食事よりもおやつが中心の食生活にならないように気をつけ、食べ方に注意しながら、おやつをうまく活用しましょう。

食事量が減っているときなどは
おやつがエネルギー補給になることもあります

透析患者さんの食事では、透析による栄養素の除去や常に炎症に罹っている状態が影響するほか、塩分や水分、カリウムやリンなどを食べ過ぎないよう注意するため、食事の内容や量によってはエネルギーが不足してしまう場合があります。
とくに、体調不良などで食欲が低下しているときや、一度にあまり食べられず、食事の量が減ってしまう場合は、おやつを上手に活用することで、透析患者さんのエネルギー不足を補うことができます。

では、透析患者さんがおやつと上手に付き合っていくためにはどうしたら良いでしょうか?
一緒に考えてみましょう。

「いつも食べている」「最近はまって食べ続けている」おやつはありませんか?
おやつのカリウムやリンが多くないか確認しましょう

何かに偏ってそればかり多く食べ続けてしまうこともあるでしょう。けれども、そのおやつはもしかしたらカリウムやリンを多く含んでいるかもしれません。

ここでは、カリウムやリンが比較的少なく安心して食べられる「おすすめのおやつ」と、カリウムやリンが多い「要注意のおやつ」を紹介します。

おすすめのおやつ
ういろう、マシュマロ
ういろう
ぎゅうひ
わらびもち・くずきり
きなこや黒蜜はカリウムが多いため、かけすぎないようにしましょう
水ようかん
栗、つぶあんがぎっしり詰まっているタイプのものは控えめに
ウエハース
チョコレートはカリウムやリンを多く含んでいるため、チョコレートがコーティングされていないシンプルなものがおすすめです
マシュマロ
ゼリー
おかし
(栄養成分の目安量)
エネルギー
(kcal)
カリウム含有量
(mg)
リン含有量
(mg)
ういろう
(1切40g)
72 6 7
水ようかん
(1個90g)
151 15 20
ウエハース
(1枚7g)
31 5 4
マシュマロ
(3個10g)
32 微量 微量
ゼリー
(コーヒー、1個100g)
44 47 5
比較
ごはん
(茶碗軽く1杯100g)
156 29 34

※文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)を参考に算出。

※商品によって内容量は異なりますので、実際の商品の表示を確認してください。
重量は1回あたりの目安量とは限りません。あくまで参考として、摂りすぎには気をつけましょう。

要注意のおやつ
  • ポテトチップス
  • 芋けんぴ
  • ナッツ類
  • バニラアイス
  • プリン
  • ショートケーキ
  • シュークリーム
要注意のおやつ
おかし
(栄養成分の目安量)
エネルギー
(kcal)
カリウム含有量
(mg)
リン含有量
(mg)
ポテトチップス
(1袋60g)
325 720 60
芋けんぴ
(1袋100g)
465 550 54
バターピーナッツ
(10粒10g)
61 70 38
バニラアイス
(中カップ80g)
142 152 96
プリン
(1個100g)
116 130 110
いちごショートケーキ
(小さめ1個100g)
314 120 100
比較
ごはん
(茶碗軽く1杯100g)
156 29 34

※文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)を参考に算出。

※商品によって内容量は異なりますので、実際の商品の表示を確認してください。
重量は1回あたりの目安量とは限りません。あくまで参考として、摂りすぎには気をつけましょう。

これらのおやつが食べたいときは?

要注意のおやつでは、別のおやつに替えることでカリウムやリンを抑えることができます。
コンビエンスストアやスーパーでおやつを購入するときにも、参考にしてみましょう。

バニラアイスシャーベット

リンを多く含む乳製品を使ったアイスクリームより、シャーベットの方がおすすめです。

シャーベット

プリンゼリー

アイスクリームと同様、乳製品を使ったものよりゼリーの方がおすすめです。ゼリーの中でも果汁の割合が少ないものはカリウムが少なく、おすすめです。パッケージに「果汁100%」と書いてあるものは注意しましょう。
また、ゼリーは水分が多いため、体重増加に注意して食べる量を調整しましょう。

黒かりんとう白かりんとう

黒糖はカリウムが多いため、白いかりんとうの方がおすすめです。

芋けんぴおこし

さつまいもはカリウムが多いため、お米が原材料のおこしの方がおすすめです。

つぶあんこしあん

つぶあんより、こしあんの方が、カリウムが少なく、おすすめです。
おまんじゅうや菓子パンなどでも、なるべく、こしあんを選ぶことをおすすめします。

こしあん

<ワンポイントメモ>

黒糖・黒蜜、芋を使ったおやつはカリウムの含有量が多いため、注意が必要です。
洋菓子類は乳製品を使っているため、リンを多く含んでいます。

おやつで塩分を摂りすぎないように食べる量や頻度に注意しましょう

ポテトチップスなどのスナック菓子やしょうゆせんべいといった米菓はもちろん、あんこやケーキ、菓子パンなどの甘いおやつにも塩分が含まれています。
おやつでの塩分の摂りすぎにならないように注意しましょう。

その他にも気を付けた方がよい食品もありますので、自分に合ったおやつの食べ方については、透析施設の医師や看護師、管理栄養士にご相談ください。

おやつの目安量は1日に100~200kcal程度にしましょう
(エネルギー補給を目的とする場合を除く)

一般的に、おやつの目安量は、1日に必要なエネルギー量の10%程度と言われています。
カリウムやリンが少ないとされるおやつであっても、食事のリズムやバランスを崩さないように、食べる量に注意しましょう。

※透析患者さんの中には、個別に目安量を決められている場合もあります。
透析施設の医師やスタッフからの指示がある場合はそれに従いましょう。

あくまで「1日3食」を基本に
おやつを食べすぎて食事を残さないように気をつけましょう

おやつを食べすぎてしまい、透析間の体重増加が気になって食事量を減らしたり、抜いたりしないようにしましょう。栄養バランスが悪くなる可能性があります。
「1日3食」を基本に。おやつは別腹ではありません!
食事に影響が出ない量に抑えることも、おやつと上手に付き合っていくコツです。

おやつを食べるタイミングのコツは?

おやつは10時や15時に食べる方もいるかと思いますが、血糖が高いと注意を受けている方やリンが高くお薬が処方されている方は、食事に近い時間帯で食べるとよいでしょう。
詳細については、透析施設の医師や看護師、管理栄養士にご相談ください。

「栄養補助食品」も活用しましょう

エネルギー補給のためには、塩分やカリウム、リンが少ない腎臓病患者さん向けの栄養補助食品なども上手に活用しましょう。これらの食品には、おやつタイプのものもあり、市販のおやつと比べると栄養素が調整されているため、安心して食べることができます。

栄養補助食品は、ドラッグストアや通信販売などインターネットで購入することもできます。利用する際には、事前に、透析施設の医師や看護師、管理栄養士にご相談ください。
キッセイ薬品が提供する栄養補助食品のウェブサイト もご参照ください。

おやつは、「疲れを癒す」「気分をリフレッシュする」など、日ごろの生活に潤いを与える効果もあると言われています。
しかし、何でも好きなおやつを欲しいだけ食べるのではなく、1日の食事のバランスを考えながら、塩分や水分、リンやカリウムなどを摂りすぎないようにすることが大切です。食べる量や頻度に注意しながら、おやつと上手に付き合い、元気により良い透析生活を送りましょう。