
このコーナーでは、透析患者さんの治療や暮らしを支える、いろいろな職種の「サポーター」をご紹介。困ったときや不安なときに誰を頼ればよいかがわかります。

透析ライフを支えるサポーターの仕事と関わり
医療関係
福祉関係
手続き関係・その他
こんなときは誰に相談したらいいの?
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腎不全(透析)以外の病気について気になるとき
腎不全で透析を受けている患者さんも、時には腎不全以外の病気で他の医療機関を受診することがあると思います。例えば、糖尿病腎症が進行して透析導入した方であれば、同じ糖尿病の合併症である糖尿病網膜症で眼科を受診したり、糖尿病神経障害が原因で神経内科を受診したりするでしょう。一方、歯科など、腎不全や糖尿病とは直接関係のない病気で受診するケースも考えられます。
いずれにおいても、透析を受けている患者さんは、腎機能の低下によって服用できる薬の種類や量に制限が生じたり、効果が強く出すぎたりすることがあるほか、透析中に使う抗凝固薬の影響で出血が止まりにくい状態となる可能性があるため、その医療機関に透析治療中であることを伝えることが重要です。
気になる症状があって別の診療科を受診したい場合は、まずは透析施設の医師に相談してください。透析医は患者さんの状態を聞いた上で、連携している医療機関の紹介や、現在の体の状態や透析治療の内容などを記した紹介状(診療情報提供書)を作成してくれます。紹介状があれば、受診先の医療機関に正確な情報が伝わり、安心して治療を受けられます。
もし透析医からの紹介なしで他の医療機関を受診する場合には、必ず、最初に透析治療中であることを伝えましょう。受診時には、現在の透析治療の状況や服用している薬について聞かれることがありますので、最新の血液検査結果やお薬手帳、透析治療の内容を記した書類を持参しましょう。
他の医療機関を受診した後は、受けた診療の内容や処方された薬などを透析医に報告しましょう。
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夜眠れなくて困っているとき
不眠は、透析患者さんの多くが訴える症状の一つです。夜に眠れないと昼間の活動にも影響が出てしまい、身体的にも精神的にも悪影響を及ぼすため、適切に対処する必要があります。
不眠が続く場合は、医師や看護師に相談してみてください。相談の際は、睡眠時間、入眠と目が覚める時間、どんな風に眠れないか、眠っている時の状況、眠りの妨げとなっている体の症状なども一緒に伝えるとよいでしょう。不眠の原因として、体のかゆみ、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)、睡眠時無呼吸症候群など別の症状や病気が影響している場合もあり、それらを治療することで、改善される可能性もあります。
また、よい眠りのためには、普段の生活を見直すことも大切です。透析中に眠らない、寝る前にお酒や水分、カフェインを摂らない、寝る1~2時間前にはテレビやパソコン、スマートフォンの画面を見るのをやめる、寝室の環境を快適にする、規則正しい食生活をする、適度な運動をするといった対策を行いましょう。
このサポーターに相談して解決
血液透析 これからはじめる方 施設で行っている方 在宅で行っている方 腹膜透析 これからはじめる方 ご自身で行っている方 介助・介護で行っている方 関連リンク
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足の症状が気になるとき
透析の合併症の一つに、足の血管が細くなったり、詰まったりして血液が流れにくくなる、末梢動脈疾患(PAD)という病気があります。
PADは、最初は無症状ですが、次第に足がしびれる、足が冷たく感じる、歩くと足に痛みを感じて歩けなくなる、といった症状が現れます。進行すると、じっとしていても足の痛みを感じるようになり、さらに重症化すると足が壊死し、切断をしなければいけないこともあります。
重症化を防ぐためにも、早期に発見して、進行を抑え、足の血流を改善・維持することが重要です。最近は、定期的に足の診察(フットチェック)やケア(フットケア)を行う透析施設も増えましたが、自分でも普段から足に異常がないかをチェックする習慣を身につけるとよいでしょう。
皮ふの色や硬さ、厚さ、爪の色や形、足の形、タコ・ウオノメ・まめ・水ぶくれ・傷、やけどなどの有無、触った時の温度、感触などを確認し、少しでも違和感がある場合は、迷わずに医師や看護師に症状を伝え、相談してください。このサポーターに相談して解決
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穿刺した部分が痛いとき
血液透析では、透析中多くの血液を血管から取り出す必要があるため、使われる針の太さも通常の注射針の倍以上あります。そのため、穿刺時に痛みを感じたり、透析中や透析終了後も血管の痛みが続いたりすることがあります。
近年は、テープタイプやクリームタイプの局所麻酔薬を使って、穿刺時の痛みを和らげることができるようになりました。これは、穿刺を行う前に、あらかじめ薬を貼ったり塗ったりして、部分的に麻酔を効かせるというものです。
また、透析時に痛む場合は、針や腕、体を少し動かすことで解決することもあります。
他にも、穿刺する部分を冷やすなど、独自に工夫をしている施設もあるようです。穿刺の痛みを我慢し続けていると、血液透析そのものが苦痛に感じてしまいます。痛みを感じる時は遠慮せず医師や看護師、臨床工学技士に相談してみてください。
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皮膚にかゆみを感じるとき
かゆみは透析患者さんの合併症の一つで、透析に入る前の腎不全の段階からみられることもあります。かゆみがあるとイライラしたり、睡眠を妨げられたりして、生活の質(QOL)も低下してしまいます。また、かゆいからといって皮膚をかくと、さらにかゆみがひどくなるため注意が必要です。
透析患者さんのかゆみには、さまざまな原因があるといわれていますが、中でも皮膚の乾燥は大きな要因のひとつです。したがって、普段からこまめに保湿(スキンケア)をして、肌を乾燥から守ることが大切です。また、時には十分な透析をすることで改善する場合もあります。
かゆみの症状がある人は、我慢せずに、医師や看護師に相談しましょう。どんな時にどこがかゆくなるのか、かゆみはどのくらいの時間続くのかといった情報を、できるだけ具体的に伝えましょう。日常生活のアドバイスをしてもらえますし、場合によっては、かゆみを抑える薬の処方や透析内容の見直しなどが行われることもあります。
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透析サポーター インタビュー
Vol.6
透析患者さんの運動機能の維持向上を目指して
“続けられる運動プログラム”を一人ひとりに実施
医療法人社団光生会 さがみ循環器クリニック 理学療法士
原田 愛永 さん
体力の改善や維持向上、悪化防止を支えるリハビリテーションのプロである、理学療法士。原田愛永さんは、リハビリテーションの中でも腎臓リハビリテーションと呼ばれる分野に深く携わり、日々、透析患者さんの運動をサポートしています。腎臓リハビリテーションとはどのようなものか、そして透析患者さんにおすすめの運動は何か、普段の業務内容とともにお聞きしました。